混沌陣営に拾われた青年の話 地響きと凄まじい猛攻の音が鳴り響く神殿の中、隅でぼうっと上を見上げる一人の青年。視線の先では、一人の男と一人の少女が戦いを繰り広げていた。
ガァンッ!!
「うわあっ!!」
少女の拳が男の大剣に弾き飛ばされ、大きく宙を舞った。男はその隙を逃さず、空中で身体の制御を失った少女に追撃を加える。少女はギリギリのところで咄嗟に身を捩って交わしたが、剣が掠り幾分か肌を裂いた。
少女は受け身を取るが、床に叩きつけられ大きくダメージを負って咳きこんでいた。
「い、……いっつぅ……」
「勝負はついた。まだやるか?」
男は大剣を構え、少女を威圧する。分が悪いと踏んだ少女は、悔しそうにその場から神殿入口へと駆け出した。
「くっそー!覚えてろよーーっ!」
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