タイトル未定定時上がりの会社。毎度の如く通勤通学の人間でごった返す満員電車に揺られ、立ちながら眠るように目を閉じる。
男の名は村上柊真。会社勤めの20代後半の至って普通な一般男性だ。
仕事に追われる日々は休むということを知らず、朝から晩まで食うために必死で業務をこなし、金を稼ぐ。
先日からの残業の疲れが体に溜まり、いくら寝ても回復しない。
柊真はまだ若い癖に、と深くため息をついた。
家は7階建てのマンション。柊真は4階に住んでいる。エレベーターのボタンを押し、やっとも思いで玄関のドアを開ける。
モタモタと靴を脱ぎ、ネクタイを緩めてリビングにあるソファにドサッと倒れ込む。
「あぁ……」
堪えていた苦しみを吐き出すように息を漏らした。
1894