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    晩鐘⚰️夢 /⚰️視点
    他注意は最初に書いてあります。

    ───

    ※注意※

    ・夢主に個性がある
    ・⚰️視点です
    ・ゲーム内翻訳に寄せた口調ですが、合ってない部分もあるかもしれません
    ・読み手の想像力に委ねた匂わせセンシティブ描写があります
    ・これは本当に夢小説ですか?


    以上を踏まえて、読んでみたいと思う人向けの補足を以下に記載します。


    ❚ ざっくり夢主の設定と経緯

    象牙の世界観に合わせるため、夢主の呼び名を「オフィーリア」と設定づけました。
    これは「イソップ・カール」のような名前ではなく、「晩鐘」と同じような象牙の世界観における呼び名でしかありません。

    名づけの経緯は、
    「晩鐘」の元ネタが「ジャン=フランソワ・ミレーの『晩鐘』」と想定して、ミレー違いの画家の絵画「ジョン・エヴァレット・ミレーの『オフィーリア』」を選びました。

    この絵画で描かれている「オフィーリア」は「ウィリアム・シェイクスピアの戯曲『ハムレット』」の登場人物で、ハムレットの恋人です。
    演繹の星で⚰️がハムレットを演じていたのも、この絵画を選んだ理由の一つです。

    この戯曲および絵画の「オフィーリア」を知っていると、少しだけ小説内の夢主の環境も見えてくるかもしれません。
    が、知らなくても読める……と思います。多分。

    また逆に戯曲および絵画の「オフィーリア」ガチ勢の方には「こんなの「オフィーリア」じゃない!!!」となるかもしれません。


    と、全体的に広い心で読める人向けです。




    ───





    「なぁ~んだ、動物をつかまえて殺したりはしないのね」

    背後から甘ったるい声がした。

    「……」

    黙って作業を続けていると、目の前で少しくすんだブロンドの髪が揺れた。

    「今日は相手してくれないの?」

    僕の視界に入ろうと下からこちらを見上げた彼女と目が合い、僕は小さく溜息をついた。

    「……噂を信じてここまで来ているわけじゃないだろう?」

    「ふふふ、そうね。私はあなたに会いたくて来ているだけだもの」

    「……君も物好きだね」

    『オフィーリア』はくすくすと揶揄うように笑う。
    貴族出身の彼女は、それでも学校内では浮いているようで、僕と同じく噂が絶えない。

    噂だと、授業を抜け出してはどこかを散歩しているのだとか。
    実際、僕が彼女と初めて会った時、彼女は敷地内の池に浮かんで歌を歌っていた。

    「(……理由もないのに毎日この部室に来るのだから、変わっているのは事実か)」

    彼女自身はそれらの噂を気に留める様子はない。

    そういった自由な行動が許されているのは彼女の家柄によるものなのかもしれないが、それこそが噂の種になっているのも事実だった。

    「薬品の匂いが濃いわ」

    正直、彼女の相手をするのは疲れる。
    僕は誰かと会話をするのが好きな方ではないし、彼女が何を考えているのかわからない。
    この間も、実験の途中に薬品の匂いにあてられて倒れた。
    あの時は本当に驚いた。

    「……また倒れられると、迷惑だから」

    「そしたらまた運んでくれるでしょう?」

    「……」

    彼女はいつもこちらの反応を試すかのように、目を細めて僕を見る。
    その視線に居心地の悪さを感じて、手元の作業に集中することにした。

    「今日は何をしているの?」

    「……」

    「『晩鐘』?」

    「……」

    彼女は会話を諦めたのか、向かいの席に座り机に伏せた。
    一瞬そちらに視線をやったが、体調が悪いわけではないようだ。

    少しばかりの沈黙は、とても心地の良い時間をくれる。
    普段は聴こえない彼らの声も聴こえる。

    いつも退屈そうにしている彼女も、こういった時間は嫌いではないようだ。
    僕の手元で光る蛍たちをぼんやりと眺めながら、ゆったりと微睡んでいる。

    「……その光、とても綺麗ね」

    「蛍だよ。……今度、夜空に解放するんだ」

    「そう。あなたたちは自由になれるのね」「……羨ましいわ」

    彼女は、堪らなくなるほど眩しいものでも見たかのように目を伏せた。
    その声は、どこか憂いを帯びていた。

    「……ここで寝たら、また体調を崩すよ」

    「……」

    机の上でうつ伏せになったまま沈黙する彼女に小さく溜息をついて、毛布をとってくる。
    おそらく薬品の匂いが染み付いているだろうが、ないよりはマシだろう。

    「……ねえ、『晩鐘』」
    「私が死んだら、あなたに埋葬してほしいの」

    「……」

    彼女の肩にかけようとした毛布が、手元から落ちる。

    「……君は、死ぬの?」

    「人間いつかは死ぬものよ」

    「……」

    何か深刻な告白をされたのかと思ったが、またいつもの戯言だったようだ。

    「途方もないほど未来の話だね」

    「あら、もしかしたら明日の話かもしれないわ」

    「そんなに体調が優れないのなら寮に戻るべきだと思うよ」

    「ふふふ」

    彼女は愉快そうに僕を見上げる。
    その笑顔は、どこか寂しそうにも見えた。

    「もちろん、何十年も後の話かもしれないけれど」

    「……その頃にはもう、学校は卒業しているだろう」
    「それまで君のそばにいろと?」

    「そう」

    「……」

    「死ぬまで、そばにいてほしいの」

    彼女のこういった軽口は質が悪い。
    どの言葉も霞のように曖昧で、真意を掴めそうにない。

    「あなたは優しい人だから、埋葬した子たちのことを忘れないでしょう?」
    「だから、私もそうなりたいの」

    「……」

    「間違ってると思う?」

    彼女の手が僕の手をとる。
    低い体温は、それでもじんわりと熱を広げていく。

    「間違っては……いる、だろう」

    「なら、二人で間違っていくのね」

    返答を阻止されても、結局僕は彼女を拒めないでいる。
    彼女の唇は、少し乾いていて、あまり体調は良くないのだと思った。

    噂のせいか、この部室には滅多に人は訪れない。
    地下にあるせいか、声も外には漏れにくい。

    だからだろう。
    彼女の気まぐれに選ばれたのは。



    汗を拭い、乱れた衣服を整える。

    彼女は荒い呼吸を繰り返しながらぐったりとソファに身を預けている。
    早めに外に出してやった方が良いだろう。

    放置されていた薬品を整理し、帰り支度を整える。

    「『オフィーリア』、肩は掴めそうか?」

    「……ええ」

    彼女は小さく頷いて、弱い力で僕の肩を掴む。
    そのまま彼女を抱き上げ、寮へと向かう。

    彼女が倒れて運ばれることは珍しいことではない。
    そのせいか、心無い噂が流れることはあっても、僕たちの関係を疑う者はいない。

    「……あの蛍、解放するのよね?」
    「……私も見に行きたいわ」

    「……なら、その日は寮で大人しく休んでいた方が良い。夜に行う予定だから」

    「そうね。その日は、そうするわ」

    「日程が決まり次第、伝える」

    「ええ」

    庭園の虫たちの声に紛れて、彼女の弱い呼吸が聞こえる。

    「……『晩鐘』、好きよ」

    彼女は小さく呟いて、僕の体に身を委ねた。
    その真意を測れずにいる僕は、沈黙を貫いて彼女を寮へと送り届けた。



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