きっと仕方のないことなのだ。
コナーは、どうにもうまくいかないオムレツを前にして思う。
変異する前ならばもっと冷静に分析するだけだったかもしれない。そもそも、作ろうとすら思わなかったかも。
けれど今の自分は変異体で、食べられないオムレツを大切な人のために作ろうとしている。
ただ、コナーは最新鋭の捜査補助ロボットであり、家事補助アンドロイドではなかった。こうしたことはしたことがないし、どうすればいいかプログラムにもない。
故に、この結果は仕方のないことなのだ。
「コナー…?」
ふあ、と欠伸を噛み殺しながらハンクがリビングまでやってきた。
思わずフライパンを隠すようにして立つ。無意味な動きだと思う。しかしコナーはそうせずにはいられなかった。見られたくない。これは"はずかしい"と呼ばれる感情なのだろうと推測する。
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