(顔がそっくりだ)
と思ったのは、王宮に“鏡”という品物があったから。大王様との対面で、次に鏡を渡され「瓜二つなのだ」と伝えられた。確かにそうですね、と答えたが、自分の顔すら今初めてしっかりと見たばかりなので、そこまで衝撃があったわけではなかった。
比べて、すぐさま幔幕の向こうに姿を消した大王様は「驚いた」と言った。こんなに早く国の頂点の御顔を拝見できるなど心臓が飛び出しそうだったが、一目見てすぐにその姿は閉じられたため、感動なのかお顔を覚えるエネルギーなのか、どちらに時間を割いたか体感が伴わない。お顔を記憶できたかと問われれば、難しかったですというのが精一杯のような気持ちだ。全身が湧き立ち、一瞬意識が飛びそうにもなった。
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