あなたというひとつの現象「ええ。でも、このカルデアでの生活が終わっても、また召喚されることがあるかもしれません」
「サーヴァントでってこと?」
「はい。そうしたら、いつの日か再会できるやも」
風にそよぐ木立のような人。南に向かう鳥のように目指す場所もなく、この惑星をあてどなく彷徨い歩く、ただの現象である貴女。その貴女といつかまた会いたい、と思うのは可笑しなことだろうか。
「百年後でも、千年後でも。また、お会いできれば嬉しい」
「……その時まで覚えてたらね」
「はい」
きっと貴女は忘れないだろう、と。そんな言葉を笑みの中に仕舞い込んだことさえ見透かされていたようで、貴女は「ほんっと、物好きよね」と眉を下げるものだから、自分はとうとう堪えれなくなって、笑い出してしまうのだ。
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