細工は流々 集中を切らさないように、だがなるべく急いで。
正確に、精密に、美しく。
最初から最後まで気が抜けないのは音楽に通じるところもある、なんて余計な事を考えてる場合ではない。息を整えて、指先に全感覚を集中させる。
この半円形の土台にどんな装飾を施すか、どの順番で取り掛かるか。参考になりそうなサイトを検索したり、記憶をたどってみたり。デザインを考えている時間はいつだって心が躍る。
そうして滑らかに整えられた表面に大小さまざまなパーツを順に埋めていく作業は、難しくもあるがとても楽しい。
最後の一片を乗せたら、ぐるりと回して全体のバランスを確認する。
「っはー! できた。うんうん、我ながら最高だな!」
思い描いた通りの仕上がりについ声が大きくなってしまう。
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