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    ながら(半分収納場)

    @magnolia_cage

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    大倶利伽羅がほとんどいない、大倶利伽羅と火車切の話。主に歌仙。

    #火車切

    竜と猫。/言霊本丸のお迎え「おつかれ。あとは引き継ぐからもう休むといい」
    「…ああ」
     頷いた大倶利伽羅に思わず、え? と顔を上げれば、伸びてきた手に、くしゃりと頭をかき乱された。
    「すまないね、火車切」
     戸惑ったまま呆然と火車切がその背中を見送っていると、引き継ぐと言った刀から謝罪の言葉とともに呼びかけられた。
    「僕は歌仙兼定。この本丸の始まりの一振りだよ。よろしく」
    「…あ、うん」
    「ここの審神者は少しばかり言霊の力が強いようでね。本来なら大倶利伽羅は冬眠の時期で、あまり戦には出ないんだ」
    「…冬眠」
    「竜、春分にして天に昇り、秋分にして淵に潜む。審神者の中では竜は冬眠をする生き物らしくてね、刀身に竜の彫り物を持つ刀やそれに由来する名前を持つ刀はどうしてもその影響を受けやすくできているようなんだ」
    「へぇ…」
    「秋分から春分の間、特に冬場は、そういった刀たちは少々霊力の消費が大きくなりがちな上に回復も遅くなるようでね、大倶利伽羅も普段は戦場に出るのを控えているんだが、今回はきみがいたものだからね」
    「え、俺…?」
    「最初にきみのところへ行った部隊にはいなかったけれど、きみが火車切と名乗っただろう? それにその見た目だ。よく似ている。うちは、所縁のある刀をなるべく出陣させる方針でね。上杉の刀でもよかったんだが、生憎、きみのいた場所に耐えられるレベルの刀が五虎退くらいしかいなくてね」
    「…うん、五虎退も、何回か来た」
    「それで、大倶利伽羅も自分が出陣すると言って出ていたわけだが、まあ、さすがにもう活動限界だろうからね」
    「…ふーん」
    「本当ならきみの案内もさせてやりたいところだが、そういった事情だから代わりの僕で勘弁してほしい」
    「…いーよ。ここの事情、なんとなく分かった」
    「そうかい。なら、本丸を案内しよう。ついておいで」
    「あ、ねぇ」
     踵を返した歌仙へと咄嗟に呼びかける。
    「なんだい」
    「…あ、えっと…ずっと寝てるとか、ないよな…?」
    「ああ…、大丈夫、明日の朝には起きてくるよ。いや、数時間後くらいに空腹で起きてくるかな」
    「そっか…」
    「後で夜食を作るから、持って行ってくれるかい。きみも一緒に食べるといい」
    「う、うん」
     ぱっと顔を上げて頷く火車切に、歌仙が顔をほころばせる。
    「案内ついでにさしあたってのきみの食器を見繕おうか。いずれ自分の気に入ったものを求めるといい。万事屋くらいならあれも付き合ってくれるだろうさ」
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