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    blumeV0511

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    blumeV0511

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    誤字ってた!恥ずかしい!からこっちであげなおし!
    妄想妄想

    コインランドリー真夜中、春の嵐。唐突の豪雨。ずぶ濡れの服は重く、帰宅への道のりを億劫にさせた。別に誰かが待っているわけでもない。ただ、この通り雨を引き摺ってかえるのは少しばかり面倒だと思った。
    目についた光。吸い寄せられて、まるで蛾みたいだと自嘲しながらも足を向ける。よく行くコインランドリー。少し前まで寂れていて、メランコリーの集合体みたいだったそこは、時代の流れに洗い流されさ洗いあがりの洗濯物のようなクリーンさになっていて、自分には少し居心地が悪かった。
    読み込まれた誰のものかも分からない漫画雑誌はもうなく、代わりに出来た喫茶スペースはさながらオフィスのようだった。
    それでも誰もいないというだけで、ホッと息がつけて遠慮なく脱いだ上着を乾燥機に投げ入れた。
    ズボンも入れようかと思ったが、まぁそこやめておいた。
    ランドリーの中は、真っ暗な外から切り離されたかのようだった。白い蛍光灯と意外と心地よい一定の機械音。喫茶スペースにあるカップタイプの自販機でコーヒーを買って、壁際の席に腰をおろす。
    意外と悪くない触り心地だった。
    ズボンのポケットから煙草とライターを取り出す。安い蛍光色のライターはダサいと不評だが、使い勝手は悪くない。
    そもそも、年々重くなる煙草のアレコレのせいで28にもなってダサいライターを使っているから、悪いのは自分ではなく国だ……なんて、疲れた頭が誰にも聞かれてないのに暴論を吐いた。

    裸でいるには些かまだ肌寒い季節だが、ランドリー内は乾燥機の熱量でそれを感じさせない。殴りつけるようだった雨は落ち着き、ランドリーの窓を緩やかに撫でていく。

    眠気が頭を重くし、煙草を咥えたままぼんやりと壁に背を預けてどれくらい経ったか。タイマーはまだならない。
    まだかな、と揺籠のような穏やかさに微睡もうとしたところ、唐突に異音が混じった。ハッとして、眠気が失せる。時刻は真夜中を過ぎていて、緊張が走る。
    異音の先を見つめ、息を呑んだ。キラキラと少し濡れた銀髪をかきあげ、雫のついた腕をタオルで拭う。そんな、なんてことはない姿なのに目が離せないほど美しかった。

    「……」

    視線だけが交じり合う。髪色に似た、曇天の瞳が何の感情もなくこちらを見る。
    人形のように生気はないのに妙に艶めかしい眼差しに、漸く自分が半裸で喫煙をしているクズヤロウだと思いだした。
    気まずいとは思うが、一度吸い出した煙草を勿体ない長さで消す気はないし、乾燥機も焦ったて終わらない。へらりと笑って見せれば、あの艶めかしい眼差しは直様こちらへの興味を失した。

    手にしていた袋から洗濯機へと放り入れ、彼もまた時間を潰すために喫茶スペースへとやってきた。
    手には本とカフェオレ、それから膝掛け。女の子みたいな暇つぶしセットだなと思いながらまたぼんやりと視線をそとに向けたたが、それはすぐにまた室内へ引き戻された。

    「死にたいの?」
    「……はい?」

    唐突の声かけにポカンと間抜けに口を開けてしまう。
    煙草を吸ってるから?禁煙ですとか、洗濯物に匂いがつくからやめてくれとかでもなく、死にたいのかといきなり言われるなんて誰が想定するだろうか。
    何て返したらいいのか分からないまま、呆然としていると、彼は手にしていた膝掛けをこちらに投げ渡した。

    「肺、弱いのに煙草なんて死にたいのかなって」

    何でわかったのか、肺があまり強くない事を。
    ゾッとして指先が震えそうになるのを誤魔化してまた煙草を吸った。

    「人の体事情知ってるとか、ストーカー?きも」
    「……普通に、喘鳴がうるさい」

    えぇ…。
    辛辣をさらに辛辣で返されて絶句。
    こんな機械音だらけのなかで、喘鳴が聞こえるの怖いとか、なんか色々言いたいけどキモいと言われたことに拗ねたらしい相手の顔が思いがけず可愛くて、悪戯心が湧いてきた。

    「なに?心配してくれるの?見ず知らずなのに?」
    「…………隣人だけど」

    再びの絶句。え、隣人?え?基本的に寝に帰ってるからわかっていなかったが、把握されてるってことは少なからず引越しの挨拶云々は多分以前にしたのかも知れない。気まずい、非常に気まずい。
    湧いた悪戯心が頭抱えるくらいには気まずかった。

    「あー……それは、その、すんません」

    とりあえず、謝ってみる。相手は何も言わずにカフェオレを飲んで、視線を膝掛けに向けた。使えと言われているようで、仕方なしに肩から羽織る。
    暖かく、優しいにおいがした。

    「死にたいの?」

    視線が交ざらないまま、同じ質問がまた投げられた。
    しばらく考えて深く煙を吸い込む。酷い雑音が、空気を吐くときに胸を鳴らした。

    「いや?そんなつもりは無いんだけどね」

    やめようにもね、やめられなくて。
    これに依存して生き始めて長いから。

    そんな事を言ってしまって、苦笑。誰かに身の上話をするようなタイプでは無いのに、あまりに不躾な問いに呆気に取られ答えてしまった。
    むしろ長生きは出来るだけしたいけど。そんな事までは口にしなかった。

    「そう」

    短い返答。まぁ、興味はないのだろう。元々。
    そう思って、また煙草を唇に運ぼうとした手は、思いがけず目的地に辿り着かなかった。

    するりと指から煙草が抜き取られる。酷い事に彼は勝手に飲みかけのコーヒーに煙草を落とし入れた。
    もう何が何だか頭が追いつかなくて、ただ呆然としていれば煙草を抜き取った指先が、無遠慮に僕の唇に触れた。

    「……煙草より、こちらが良いですよ」

    影が降りかかる。鼻先を掠めたのは、膝掛けと同じ優しい香りとカフェオレのほろ苦さ。
    柔らかな感触に陰鬱とした体も思考も、流されていく。
    とろりと心地よく、浸りそうな悦を現実に引き戻したのは、機械の停止音。

    目の前の影はさっさと離れ、元の先に戻っている。
    何が起きたのか、わからないまま乾燥機に駆け寄って服を着る。
    唇が、じんと熱い。

    「風邪、気をつけて?ノートン・キャンベルさん」

    慌ててランドリーを出て行こうとする僕の背に蠱惑的な声が僕の名を投げかけた。

    雨はすっかり止んでいて、真夜中の道路は静寂に支配されているはずなのに、家までの道のりは酷く酷く騒がしかった。




    みたいな。
    ヒモのような、夜の仕事してる系男🧲とちょっとストーカー気質の⚰の話がね、見たいな
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