光と消滅ああ、自分は死ぬんだな
そう直感できた。それほどに彼の一撃は重かった。
魔王が息を呑むのがわかる。下を見れば身体に深々と埋まった腕。
それもそうか、『勇者』がこんなに弱かったんだもんな。戦いたくない、なんて思ってしまったからなのかな。
意志に反して視界を光が覆っていく。万が一の時のためにと魔法の村の長老がかけてくれたものだ。
いやだ、やめて。だってこの人は――
「勇者シラー、好きだ!!!!!!!!」
虫食いになっていく意識の端、飛び散る血を見たくなくて閉じた視界を貫くようにそんな声が聞こえた気がした。