褪せない夢に、私も色を公園をかなり離れて、切らした息もすっかり整ったころ。
駅に戻る道すがら信号を待っていれば横からすっと鞄が差し出される。
「……そうだ。これ、荷物」
こうなるとは考えてもなかったから開きっぱなしのチャック。その中から使い古しのノートが覗いている。伏せたまま放置していることも多いせいか、揺れるたびにぱらぱらとページが無造作にめくれる。
思わず奪い取るように受け取って胸の中に抱え込もうとして
「あ」
その拍子に、鞄の中で不安定になっていたノートが落ちる。砂利の散った歩道の上に広がった。
「―――!」
考える前にノートの上に覆いかぶさり、拾う。
顔がかあっと赤くなるのがわかる。あのときのバカにするような声を思い出して心臓が痛い。
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