愛に似たものとても暑かったことを覚えている。初夏というには、まだ少しばかり早い時期。だが、その日はやけに暑かった。
高く青い空を見上げ、ふと脳裏を過る記憶。その記憶に蓋をするように視線を下げ、黒塗りの車の脇に立って待っている補助監督へと向ける。
「七海さん、お疲れ様です」
今日の七海の任務へ同行する補助監督は、まだ若い経験の浅い補助監督だ。
呪術師としてはまだ未熟な術師には、補助監督のサポートがより必要となる。そのため、ベテランの補助監督がそちらへ付くこともある。
逆に七海は呪術師として、すでにそれなりに場数を踏んでいる。一級呪術師となり、危険性の高い任務以外は、サポートの補助監督は経験の浅い者で構わないと高専に話している。
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