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    百合菜

    遙かやアンジェで字書きをしています。
    ときどきスタマイ。
    キャラクター紹介ひとりめのキャラにはまりがち。

    こちらでは、完成した話のほか、書きかけの話、連載途中の話、供養の話、進捗なども掲載しております。
    少しでもお楽しみいただけると幸いです。

    ※カップリング・話ごとにタグをつけていますので、よろしければご利用ください

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    百合菜

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    「幸村の現代EDがあれば」を妄想した話。
    だけど、現代でもふたりは運命に翻弄されそうになるふたり。
    幸せをつかみとることができるのか!?

    外出先で倒れた七緒。
    目を開けると幸村と、そして五月の姿が。

    ##幸七
    ##永遠と刹那の狭間で

    「永遠と刹那の狭間で」10.対10.対

    七緒が目を覚ましたときに視界に映ったのは、見覚えのある天井であった。

    「目が覚めたのですね」

    七緒の心に安堵をもたらす幸村の声。
    幸村の説明によると、食事中に七緒が具合悪くなったと一美から連絡があり、すぐさま幸村が迎えにいき、連れて帰られたとのことだった。
    そして七緒を心配する人がもうひとり。

    「よかった目が覚めたんだね」

    京都にいるとばかり思っていた五月もそこにいた。

    「兄さん! なんでここに」

    驚きを隠せない七緒とは対照的に五月は動じたそぶりも見せずに答える。

    「うん、もともと父さんたちに代わって様子を見にきたんだ。いきなり行ったら悪いからどうしようかと思っていたところ、幸村から電話があって新幹線に飛び乗ったんだ」
    「そうなんだ」

    一通りの状況は読めた。
    おそらく病院に連れていかれなかったのは五月の判断によるところだろう。
    すると五月が心配そうに七緒を見つめてきた。

    「ところで七緒、サンシャインに行ったら具合が悪くなったみたいだけど」

    五月にそう言われて七緒は記憶をたどる。

    「うん、嘆きとか悲しみが聞こえてきたんだよね」

    そう話すと五月は視線を上げて考え込んでいるようだった。

    「なるほど、ね。」

    そして、七緒の方と視線を合わせ、しっかりとした口調で話す。

    「そっか、お前は知らなかったんだね。あそこはもともと刑務所だったんだよ。霊感ある人は霊とかが見えると言われていて、そのことに関しては俺も半信半疑だったんだけど……」

    よどんだ言い方に、先ほどから黙ってふたりの様子を見てきた幸村が口を開く。

    「もしかすると五月も行ったのか?」
    「まあね。七緒の様子も気になるけど、原因をはっきりさせたかったしね」

    そこで一息つき、七緒を見つめる。

    「するといたよ。わんさかとね。異世界で見たような武将ではなく、軍服を着ていた怨霊がね。もっとも普通の人には見えないようだけど」

    あとから知ったことだったが、刑務所で処刑されたものの中には、旧日本軍の関係者もいるとのこと。そのため、第二次世界大戦の頃の格好をしたものがいてもおかしくはないのだろう。

    「しばらくはそういう土地には行かない方がいいかもしれませんね」

    横になっている七緒の手を掴みながら幸村がそう話しかけてくる。
    それはあくまでも七緒を心配する気持ちからの発言。
    だけど、

    「せっかく東京に来たのに、残念だな」

    やっぱりそんな言葉が出てしまう。
    せっかく大都会東京に来て、新しい街、新しい施設に足を運ぶのが楽しかった。だけど、これからは行き先を考えないといけない。そのことが寂しかった。
    落ち込んだ様子を見せる七緒に対して、五月が七緒の顔を覗きこんでくる。
    重くなった彼女の心を少しでも軽くしようかとするために。

    「まあ、何かあれば父さんや母さんも来るし、もちろん俺も飛んでくるから」

    そう。自分にはこの世界にも心強い両親がいる。
    もちろん、すぐそばには幸村がいるし、京都には五月がいる。
    だからひとりで抱える必要はない。
    それに行けない場所だらけというわけでもない。無理さえしなければある程度自由に動ける。

    「あと、怨霊のことも調べておくよ。異世界のこととかと何か関係あるのかもしれないし」

    五月のその言葉が今はとても心強く感じる。
    七緒に笑顔が戻ったからだろうか、五月がくすりと笑う。

    「そういえば俺がここに来たときの幸村の顔、七緒に見せてあげたかったな」
    「五月!」
    「一美さんだっけ、七緒が一緒に遊びにいった相手。薙刀部の先輩だから女性だということがわかりそうなものなのに、男性かと思って慌てふためいていてさ」

    五月の言葉から思わずそのときの様子を想像してしまう。
    確かに一美は女性の割りに背が高く、髪も短く、声も低い。
    一緒に過ごしていると些細な動作から女性らしさを感じることができるが、パッと見だとボーイッシュな女性、人によっては男性だと思っても不思議ではない。
    もしかすると幸村に隠れて他の男性と会っていたと疑われたのかもしれない。

    「大丈夫ですよ、幸村さんが心配するような関係ではないです」

    七緒のその言葉に幸村はほっとため息をつく。
    もちろん七緒の気持ちを疑ったわけではないのだろう。
    ただ、慣れない環境で気が張っていたのは幸村も同じだったみたいだ。早とちりをするほど判断能力が欠けていたのかもしれない。

    「それにしても、私がいないときなら手の打ちようがありませんが、せめて一緒にいるときくらいは七緒を守れるようになりたいですね」
    「そうだね。ここでは槍を構えることも難しいしね」

    幸村の言葉に呼応するかのように五月が答える。
    すると何か考えが浮かんだらしい。ひとつの考えを述べる。

    「幸村、フェンシングをやってみるのはどうだい?」
    「ふぇんしんぐですか?」
    「ああ、剣道でもいいけど、常に持ち歩くことを考えるとフェンシングの方が小型でいいと思うんだよね。あと、幸村は槍だったから、突くことを目的としたフェンシングの方があっていると思うよ」

    そう言いながら五月はスマホを操作し、画面を幸村に見せる。
    すると、最初は怪訝そうな顔をしていた幸村が興味深げに見つめている。

    「面白そうですね。特に一瞬で技が決まるところとか」
    「じゃあ、決まりだね。父さんの知り合いがスクールをやっていると話していたから、今度紹介するよ」

    幸村も少しずつ東京でやるべきことを見つけている。
    そして、そんな幸村に少しでも負担になりたくなかった。
    まずは身体を整えよう。
    そう思いながら久しぶりに会う兄と自分の愛しい人が笑顔を向け合う様子を七緒は眺めていた。
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    百合菜

    DOODLE地蔵の姿での任務を終えたほたるを待っていたのは、あきれ果てて自分を見つめる光秀の姿であった。
    しかし、それには意外な理由があり!?

    お糸さんや蘭丸も登場しつつ、ほたるちゃんが安土の危険から守るために奮闘するお話です。

    ※イベント直前に体調を崩したため、加筆修正の時間が取れず一部説明が欠ける箇所がございます。
    申し訳ございませんが脳内補完をお願いします🙏
    1.

    「まったく君って言う人は……」

    任務に出ていた私を待っていたのはあきれ果てた瞳で私を見つめる光秀さまの姿。
    私が手にしているのは抱えきれないほどの花に、饅頭や団子などの甘味に酒、さらにはよだれかけや頭巾の数々。

    「地蔵の姿になって山道で立つように、と命じたのは確かに私だけど、だからってここまでお供え物を持って帰るとは思わないじゃない」

    光秀さまのおっしゃることは一理ある。
    私が命じられたのは京から安土へとつながる山道を通るものの中で不審な人物がいないか見張ること。
    最近、安土では奇行に走る男女が増えてきている。
    見たものの話によれば何かを求めているようだが、言語が明瞭ではないため求めているものが何であるかわからず、また原因も特定できないとのことだった。
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    百合菜

    MAIKING遙か4・風千
    「雲居の空」第3章

    風早ED後の話。
    豊葦原で平和に暮らす千尋と風早。
    姉の一ノ姫の婚姻が近づいており、自分も似たような幸せを求めるが、二ノ姫である以上、それは難しくて……

    アシュヴィンとの顔合わせも終わり、ふたりは中つ国へ帰ることに。
    道中、ふたりは寄り道をして蛍の光を鑑賞する。
    すると、風早が衝撃的な言葉を口にする……。
    「雲居の空」第3章~蛍3.

    「蛍…… 綺麗だね」

    常世の国から帰るころには夏の夜とはいえ、すっかり暗くなっていた。帰り道はずっと言葉を交わさないでいたが、宮殿が近づいたころ、あえて千尋は風早とふたりっきりになることにした。さすがにここまで来れば安全だろう、そう思って。

    短い命を輝かせるかのように光を放つ蛍が自分たちの周りを飛び交っている。明かりが灯ったり消えたりするのを見ながら、千尋はアシュヴィンとの会話を風早に話した。

    「そんなことを言ったのですか、アシュヴィンは」

    半分は穏やかな瞳で受け止めているが、半分は苦笑しているようだ。
    苦笑いの理由がわからず、千尋は風早の顔を見つめる。

    「『昔』、あなたが嫁いだとき、全然相手にしてもらえず、あなたはアシュヴィンに文句を言ったのですけどね」
    1381

    recommended works

    百合菜

    PAST遙か6・有梓
    「恋心は雨にかき消されて」

    2019年有馬誕生日創作。
    私が遙か6にはまったのは、猛暑の2018年のため、創作ではいつも「暑い暑い」と言っている有馬と梓。
    この年は気分を変えて雨を降らせてみることにしました。
    おそらくタイトル詐欺の話。
    先ほどまでのうだるような暑さはどこへやら、浅草の空は気がつくと真っ黒な雲が浮かび上がっていた。

    「雨が降りそうね」

    横にいる千代がそう呟く。
    そして、一歩後ろを歩いていた有馬も頷く。

    「ああ、このままだと雨が降るかもしれない。今日の探索は切り上げよう」

    その言葉に従い、梓と千代は足早に軍邸に戻る。
    ドアを開け、建物の中に入った途端、大粒の雨が地面を叩きつける。
    有馬の判断に感謝しながら、梓は靴を脱いだ。

    「有馬さんはこのあと、どうされるのですか?」
    「俺は両国橋付近の様子が気になるから、様子を見てくる」
    「こんな雨の中ですか!?」

    彼らしい答えに納得しつつも、やはり驚く。
    普通の人なら外出を避ける天気。そこを自ら出向くのは軍人としての役目もあるのだろうが、おそらく有馬自身も責任感が強いことに由来するのだろう。

    「もうすぐ市民が楽しみにしている催しがある。被害がないか確かめるのも大切な役目だ」

    悪天候を気にする素振りも見せず、いつも通り感情が読み取りにくい表情で淡々と話す。
    そう、これが有馬さん。黒龍の神子とはいえ、踏み入れられない・踏み入れさせてくれない領域。
    自らの任 1947