🍎🥁のお夜食寝らんねえ。
特に寝苦しいってわけでもないが、ただなんとなく横になってるだけで寝付ける感じでもない。
スマホを開く。午前2時。望遠鏡を担ぎ出すやつもいる頃合いだ。
今日は夕方から練習あったから、その興奮が冷めやらぬせいかもしれない。それと割と早い時間に晩飯にしたのもあって、胃袋が支援物資を求めている。
腹の虫がついに声を上げた。シュプレヒコールである。このままでは暴動を起こしかねない民衆の声に、千川政府は全面降伏を表明した。あーあ。
またシーナとコンビニ合流するかとも考えたが、そう日も経ってないのに何度も呼び出すのは気が引けた。夜の逃避行はたまにするからいいのだ。
のそのそと這い上がり、キッチンの小さな明かりをつける。お、なんか作業工房っぽくてワクワクしてきたぞ?
冷蔵庫の灯りに目を細めながら、揚げ玉と豆腐と卵を取り出す。豆腐は3パックセットの小さいやつ。一人だとちょうどいいんだなこれが。
フライパンを火にかけ揚げ玉を散らす。乾煎りする間に、明日の朝飯になるはずだった米を炊飯器から丼に移す。明日のことは知らん。
いい感じに香りが立ってきたので豆腐を投入。くはは、トウフなのにトウニューだってよ。傍目には誰もいないはずの空に笑いを飛ばす。
崩した豆腐に火が通ってきたので、めんつゆを回しかける。ばちばち。それをちょっと吸わせたら卵を落とし入れて、すかさずじゃかじゃかかき回す。弾けるこの音と鼻腔をくすぐる匂いがもうたまらない。
着丼。完成。
なんか知らんけど母ちゃんがたまに作ってた丼。
アツアツの豆腐とふわふわになった揚げ玉を、米とともに一気にかっこむ。ほふっふ。
早い話がめんつゆ味のものを米にかければそれだけで旨いのだ。貧相な具材が秘密の夜を引き立ててくれる。
ごっそさんでした。役目を終えた者達を流しに突っ込んで、寝床に体をねじ込んだ。胃が温まって適度な幸福感。
あー、これならウチに呼ぶのもアリだったかもな。夜だからっつって呼び鈴じゃなく蒼い爪の先で小さくコツコツすんだろ。そんで…そんで……。
そんなことを考えながら明日は寝坊が確定するリーダーでしたとさ。