- おさなごころ -⚠️ とんでもなく【なんでも許せる方むけ】です
邪答院仄仄さん視点
妄想と捏造のみ
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ひとりぼっちとは無縁の
『ふつう』の生活を送る男子高校生
みんなから愛されて
いとおしくていとおしくてたまらなくなっちゃった
ざらついた愛を溢れるまで注いであげたくて
なんかいも何回も撫で回しちゃう
みんなが一二三を愛してる
私も一二三を愛してる
とってもとーっても愛してるの、だから、ね?
「伊弉冉一二三…?」
十年ぶりくらいかしら
久しぶりに見たはずの一二三の名前は、凡庸な資料の中でもすっごく眩しく輝いてみえたの
合歓ちゃんのところにあったDRBの資料。そこに載っていた一二三の名前を一目みて、興味がわいたのは確かよ。けれど、あんまり期待はしていなかったの。それなりに時間は経っていたし、一二三の容姿は大人の男の人って感じだったし、観音坂くんともなんだかずーっと一緒だったみたいだし、あ、そうそう、DRBも優勝したのよね?すごいすごい
期待なんてしていなかったのに、久しぶりに会えた一二三があまりにも綺麗に歪んでいたから嬉しくなっちゃった
あの雨の日に別れた一二三が、私好みの綺麗な歪さを抱えてここまで生きていてくれたなんて、ねぇねぇこんなステキなこと信じられる?
欠けた一二三の美しさが愛しくて
傷ついた一二三の美しさを愛した
人間らしい一二三の愛おしさが美しかった
あの雨の日に愛して別れた一二三と、まるで時計の針を巻き戻したかのような巡り合わせ
一二三のお店で会えた時、声をあげて嘆きながらお喋りしてくれたでしょう?一二三が私の世界を鮮やかにしてくれるのだと思ったら胸がすっごーく高鳴っちゃった
あぁ、また一二三と遊べるなんて!
惜しみなく一二三と愛について確かめられるなんて!
かわいい一二三をまるごと抱きしめてあげられるなんて!
幼虫が成虫になる過程で蛹の中で一度その体をドロドロに溶かしてしまうように、自己暗示という硬い殻の中で、頭が胸が腹が心がバラけて不完全な大人になっていく姿を観られなかったのは残念だったけれど、これからだってもっとステキな一二三が観られるのだからおねぇさんは気にしないよ
これからもよろしくね、またいっぱい遊びましょうね
一二三にはそう伝えたはずなのに、
それなのに、
一二三は私の前からなくなった
その代わりに、
あなたが私の目の前に居たのよね
≪ 完璧 ≫
どうしてかしらね、あなたの言葉なんてまったく要らない
あなたに対する興味なんて毛ほども持てない
手放すつもりなんてなかったのに、一二三は行ってしまった
私が愛した一二三はあなたに食べられてしまったの?
揺らぐ瞳の底は同じ色をしているのに、不思議とあなたとは目を合わせたくないの
あなたが育った蛹室をつつくなんてことも楽しくないし、そこに一二三のぬくもりがないなら尚更よね
あなたに一二三を奪われた、それだけでどうして私はこんな気持ちになっているの?
祝詞を奏でるかのように清らかなあなたの言葉は要らない
呪いのように這いずる泥にまみれた一二三が見たくておまじないをかけていたはずなのに
私が愛すよりも前に、あなたに奪われた
それともあなたが ≪大切な一二三をその手に取り戻した≫ つまりは失くしたものを取り戻したってことなのかしら?
あなたが体内に孕む恐ろしい熱
その熱で一二三のことを燃やし尽くしてしまわないように、ちゃぁんと気をつけてあげてね
せっかく傷つけずに大事に持ち帰った宝石が、
そのすべてが灰となるのは、あなたも望まないでしょうから
私は一二三のことは忘れてしまうけれど、
揺らぐ瞳からこぼれる涙がほんのり暖かいと感じたことだけは、きっと忘れずにいられると思うわ
さよなら、一二三
続けられなくてごめんなさいね
ごっこあそびも これで
やっと
おしまいね。