フリの成人お祝い温い夏の夜風が吹き抜ける。すっかり陽の落ちた庭先は暗く、フリスクは足元に気をつけながらベンチに腰掛けた。白いペンキの塗られたそれは、この家に引っ越してきたばかりの時にアズゴアと一緒に作った物だ。
地上での新しい暮らしのために借りた古い家はこじんまりした二階建て。悪い魔女が住んでいそうな汚れた壁と荒れ放題の庭。外装も内装も全て好きにして良いとオーナーからの許しを得て、トリエルと二人で毎日張り切って素人が出来る範囲のリフォームをした。
剥げたペンキを塗り直し、壁紙を変え、カーテンを選んだ。庭の草を刈り、季節ごとの花を植えた。ちょっとした茂みのようになっている低木の白い花は夏に咲くフリスクのお気に入りだ。星のような形で、甘い香りを漂わせる。暗い中で見ると花が月の明かりを受けて薄ぼんやりと光って見える。すぐそばに星があるようだった。
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