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    kiri_nori

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    お題はメル燐ワンウィークドロライさんよりお借りしました。

    ##メル燐

    体温 秋も深まり最近は外を歩くだけで身体が冷える。HiMERUとして万が一にも体調を崩してアイドル活動に支障が出ないよう気をつけてはいるものの、寒さを感じてしまうことはどうしようもなかった。


    「天城、手を出してください」
    「なに? 何かくれンの?」
     手の平を上にして出してきた天城の左手に何かを置くこともせず、両手で握りしめた。先に楽屋入りしていたからそうだとは思いましたが、やはり温かい。
    「つめっっっった! メルメルなに!? 外で氷でも触ってきた!?」
    「失礼ですね。HiMERUはそんな不必要に手を冷やすことなんてしません。最近は一気に寒くなったでしょう。そのせいですよ」
    「いや、それにしても限度ってものがあるっしょ……」
     手を握られたときは反射的に払おうとしていた天城が今はされるがままになっている。好きにしろということなのだろう。それをいいことに遠慮無く天城の手を握りこむ。そこまで冷えていた自覚はなかったけれど、天城の手を触っていると指先に感覚が戻っていくのを感じた。どうやらHiMERUの思っていた以上に冷えていたらしい。それとも天城の体温が高いのだろうか。
     ぐにぐにと刺激をしていると体温が混ざり合っていくのを感じる。今日みたいな気温の日が増えていくことを考えるとカイロか何かを持ち歩くようにした方がいいだろう。
    「……メルメル、それ楽しい?」
    「特に楽しくはありませんね。ただ、指先が温まったことには礼を言います」
    「そりゃどーも」
     さすがにもう離してもいいと思ったが、何となく惜しいと思ってしまう。思い返してみれば天城の手をこうして触ったことはなかったかもしれない。天城の方から勝手に肩なり腕なりを組んできたことはある。ただ、直接手を触られたことはなかったように思う。それが偶然なのか天城にとっての線引きなのかは分からない。……こうして触って振り払われない時点で線引きなんて存在していなかったのかもしれないが。
    「……ありがとうございました」
     パッと手を離す。実際どうなのかは置いておくとしても、ラインを越えたのはこちら側だという自覚が芽生えてしまった。どうにも気を許しすぎてしまったみたいだ。今一度気を引き締め直す必要があるだろう。
     視線を上げて天城の顔を見れば先程までの、とりあえず好きにさせてやるといった表情と違ってニヤリと笑みを浮かべている。
    「こっちの手はいいわけェ?」
     ひらりと天城が空いていた右手を振りながら言った。
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