ともしびを手に 4安慶に向かうべく結託をした二人は、段取りを詰めながら機会を待った。そして二ヶ月が過ぎた頃、江楓眠が清談会で不在の間に夜狩に出ることになった。
夜狩を願い出たのは雲夢の西に存在する木蘭山、その麓にある荘からであった。
山に住まう妖怪が、麓の荘まで降りてきて悪さをするので退治に赴いて欲しいと訴え出る話を江澄は聞きつけると、魏無羨と共に虞紫鳶へと妖怪退治に名乗りを上げた。
腕を上げたいと願い出る二人に虞紫鳶は、二十人の門弟を付けるならばと許可を与えた。
そして江澄が門弟を引き連れる形で蓮花塢を出発した一行は、日がある内に木欄山に到着すると、その日のうちに妖怪は見事退治されたのである。
だがその日のうちと言っても、退治を終えたのは夜もすっかり更けた刻限だ。蓮花塢に戻るのは翌日となり、その日は木欄山の荘に宿を取ることになった。
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