パバステ展示物冒頭部(てるかおになります)弁護士を辞めた。
正確には、勤めていた弁護士事務所を辞めて、フリーになったと言った方が正しい。守りたいと思ったものを守って、己の正義を貫いた結果だから後悔は無い。だけど、この先どうするかとか、経験年数の浅い俺がフリーの弁護士として活動をしたところで上手くいくのかとか。そういうことを考えていたら、急にこの先の未来が真っ暗になった気がした。
まるでそれは、薄い氷の上に立っているような、不安。あとちょっとでも身動きしたら、暗い水の底に叩き落とされてしまうんじゃないかという、漠然とした恐怖。特に深夜から朝方にかけての時間に、ふと目が覚めては襲われた。ベッドの中で体を丸めて、もう一度眠りに落ちるまできつく目を閉じてやり過ごす。
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