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    💀🐙香/水パロ⚠n番煎じ⚠冒頭部分のみです⚠

    #イデアズ
    ideas

    「別れましょうか」

    そう言って、真っ直ぐに自分を見つめるその空色の瞳を、今でも夢に見る。
    寝覚めはいつだって最悪だ。襲い来る自己嫌悪の嵐。何度忘れようとしたって無駄だった。それは空を見るたび、海を見るたび、胸の奥底から濁流のように押し寄せてくるのだから。
    我ながら、未練がましくて嫌になる。そもそも未練を抱けるような立場でもないのに。またこうして夢に見ては、取り返しのつかない過ぎた日のことを思い返して。
    イデアは、のそりと上半身を起こした。ベッドサイドの青白い装置の中で弟がスリープモードに入っているのを見て、今が日中でないことを知った。確か最後の記憶では夜中に帰宅してそのままベッドに倒れ込んだから、下手をしたら丸一日眠っていたのかもしれない。
    ナイトレイブンカレッジを卒業して、三年。
    イデアは魔導工学に特化した民間の開発機関で、研究員の一人として働いていた。
    働いていると言っても、学生時代からこの分野の最先端を独走して来たイデアは引く手あまただ。就職活動などするまでもなく、イデアの前には世界各国の研究機関から数え切れないほどのオファーが舞い込んできた。その中から、一番条件の良いものを選んだ。研究内容にも勤務形態にも、一切口出しはしない。最高級の研究設備の下、イデアは好きなことを、といっても専ら機会の体を持つ弟のための研究を続けていた。そうしてビジネスにも応用できるようなものが仕上がれば、機関が勝手に利用していく。勿論特許の類まで売り渡してはいないが、オルトの開発さえ出来れば金銭にはさほど興味のないイデアだ。あとは衣食住を賄える賃金を貰えていれば、これといって文句はない。もっとも、そんなイデアに支払われている給料は並大抵のものではないのだが。
    昨晩、と言ってよいのかも定かではないが、とにかくイデアの記憶上の昨晩は、ここ数日思い立って開発していた機構とプログラムが完成して、三日ぶりに自宅へ帰ってきたところだった。久しぶりの我が家、久しぶりのベッドにイデアの意識は瞬く間に失われ、泥の中に沈み込んていった。そうして、夢を見た。懐かしい、いつかの日の。思い出したくもないのに決して忘れることも出来ない、人生で二番目くらいに最悪な日の夢だ。
    からからに乾いた喉が不快だった。眠りすぎて重い頭を軽く振って、 イデアは立ち上がりキッチンへ向かう。冷蔵庫から冷えたペットボトルを取りだして、ごくごくと一本まるまる飲み干した。
    空腹と夢のせいでまぜかえるような胃の中に冷たい液体が流し込まれて酷く気持ち悪い。おえ、と胃の中の空気を吐き出して、代わりにそこらにあった固形の栄養食品を嚥下した。十分だとは言えないが、まだ眠気も残っている。これ以上稼働するのは心身ともに限界だ。
    イデアはふらふらと寝室に戻ると、再びベッドの上に倒れ込んだ。眠い。包み込むような布団が気持ちいい。閉じた覚えもない瞼はもう持ち上がりそうもなかった。このまま意識を手放して、もう一眠り。ああ、またろくでもない夢を見るんだろうなと、最悪な気分になりながら睡魔に身を委ねようとした時だった。
    ぴこん、と軽快な音ともに閉じた視界に僅かな光が差す。枕元に置いてあるタブレットが、何か受信したらしい。どうせ大した用事ではないだろう。こんな夜中に、といっても正確な時間も分からないが、オルトが眠っているような時間に送られてくるのだから向こうだって直ぐに返事が返ってくるのを期待してはいないはずだ。というか、仮にそうだったとしてそんな非常識な相手に付き合ってやる義理もない。
    そんなことを沈みかけた意識で考えながら、タブレットに抗うように瞼を強く閉じて体を丸めるイデアの耳に、無機質な機械音声が虚空に向かって喋るのが聞こえた。

    『「アズール・アーシェングロット」さんから、メッセージが届いています』

    は? と、ろくに回らない頭でも何か有り得ないことが起きているらしいことは分かった。すぐさま手探りにタブレットを手繰り寄せる。がた、と充電スタンドが地に落ちる音がしたが、そんなことは気にもならなかった。目の前の画面の明るさに辛うじて開いた目を細める。なに? なんて? 今なんて言った? 理解の及ばない意識の中、きっと何かの間違いだろうと光が滲みる画面を見つめる。何度目かも分からない瞬きを繰り返して、イデアはようやくそこに映し出された文字を認識した。

    『アズール・アーシェングロット:いつお会いできますか』

    自分の目が確かにそれを捉えた瞬間、イデアは先ほど流し込んだばかりの水と固形物を全てその場で吐き戻した。

    ***
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    MAIKING仏゛部のふたりが仲良くなるまでの話②
    気まぐれに続きます
    陸に上がって初めてできた先輩は、何かと人の正気を疑ってくる失礼な男だった。
    陸の礼儀に則って完璧な挨拶をしてみせたというのに、衣服を深く被って視線を逸らす。その隙間から覗く黄金色の細い瞳と、青く揺れる髪が印象的だった。
    ああ、陸にはこんなものもあるのかと。
    共に海からやってきた双子も同じ色の瞳を持っているが、彼の黄金はどこか陰がさしていて、ただ輝くだけではなかった。どちらかと言えばその反対で、薄暗く見えるのに時折、ひらりと光を反射して瞬く。ほとんどが暗闇に包まれた海の底とは違って、地上は光に溢れていた。沈みゆく茜色の太陽に照らされて、その黄金色と、淡く揺れる青がきらきらと。
    彼の髪が「炎」というものだと知ったのは、後になってからだった。

    「シュラウド先輩。おはようございます」
    「……おはよう。きみ今日もいるの」
    「先輩だって来てるじゃないですか」

    入部した日から三日、アズールは放課後になるとボードゲーム部の部室へと足を運んでいた。
    散々こけにされたチェスの腕を磨きたかったのもあるし、彼の言う「他のゲーム」にも関心があった。部室には海の中で学んだものとは桁違いの数のゲームがあって、そ 2184

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    MAIKINGいずれ💀🐙になる仏゛部のふたりが仲良くなるまでの話①
    気長に続きも書けたらなと思います。
    ボードゲーム部は、文化部の中でも地味で大人しい部活である。
    軽音楽部のようにウェイな陽キャが新入生歓迎会で壇上からダイブすることもないし、サイエンス部のように変人が集って料理をしたり演劇の手伝いをしたりすることもない。所属するのはただゲームが好きなだけの目立たない生徒ばかりで、端から活動自体があまり活発とは言えないし、参加も自由だから所属してるだけの者も多い。一応新歓期間ということで活動日を増やしているこの一週間だって、部室にやって来てるのは精々四、五人だ。
    それでも平時に比べれば多い方だ。いつもは一人か二人、多くて三人。対戦相手がろくろくいないから来る者も減るという、分かりやすい悪循環である。
    もっとも、そんな所もイデア・シュラウドは気に入っていた。
    一人でひっそりと過ごしていたいイデアにとって、いつ来てもほとんど人のいない部室は貴重な安全圏だ。どうしても校舎に来る必要があるとき、あるいはデジタルではなく直接駒に触れてゲームをプレイしたいとき。イデアはこの人気のない部室の片隅で、一人盤面と向き合う。
    だから、まあ、この時期にやって来たのはイデアにとって失敗だった。
    いつもより人が多い 5310

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    MAIKING💀🐙香/水パロ⚠n番煎じ⚠冒頭部分のみです⚠「別れましょうか」

    そう言って、真っ直ぐに自分を見つめるその空色の瞳を、今でも夢に見る。
    寝覚めはいつだって最悪だ。襲い来る自己嫌悪の嵐。何度忘れようとしたって無駄だった。それは空を見るたび、海を見るたび、胸の奥底から濁流のように押し寄せてくるのだから。
    我ながら、未練がましくて嫌になる。そもそも未練を抱けるような立場でもないのに。またこうして夢に見ては、取り返しのつかない過ぎた日のことを思い返して。
    イデアは、のそりと上半身を起こした。ベッドサイドの青白い装置の中で弟がスリープモードに入っているのを見て、今が日中でないことを知った。確か最後の記憶では夜中に帰宅してそのままベッドに倒れ込んだから、下手をしたら丸一日眠っていたのかもしれない。
    ナイトレイブンカレッジを卒業して、三年。
    イデアは魔導工学に特化した民間の開発機関で、研究員の一人として働いていた。
    働いていると言っても、学生時代からこの分野の最先端を独走して来たイデアは引く手あまただ。就職活動などするまでもなく、イデアの前には世界各国の研究機関から数え切れないほどのオファーが舞い込んできた。その中から、一番条件の良いものを選 1897

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    tako8megane

    PASTイデアズ♀(※先天性にょた)
    悪役令嬢パロディ
    🐙♀に似合いそうなドレスを見つけてから、脳内で名家の御子息💀×悪役令嬢🐙妄想が止まらない…

    ってフォロワーさんに壁打ちレベルで語っていたら、
    神(ゆーやさん)が素敵小説を書いてくださりました!!(五体投地)
    【冥界の花嫁は麗らかに嗤う】 novel/series/1509986

    以下は自分メモ用妄想ツイコピペ
    ーーーーーーーーーーーーー
    3枚目)
    家の所有地の湖で、婚約者がまさか水浴びしてるとは思わなくて遭遇してしまったイデアズ♀が読みたい(パロディ)🐙は人魚だという事を隠してるとおいしい
    4枚目)
    💀『キャ―――――――――!!!!!』(乙女の叫び)
    🐙『見たんですか!?(人魚姿を)』
    人魚だから裸を見られても正直そんなに恥ずかしくないので、湖のほとりで固まってしまった💀にぐいぐい裸で近づいていって『み、見ましたか!?(人魚姿を)』と詰め寄る🐙に、『み、みみみたというより進行形で見えてるからぁああ!?待って!?タイムタイムっ!!』(童貞)ってやり取りしてほしい

    5枚目)
    🐙「僕たちは、事実上もう夫婦なんですよ?」
    💀「あ~~~~~~~~なんでそんな積極的なの」
    🐙「人魚なので」

    8枚目)
    断髪イベ後に改めて結ばれたイデアズの挙式挙げる話が読みたい(強い幻覚)
    「キミの髪は短くなっても素敵だね」
    「ふふふっ、惚れ直しましたか?」
    「…一目見たときから惚れてたよ」
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