ただいまとおかえりただいまとおかえり
ロナルド君は売れっ子の退治人だ。一緒に暮らして世話したり、脱稿後の暴れ回るすがたを見たりしていると忘れがちになるが。休日に街を歩けばファンが挨拶に来るし、小学生たちは駆け寄ってくるし、それが無くたって突発の依頼がギルドから舞い込んだりする。つい先日そのロナルド君と付き合い始めた身としては、嬉しさ半分、いや私のロナルドくんだぞという気持ち半分。嘘。二対八くらい。吸血鬼は結構執着するたちなのだ。せっかく私のものになったのに。
まぁ、今日も割とそんな感じなんだろうな。つい先程ギルドから呼ばれたロナルド君を見送りながらそう思った。大した用事ではないと言っていたものの、おポンチ吸血鬼の巣窟であるこのシンヨコですぐに帰ってこれた試しなど片手で数えるほどしかない。
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