Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    さみぱん

    はじめての二次創作

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 🐈 🐱 💖 🎉
    POIPOI 27

    さみぱん

    ☆quiet follow

    スタオケ版フリーライトに初参加させて頂きました
    https://twitter.com/samipan_now/status/1433457174546554880?s=20

    初出:2021.9.3
    顔が見たかっただけの笹唯
    めいこさんの描かれる笹唯が大好きすぎて、我慢できずに初めてタグ付きで投稿してしまったもの

    ##笹唯
    ##スタオケ版フリーライト
    #スタオケ

    ハグ【笹唯】 そういえば今日はまだ朝日奈の顔を見てない。気が付けば近くに居るのが当たり前になっていた。何かにつけてくるくると良く変わる表情は見ていて飽きない。
     それが、無い。何かが、足りない。
     閑散とした寮の様子から察するに、どうやら今日は平日で、普通の高校生はまだ授業中といったところなのだろう。平日…?会ってないのは今日だけか?今日は何日だ?先刻起きたばかりだからか頭が働かない。
     最初はちょっとしたトラブルだった筈が、運悪く締切が重なる羽目になり、ずっと作曲と編曲に没頭していた。仁科とは事務的な会話をした気がするが、他のことは全て自動的にシャットアウトされてしまう。
     作業の合間に席を立つと、何度か飲み物やら軽食が置かれていたのは覚えている。いま思えば仁科がおむすびを作るわけがないし、差し入れに来てくれたのが誰かは推理するまでもない。でも朝日奈が来た時、顔を見たのか会話をしたのか記憶にない。
     トラブル発生から計算してみればわかるが、あれから何日過ぎたのか、何徹したかの体感がない。日付の感覚がまるでない。
     ダメだ。冷えた水でも飲んでもう少し眠るか。ラウンジから見える庭の様子と日差しの感じで、なんとなくわかる。練習が始まる時間にはまだ早い。
     そろそろ授業は終わる時間、か──

     ぼすっ…
     背中に鈍い衝撃を覚えた。さらに腹部にかかる微かな圧迫感。目を落とすと星奏学院の制服と見慣れた細い手首。
     朝日奈だ。
     笹塚の口元が無意識に緩む。ヘッドホンをずらして肩越しに振り返ろうとすると、それまで無音だった世界に奇妙な音が聞こえてきた。
    「笹塚さん笹塚さん笹塚さん笹塚さん…」
     朝日奈が背中に顔をうずめたまま、ぶつぶつと呪文のように何か唱えている。
     笹塚は目を一瞬見開くと、一拍おいて相好を崩した。僅かに腹筋に力が入ったのを感じたのか、朝日奈のつぶやきが止まった。と同時に腕が緩んだ隙に笹塚がくるりと向きを変える。
    「…何やってんの、あんた」
    「ここんところお忙しそうで全然会えなくて差し入れも行ったんですけどお邪魔かなと思ってすぐ帰っちゃってお話もできないしわかってましたけどマインも未読だし顔もみてなかったから。やっと捕まえました!」
     朝日奈は顔を上げないまま、早口で捲したて、ぎゅうっと抱きついてくる。
     ああ、俺もあんたに会いたかった。
    「顔見せて」
    「やです、今ひどい顔してる」
     両手で頬を挟んでこちらを向かせると、案の定真っ赤な顔だ。
    「じ、自分でも恥ずかしいことしてるなって思いますけど、だって体が勝手に動いちゃって…!」
     赤いのは顔だけじゃない。耳まで真っ赤だ。それに。
    「ふは…あんた、やっぱり可愛いな」
     笹塚はコートの縫い目の後がくっきりと付いた朝日奈の額にキスを降らせた──
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💞💯💞💞💞💞💞💞💞💞💞💞
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    さみぱん

    DONEスタオケ版フリーライトへの参加作品です
    https://twitter.com/samipan_now/status/1528016739367198720
    いぶちこさん(@ibuchi_co)の、めちゃくちゃ可愛くて笹唯ちゃんも桜も満開なイラストにSSをつけさせて頂きました!

    少し不思議な体験をした笹塚さんのお話。
    頭の中でどんな音が鳴っているのか聞いてみたいです。
    初出:2022.5.21
    まぶしい音『それでね、今日────』
     電話の向こうの朝日奈の声が耳に心地いい。
     札幌と横浜、離れて過ごす日があると、小一時間ほど通話するのが日課になっている。最初はどちらからともなくかけ合っていたのが、最近は、もうあとは寝るだけの状態になった朝日奈がかけてくる、というのが定番になってきた。
     通話の途中で寝落ちて風邪でもひかれたら困るというのが当初の理由だったが、何より布団の中で話している時の、眠気に負けそうなふんわりした声のトーンが堪らない。
    『────。で、どっちがいいと思います?』
    「ん……なに?」
    『もう、また聞いてなかったでしょ』
     俺にとっては話の内容はどうでもよかった。朝日奈の声を聞いているだけで気分が晴れるし、何故か曲の構想もまとまってくる。雑音も雑念もいつの間にかシャットアウトされ、朝日奈の声しか感じられなくなっているのに、断片的な言葉しか意味を成して聞こえないのが不思議だ。
    2342

    related works