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    モグ束(おか束+モグ月前提&おか、月は故人)
    モグに惹かれてる事実とおかのことを自分だけは忘れちゃいけない罪悪感に苛まれて限界な束が爆発する話を書きたかった。拗らせすれ違い両片想いが好きすぎた。

    あとおかが死んだと頑なに認めない束に事実を突きつける土竜が書きたかったなどと供述しており…

    #探占
    divination
    #モグ束
    mogBundle

    真っ暗な部屋が好きだった。
    此処にいれば誰にも痛いことをされたりしないし、理不尽に怒りをぶつけてくるような人もいない。点々と、少しだけ空いた隙間から差し込む光はまるで、いつか絵本の中で見たオホシサマのようで。閉ざされた世界を照らしてくれるそこは、いつだってイライの心の拠り所だった。
    冷たい床に転がって、暗い夜の海に意識を遊ばせていると、フードに覆い隠された耳がよく聞き慣れた足音を捉える。軽やかな足音は一歩、一歩と近づいてくると、イライのいる部屋の前でぴたりと止まった。かちゃりと開いた扉へと視線を投げると、何事もなかったかのようにイライはもう一度天井を眺める。
    扉が閉まると同時、近づいてきた影が上からイライを覗き込んで、それから数秒。地面に横になったイライの隣に、影が蹲み込む。鼓膜を震わせる声は、すっかり聞き慣れたあの子の声だった。
    「やっぱり此処にいた」
    「……どうして分かったの?」
    イライが首を傾げるのも当然のことだ。だって此処は院内の誰も知らない筈の場所。否、もしかすると気付いている人間もいるのかもしれないが少なくともイライが自らこの場所を誰かに明かしたことはない。誰も知らない、自分だけの秘密の隠れ家。だというのに、彼──ノートンはいとも簡単に辿り着いてしまったのだ。心底不思議でたまらないといった声音で問いかけるイライの手を緩く引いて、ノートンはふわりと微笑んでみせる。
    「分かるよ」
    「え?」
    その声がいつものノートンと違う人のように聞こえて。思わず顔を上げれば意味ありげな笑みを浮かべてもう一度ノートンがイライの鼻を摘まみながら答える。嫌々と顔を振りその手を振り払うイライを見てノートンは悪びれもせずに笑った。その笑顔は彼にしては珍しく、ほんの少しだけ幼い。
    「分かるよ、だって顔に全部書いてあるから」
    「……うそつき」
    「うん、嘘だよ」
    それも一瞬のこと。ばっと両頬を押さえるイライを見つめる眼差しは、いつも見るそれと変わらなくて。むすりと膨らんだ頰を指で突けばぷすりと間の抜けた音が響いた。
    「でもこれは嘘じゃないよ。イライがどこに隠れちゃってもさ、僕がきっと見つけてあげるから」
    頭を撫でる掌に。その声に、酷く安心したことを覚えている。それは冬の終わりを告げるような、雪解けを思わせる柔らかな笑み。見る人に安堵を覚えさせるようなそれが、イライは大好きだった。大好きだったはずなのに。
    『イライ』
    どうしてだろう。己の名を呼ぶ彼の笑顔を、思い出すことが出来ないなんて。
    ***
    肌を刺すような空気の冷たさに堪らずイライは身震いをする。こんこんと降り積もる雪で辺り一面は真っ白に染まっていた。土竜に買って与えられた防寒具は此処にくる途中で落としてきてしまった。見つかれば怒られることは避けられないがどうせもう会うこともないのだから怒られようがない。それはとても悲しいことだけれど、仕方のないことだ。それを選んだのは他でもない、自分なのだから。
    「嘘つき、ノートン、言ったのに」
    見つけてくれると。笑った彼の面影はどんなだったろう。今やすっかり霞んでしまった記憶の欠片からは思い描くことができなくて、それが酷く薄情なことに思えて。かたかたと両手が震えるのは寒さのせいだけではないだろう。大丈夫、大丈夫。きっと彼は来てくれると。真っ白になる程に、イライは両手を強く握りしめる。だって彼は言ったじゃないか。見つけてくれると。イライの頭を撫でて、彼は言ったはずだ。少しだけ、待っていてと。すぐに、戻ってくるからと。だから、だから。
    「イライ」
    「っ! ノ、あ……モグ、ら……」
    期待に満ちた声色は一瞬にして失意に沈む。ほんの一瞬。繕い切れなかったそれに気づいてしまった土竜の瞳には僅かに苛立ちが滲んでいた。なるべく落ち着いた風を装って、土竜はイライヘと声をかける。
    「……お前のお望みの相手じゃなくて悪いけど。なにやってんの」
    こんな雪の中そんな格好で。風邪引きたいの。
    刺々しい口調とは裏腹に、身につけていたはずの防寒具をイライの首に巻きつけていくその手つきは繊細だ。自分だって寒いのは得意でないだろうに。その不器用な優しさが、辛かった。堪らず縋ってしまいそうになるから。
    「ったく……帰るよ。大体こんなところで、」
    「駄目だよ」
    「……なに?」

    「駄目」

    「何、言って」

    「離して、モグラ、嫌だ……ねえ」
    「離さない」

    「逃げるな、イライ」
    「っ、いや、いやだよ……だって、」
    認めてしまったら、きっとあの子はもう帰ってこない。
    消えていく。己を呼ぶ声も、頭を撫でる優しい掌も、自分を見つめる柔らかな眼差しも。記憶が思い出となって色褪せていく。それが嫌で、ずっと己の先を往く彼の影法師を追いかけていたというのに。それが全て夢幻だったと認めたとして。此処にはもういないのだと認めたとして。それじゃあ一体、何を頼って生きていけばいいというのだろう。
    「大好きなんだよ、嘘じゃない。でも、ねえ、消えて行っちゃう」
    零れ落ちていく記憶を拾い集めようとしても。意味のないことだとあざ笑うように砂粒は掌からすり抜けていく。何度も拾い集めていくうちにそれらはいつしかなくなっていって。意味などとうに成していないのに。それを止めることはできない。やめてはいけない。
    「私が待ってなきゃいけないのに、私だけは忘れちゃいけないのに」
    『待っててね』と、彼は言った。いつだって本当のことしか言わなかった彼が、そう言ったのだ。だったら己に出来ることなど決まっている。彼が帰ってくるまで、彼という存在を忘れないことだけが。彼の帰る場所であり続けることだけが。イライにとって彼に出来る最善だった。
    「なのに、分かんないよ、もう」
    ノートンはまだ帰ってこない。便りの一つもない相手を待つには、イライはあまりに弱すぎた。
    「だって、帰ってこないのに。思い出せないのに……!」

    「たすけて……」
    「……あぁ、分かってる、分かってるから」

    「ごめんなさい、ごめんね、ノートン……!」




    ***
    おまけ
    モグ束はなしの導入はきっとこんな感じ



    「聞き間違いかな。悪いけどもう一度言ってもらっても?」
    「だからアンタ、子供の世話は得意かって聞いたんだ」

    「逆に聞くんですけどアナタにはそう見えるんですか?」
    この僕が、子供の世話を頼まれて喜ぶとでも?

    「だったらこう言えばいいか? これは依頼だ。しばらくの間そのガキを預かる。見合った報酬は出すぞ」
    「……」
    どこをどうとっても厄介ごとの香りしかしない依頼なぞお断りだと言いたいところだが首を縦に振らない限りこの猟犬は帰りやしないだろう。ただでさえ黒い噂の絶えない男が入り浸っているなどと噂されでもすれば営業妨害も良いところである。その間コンマ数秒。天秤にかけられた二つを前に選択の余地などなかった。土竜は諦めたように目を瞑り長い長いため息を吐く。
    「それで? 対象は」
    「理解が早くて助かる」
    なにをいけしゃあしゃあと。顔色ひとつ変えない相手に舌を打つ土竜を他所に、猟犬は淡々と話を続ける。ぴっと突きつけられた写真は
    「イライ・クラーク。年齢は21だったかそこらのはずだ」
    「はずって、何故そんな曖昧なんです。病院ならカルテくらい」
    「ないんだよ」

    「一人の患者によって病院は全焼。そいつを除いて生存者は確認できてない」
    「医療従事者は? 全員いないなんて話があるわけ」

    「そうだな、訂正だ。あの病院に収容されていた患者の中でそいつを除いて生存者は確認されていない」
    「……それは」

    「随分と愉快な話だ……」
    口元に浮かぶは歪んだ笑み。
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    Replies from the creator

    kawauso_gtgt

    PROGRESSモグ束と言ってるけど今回喋ってるのは土竜と猟犬。全ては此処から始まった。
    土竜が束縛者を引き取るまでに至る過程

    精神病院組と同じ顔の人達が存在する世界線。
    お得意の愛想笑いが崩れそうになるのをぐっと堪える。残念ながら目の前の男には通用しなかったようだが。お得意様、といえば聞こえはいいが、言ってしまえば厄介事を持ち込んでくる腐れ縁と言った方が的確だった。やれ最近違法武器を流している商人の足取りを洗えだの、やれ表じゃ禁じられた薬とやらをばら撒いている組織の裏を取れだの。土竜が一介の商人に依頼する内容にしては些か荷が重いと苦言を呈したのは一度や二度のことではない。とはいえそれ相応の報酬を寄越してくるからタチが悪い。それを理解してやってくる猟犬は勿論のこと、何よりそれで納得してしまう自分自身にも土竜は辟易していた。少しのリスクがあろうとそれを帳消しにするくらいのリターンを提示されてしまうとどうにも心が揺らいでしまう。いつだったかそのうち身を滅ぼすぞと苦言を呈されていたような気もするが、なんだかんだでいまだに土竜はこうして図太くも商売を続けることが出来ていた。悪運のいいやつとはよく言ったものだ。
    1538

    kawauso_gtgt

    REHABILIとある荘園で、来るかもしれない日のこと。
    (探占/匂わせ/解釈多様)

    古びた館の、とある一室。
    部屋の主の神経質すぎるくらいに几帳面な性格が滲み出た部屋の隅、屑籠の底。
    ぐしゃぐしゃに丸められた一枚の羊皮紙が捨てられていた。
    酷く強い力で握ったのだろう。手紙の差出人の名前は赤黒い染みが滲んでいて読むことはできなかった。
    x月x日、未明。拝啓 

    ノートン・キャンベル様

    正直なことを言うと、こうして人に手紙を書くだなんて久方ぶりなので何から書いたものかと迷っています。
    けれど、荘園(ここ)を脱出するにあたって、たった一人にだけ手紙を送ることができると言うことだったので。最後に君に何かを残せたらいいなと思い、今私はこの手紙を書いています。

    今更何を言おうっていうのかって、君は怒るかもしれない。いや、かもしれないじゃなくてきっと怒るだろうね。偽善も大概にしろ、なんて眉間に深い皺を寄せて、引き攣った笑みを浮かべてそう言うんだろう。
    私だってそれなりに君とは長い付き合いになる。それくらいはもう分かるさ。君って案外分かりやすいから。

    あっ、今手紙を握りすぎて皺ができたでしょう。最後までちゃんと読んでくれないと、困ってしまう。
    1757

    kawauso_gtgt

    REHABILIモグ束探占
    家出のそのあと
    書けない、書きかけだからちゃんと書いたらあげ直す

    リハビリ、しりきれとんぼ
    「……やっと寝た」
    何かから身を守るように両膝を抱え込んで安らかな寝息をたてて眠っていた。すっかり冷え切った頰に手を当てて溜息を吐く。
    何を聞いたのか知らないが突然失踪まがいな行動を起こすのは勘弁して欲しいものである。
    居るはずの人間の姿がなくなっていたときの心地はそうそう愉快なものではないのだから。猟犬との話を終えて自室に戻る道中、様子見がてら覗いた部屋がもぬけの殻だった時の心情を思い出した土竜は思わず額を押さえる。肝が冷えたとはまさにあのようなことを言うのだろう。
    最初(はな)から一筋縄でいく相手ではないとは思っていたが。どうやらあの白饅頭の心の奥底に住み着いた影は中々食えない存在だったようだ。会ったこともない相手へと対抗心を燃やしている自身に気付くと土竜は一人不満げに鼻を鳴らす。一人相撲など、らしくない。
    「ばかなやつ」
    それは己に対してか。それとも目の前の小さな生命に対してか。はたまた厄介な因縁の種を残していった、己と同じ顔をした人間に対してか。果たして。
    「……本当、馬鹿な奴」
    ライトのついた黒帽子をサイドテーブルに静かに載せる。冷たい室内で爛々と輝く灯りに照らされた寝顔は酷 1715

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    PROGRESSモグ束(おか束+モグ月前提&おか、月は故人)
    モグに惹かれてる事実とおかのことを自分だけは忘れちゃいけない罪悪感に苛まれて限界な束が爆発する話を書きたかった。拗らせすれ違い両片想いが好きすぎた。

    あとおかが死んだと頑なに認めない束に事実を突きつける土竜が書きたかったなどと供述しており…
    真っ暗な部屋が好きだった。
    此処にいれば誰にも痛いことをされたりしないし、理不尽に怒りをぶつけてくるような人もいない。点々と、少しだけ空いた隙間から差し込む光はまるで、いつか絵本の中で見たオホシサマのようで。閉ざされた世界を照らしてくれるそこは、いつだってイライの心の拠り所だった。
    冷たい床に転がって、暗い夜の海に意識を遊ばせていると、フードに覆い隠された耳がよく聞き慣れた足音を捉える。軽やかな足音は一歩、一歩と近づいてくると、イライのいる部屋の前でぴたりと止まった。かちゃりと開いた扉へと視線を投げると、何事もなかったかのようにイライはもう一度天井を眺める。
    扉が閉まると同時、近づいてきた影が上からイライを覗き込んで、それから数秒。地面に横になったイライの隣に、影が蹲み込む。鼓膜を震わせる声は、すっかり聞き慣れたあの子の声だった。
    「やっぱり此処にいた」
    「……どうして分かったの?」
    イライが首を傾げるのも当然のことだ。だって此処は院内の誰も知らない筈の場所。否、もしかすると気付いている人間もいるのかもしれないが少なくともイライが自らこの場所を誰かに明かしたことはない。誰も知らない、自 3152

    kawauso_gtgt

    MOURNINGセフレ探占の書き下ろしに入れようとしてたんだけどマイクモが難しすぎて(?)お蔵入りになったのでここに供養。いろいろあったからノは月相の衣装が好き(弊荘園設定)◇extra game

    「は〜疲れた〜!!」
    もうボクくたくた! 
    大声でそんな泣き言を言いながら隣を歩く男を一瞥すると、ノートンはぐるりと肩を回す。
    それはこちらの台詞だ。
    思わず声に出しそうになるのをなんとか堪えてため息を吐けば、それを同意と受け取ったのか。新たに荘園へとやってきた曲芸師の男──マイク・モートンは瞳をぱあっと輝かせてノートンの腕を掴んで上下に振る。
    「やっぱりキャンベルさんも思った? 思ったよねぇ! だって今日ぜぇんぶ一緒の試合だったもん!」
    数秒前までは疲労を滲ませていたかと思えばモノクル越しの瞳にぱあっと喜色が浮かぶ。ころころと変わる表情はステンドグラスのようだ。この荘園にあって異色な性格(キャラクター)の男にノートンは随分とまた忙しい人間が来たものだと思う。
    つい先日、マイクはこの荘園へとやってきた。元はどこかのサーカスの出らしい彼の自己紹介はどこか人懐っこさが拭きれない。荘園で暮らす彼らが警戒を緩めるのはそう難しいことではなかった。元より周囲の歳上に可愛がられていたこともあるのだろう。女性陣だけでなく、ノートンやカヴィン、果てはライリーにまで臆することなく 3122

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    PROGRESSこんな感じになる予定深く深く、薄暗い水底へ沈んでいた意識がゆっくりと浮上する。まるで羊水に包まれているかのような感覚は、目覚めを拒みたくなるくらい心地がいい。
    いっそ、このままずっと、眠ってしまおうか。
    そんな考えを察したかのように、緩やかな拘束が四肢を絡め取っていく。
    「……あさ」
    昨晩酷使した喉から出た声は、思った以上に掠れていて。とても他人に聞かせられたものではない。
    「……朝だ」
    もう一度、噛みしめるように同じ言葉を繰り返す。それからもう一度眠りに落ちる準備とばかりに肩までシーツを引き上げて目を閉じた。
    「……まだ起きなくてもいいよ。どうせ今日はみんな休みだ」
    耳元で聞こえる声も、未だ覚醒していないのだろう。己同様舌足らず調子のそれは、どこか幼い。背後から腹部に回された腕は、どこにも行かせないとばかりにイライの身体を締め付ける。少しだけ窮屈で、けれどそれすらも今となっては心地がいい。緩む口元を隠しきれないでいるイライに気が付いたのか。ノートンは首筋に顔を埋めながら呟く。
    「……随分とご機嫌じゃない」
    「そう見える?」
    「そうだね。まぁそもそも貴方の普段の朝の様子なんて知らないけど」
    ノートンの言葉 2330

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    MEMOこいぬちゃんぐさんの月蝕の元ネタだったやつ
    血族に売り飛ばされた🔮のるろ月(探占)
    売られてなどいない。自分で来たのだと言い聞かせる。
    愛しいあの子よりも自分が犠牲になる方がマシだと脳の中で繰り返す。

    🔮の住む集落の近くには血族の住まう森があった。不干渉。互いに見て見ぬふりをすることで薄氷の上を歩くような危うい均衡を保っていた。
    しかし、それは血族の気まぐれによってあっさりと瓦解した。
    血族の要求は簡単だった。村の中から誰でもいい。男でも女でも構わない。ただ、若者の方が良いが、生贄を出せ。
    身体を作り替えて、餌として飼う。
    もし出さないようであれば、ここに住まうものを皆殺す。
    理不尽な要求に村人は頭を抱え、村で1番美人な娘という意見が出たが、その女は村で1番の権力をもつ者の娘だった。
    娘を出す訳には行かない父親は、娘の恋人に白羽を立てた。
    親族のいない🔮は都合が良かったのだ。誰もが同意し、🔮は着たことのないほど豪奢な、まるで花嫁衣装のような白い服を着せられ、追い出された。
    血族の餌になる恐怖と見捨てられた悲しみ。🔮は震える手を祈るように握りしめて、古く草臥れた館の中に入る。
    🔮「…ご、めん下さい。要求の通り、参りました。」
    震える声で呼びかけるが、しんっと 1738

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    DOODLE探占続き。それぞれの価値観とは。それ故にか荘園には定期的にメンテナンス日が設けられる。
    イライはどうやら同世代の女性陣に捕まっているらしい。
    元来そういった性格なのか。小さなものではあれをとって欲しいだの何を探しているだの、大きな物なら代わりに試合に出てはくれまいかと。余程の事でなければイライは大抵の頼み事を請け負っていた。
    ノートンにはわからない感性だ。なんの見返りもなしに誰かに奉仕するだなんて理解ができない。正直にそう告げたとしても、きっとイライは困ったように笑うだけなのだろうが。
    今日はエマとトレイシーに捕まったようで庭の片隅にある花壇の手入れを手伝っているようだった。庭師である彼女が丹精込めて育てた花は色とりどりで、どれもが活力に満ちた鮮やかな色を纏っている。
    「……不細工な笑顔」
    窓の外。エマに腕を引かれながらイライは及び腰で彼女の跡をついていく。柔らかな日差しの中で色鮮やかな花々に囲まれるその姿はまるで一枚の絵画のようで。
    ノートンはそうした芸術には明るくないから分からないが。
    似たような絵画が館のどこかに飾ってあったのを見たことがあった気がした。
    ***
    コンコンと軽いノックの後、「ノートン、入るよ」と 1329

    kawauso_gtgt

    PROGRESS下書き。書き初め探占。hmhjmないで初詣に行くゆらゆら、とぷん。
    薄暗い水底に沈んでいた意識がゆっくりと引き上げられる。うっすらと重たい目蓋を開けるとぼやけた視界に己を起こそうと躍起になっている同居人の姿が映った。
    嗚呼、どうやら自分は炬燵で眠ってしまっていたようだ。
    寝落ち特有の気怠さからノートンはもう一度卓に頭を突っ伏す。少しだけ首を動かし腕の隙間から覗いた先には几帳面に積み上げられたみかんの山と、その隣に転がる中途半端に皮の剥かれたはぐれものが一つ。
    その隣に並んだ度数の割に飲みやすい! とCMで最近よく見かける缶チューハイの空き缶を眺めながら、ノートンは自身が寝落ちる前の記憶を思い返していた。
    そういえば、寝落ちる前に食べようとしたんだっけ。
    ぼんやりと右往左往していると思考を引き戻すように、同居人──兼恋人であるイライ・クラークは再度ノートンの腕を掴んで小さく身体を揺すった。
    「ノートン、ノートン。起きて」
    「……眠いから嫌」
    「炬燵で寝るのは身体に良くないよ。それに外を見て、雪だよ。ほら」
    「うわ、最悪……」
    思わず本音が溢れてしまったのは仕方のないことだろう。
    イライが指差した窓の外ではしんしんと降り積もる白い雪。眠 2534

    sangatu_tt5

    MEMO騎🧲のために観🔮になった騎観/探占🧲と付き合っていて同棲もしてる🔮🧲のループを天眼によって理解したが、解決方法が分からない。🧲のレースが始まってから思い出すため、事前に忠告も出来なかった。
    そんな時に、「あなたの天眼があれば、この奇っ怪な現象をどうにかできる」「あなたが私たちの組織に入ってくれれば、彼を救える」と翻弄⚰️に言われ、組織に入ることに決める🔮
    🔮達の陰ながらの活躍もあり、🧲が久しく帰っていなかった家に帰ると違和感があった。
    一人暮らしにしては広い家、使ってもいないのに埃のかぶっていない部屋、自分しか写っていないのに飾られている写真。食器の足りない食器棚。
    一人で暮らしていたはずの家は何か足りなかった。謎の空白が自分の横に寄り添っている。それが大切なものだったことは分かるのに、それが何かも思い出せない。
    大切なものを忘れてしまった恐怖が背筋を過ぎる。何を忘れたのか思い出そうにもモヤがかかって鮮明にならない。
    それから、🧲は失った何かを求めて街を徘徊するようになる。レースが休みになるシーズンになれば隣町、さらにその隣町まで出向き、空白を求めた。
    宛先もなく、それがどんなものかも分からないまま🧲 2007