【文仙】年頃だもの!「文次郎ってさ、たまにすっっっごく馬鹿だよね」
伊作の呆れたような視線が刺さる。
昼下がりの保健委員会の部屋は、今日も薬臭い。
向かい合って座っている伊作の手元で、ゴリゴリとすり潰されている何かの草からも、鼻が効かなくなりそうな刺激臭が立ち上っている。
だが今の自分に必要なものが、そのずらりと並んだ薬棚のどこかにあるかもしれない。そう思ってなんとなくキョロキョロしてしまうところに、投げつけられた言葉。
「仙蔵のことを思い遣って、っていうのはわかるけど……薬で性欲を抑えるなんてしなくても、駄目なときは駄目って言ってくれるんじゃないの? 仙蔵なら」
「それでなんとかなるなら、こうして頼みになぞ来ん」
「文次郎の自制心で無理なら、もうそういうものだと受け止めるしかないんじゃないかな」
2157