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    ta_jitaji

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    ta_jitaji

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    ルカコさん(@midoridori_r)のタグで遊ばせてもらった左理

    舎弟の運転する車の、後部座席。広々としたそこを一人で陣取りながら、不機嫌な表情を隠しもせずにチッとひとつ、左馬刻が舌打ちを零す。
    荒っぽい手つきでネクタイを緩めて、上まできっちりと留めていたシャツのボタンをいくつか外して、きっちりとワックスで固められた髪をぐしゃぐしゃにしてから愛用している煙草に火を点けて咥えて、そこで漸く、左馬刻は息を吐いた。

    突然舞い込んだ、会合だった。
    理鶯と会う予定があったことと、相手方があまり好ましくない組相手だったこともあって、左馬刻はギリギリまで参加を渋っていた。けれど「若頭が不参加というのは格好がつかないだろう。小官は待つのは得意だからな。きっちりと仕事をこなしてくるといい」と理鶯に背中を押され、また、親父の顔を潰す訳にはいかない、と渋々参加を決めたのだ。

    案の定、つまらない会合だった。出された酒や料理は一級品だったが、それだけだ。
    左馬刻に対してどこぞの女を侍らそうとしてきた時は流石に、左馬刻も盛大に顔を顰めた。会合が終了した途端に待機させておいた車に乗り込み、自宅へ向かうよう告げ、今に至る。スーツのポケットから取り出した端末でトークアプリを立ち上げ、理鶯の画面を呼び出す。終わった、帰る、と左馬刻が短いメッセージを送れば、すぐに既読の文字がつき、返事が届いた。

    『承知した。腹は減っているか?』
    『あー…何でもいいからお前の作った飯が食いたい』

    口直しがしたいという気持ちで理鶯に食事の用意を強請れば、元来人に手料理を振る舞うことの好きな理鶯は、二つ返事で引き受けてくれる。

    『では、あまり重たくないものを作っておこう』
    『おー、頼むわ』
    『風呂も沸かしておく。帰宅したら先に入るといい』
    『ん、さんきゅな理鶯』

    すぐに既読がつく。けれど、返事はそこで止まった。恐らく、料理の用意に取り掛かったのだろう。
    短くなった煙草の火を消して、もう一本取り出して、すぐに火を点ける。二本目を吸い終わったところで車のシートへ背中をつけ、窓の外を流れるヨコハマの夜景に目を向けながら、柄にも無く帰路を急いた。


    ◆◇◆


    自宅へと帰り着いた左馬刻が玄関の扉を開ければ、風呂上りでほこほことした理鶯が出迎えてくれた。

    「おかえり、左馬刻」
    「…ん、ただいま」
    「先に風呂を頂いてしまった。すまない」
    「あー…そうだな。お前がゆっくり湯船に浸かったってんなら許してやる」

    左馬刻がそう告げれば、理鶯が僅かに驚いたように目を丸くした後、いい湯だったぞ、と頷き返す。
    理鶯の返事に満足そうに笑った左馬刻がスーツの上着を脱ぎながら「先に飯、食いてぇ」と口にすれば、承知した、と頷いた理鶯が左馬刻の手からスーツを抜き取り、そのままキッチンへと足を向けた。
    洗面所に立ち寄ってから理鶯の後を追うようにキッチンへと向かえば、テーブルの上に置かれた土鍋が湯気を立てている。

    「おじやだ。胃に優しくて腹にも溜まるからな」
    「おう。お前の作るおじやはうめぇからな」

    席に着き、いただきます、と声を掛けてからおじやをひと掬いして、口に運ぶ。
    口に含んだ途端に広がった旨味に、左馬刻の目が僅かに細められる。理鶯が作る料理はやはり、旨い。良い口直しになる。
    ぱくぱくと夢中になって食べ進めていると、あっという間に土鍋が空になった。

    「うまかった。ごちそーさん」

    綺麗に食べ切った左馬刻に、理鶯が嬉しそうに笑う。

    「後片付けは小官に任せて、左馬刻は風呂に入るといい」
    「…ん、わりぃな理鶯」
    「気にするな」

    左馬刻を快く風呂へと送り出してくれた理鶯に後を任せ、左馬刻が風呂場へと足を向けた。


    ◆◇◆


    ワックスも、香水も、何もかもを綺麗さっぱり洗い流して、左馬刻が湯船に浸かる。は、と息を吐いて、心地好い温度のお湯に包まれる。
    どれくらいそうしていたのか、そろそろ上がるか、と左馬刻が風呂から出て、一通り身なりを整えてからキッチンへと向かえば、綺麗に後片付けがされたそこは暗くなっており、理鶯の姿も見当たらなかった。
    ここに居ないとなれば、キッチンへ向かう途中にあった寝室に居たのだろう。そうあたりをつけ、左馬刻が踵を返す。
    この時間に寝室に籠ってるということは、そういうことだ。

    左馬刻が寝室の扉を開ければ、淡い間接照明が部屋の中を照らしていた。
    その、明かりの中心。ベッドへと座り込んでいた理鶯の青色の瞳が、左馬刻を捉える。
    目が合った理鶯はすでに頬を上気させており、よく見れば、肌にうっすらと汗を滲ませている。
    先ほど――左馬刻が風呂に入るまでに着ていたタンクトップは脱ぎ捨てられており、その代わりに、頭のてっぺんから胸元までを数枚に渡る左馬刻の服に包まれていた。
    クローゼットから取り出したであろうそれらは、左馬刻が普段わりと着る機会の多いものばかりだ。頭に被せて、肌を隠すように何枚も抱き込んで。
    理鶯の真っ青な瞳はすでに、とろり、と熱に蕩けている。
    理鶯がまとっている左馬刻の服には恐らく、左馬刻の匂いが染み付いていたことだろう。それらを掻き抱いて、肌を上気させて。一体ナニをしていたというのか。

    「はっ、やらしーことになってんじゃねぇか、理鶯」
    「…ん」

    左馬刻がにやりと笑えば、理鶯が恥ずかしそうに視線を逸らす。
    少し目線を下げれば、理鶯が穿いていたジャージが中途半端にずり下がり、片手がウエストの中に入れられているのが見えた。
    何をしていたか、なんて。見るに明らかだ。

    「なぁ、りおー。俺様が来るまでに何回出した?」

    低く、潜めるような声で、理鶯に近付きながら問い掛ける。左馬刻の問い掛けにびくん、と身体を揺らして、うろうろと視線を彷徨わせて。

    「りーお」
    「ん」

    左馬刻が理鶯に圧し掛かり、シーツに押し倒しながら理鶯の名前を呼べば、やがて観念したように理鶯の瞳が左馬刻の元へと戻って来て、ゆっくりとその口を開く。

    「…まだ、イってない」
    「…一回も?」
    「うん」

    理鶯が一度頷き、抱いたままの左馬刻の服に擦り寄ってスンスンと鼻を鳴らす。

    「……左馬刻。さまとき」

    何度も左馬刻の名前を呼ぶ理鶯の唇に口付けて離れれば、は、と熱い吐息を零した理鶯がうっとりと目を細める。

    「…待ちくたびれたぞ」

    ひどく熱を孕んだ、理鶯の声。

    左馬刻が風呂に入るまでは、普通の顔をしていたのに。
    左馬刻と離れた途端我慢を止めて、左馬刻の服を引っ張り出して、匂いを嗅いで。自身を高めつつも絶頂は迎えないよう堪えて、左馬刻を待っていたのか。

    「…待たせた分、抱き潰してやるよ」

    じりじりとした熱が込み上げて、ひどく堪らなくて。ぺろりと唇を舐めた左馬刻が喰らい付くように、理鶯の唇にかじりついた。
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    leeya_up

    DONE前にほめて箱に入っててお題ではないけど書いた、左理の媚薬もどきの話。
    再録本とかにはいれないのでここにおいておく。
    媚薬もどき 顔が見てぇと思えば行けばいい話だ。そう思ってた。けど実際、山ん中片道一時間以上かけて会いに行くってのはそもそも現実的じゃねぇんだよなぁ。つってもあいつもどっか行く時はきちんと断り入れてくるし、そうじゃねぇなら野営地にいるってことなんだから、どこにいるかわかんねぇよりいい。

     街に住んでりゃ俺と銃兎みてぇにクッソ忙しくても顔を合わせるタイミングはあるが、理鶯はマジで呼ぶか行くかしねぇと会えねぇ。だんだんそれが面白くなってくんだよなぁ。夜中にふと、ああ、なんか寒ぃな今日、りお抱いて寝てぇな、とか思っても出来ねぇの。理鶯のメシ食いてーって思っても仕事がヤベェ時は食えねぇ。けどなんでかイライラはしねぇんだよな。あいつをねじ曲げるくらいならこのまんまの方がよっぽどいいと思ってっからかもしれねぇが。まぁとにかくここしばらくウジ虫どもにかかりきりで寝る間も惜しんで害虫駆除に駆けずり回った俺様は、明日っからようやくゆっくり出来るって理鶯に連絡を入れた。見てんのか届いてんのかわかんねぇがとりあえずな。報連相は大事だろうが。とりあえず今日は帰ったら酒飲んで寝るぞ…。あーサウナも行きてぇけどな…。さすがの俺様も疲れてっからこれでサウナ入んのはちょっとヤベェ。風呂ん中で寝ちまわねぇようにしねぇとな…。
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