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    ナナシ/ムメイ

    @refuge774 @mumei_774
    ゲッター(漫画版と東映版中心/竜隼)書いて一旦投げる場所に困ったのでここに。推敲したのはpixiv(https://www.pixiv.net/users/1604747)に。■→推敲格納済
    なにかあればましまろにどうぞ↓
    https://marshmallow-qa.com/refuge774

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    ナナシ/ムメイ

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    漫画サーガ版。どうにも竜隼の雰囲気が漂う。
    真で竜馬がビビってたのが不思議だったって話の時に聞いた物から書いたはずの断片とか、データ破損時にサルベージしたの詰めたもの。

    東映版も一話から竜馬が隼人を意識してる描写はあるけど、漫画版の竜馬が勝手に運命共同体に見込んだ感じは一体なんだったんだろうなとか思います。

    ■ 空の「  」 早乙女家のリビングでBGMのように落ち着いた恋愛映画が流れていた夜だった。
     女性陣や早乙女博士が見つめる画面を横目に飽きてしまった元気ちゃんやリョウとトランプに興じた後(ムサシはミチルさんを落ち着かない様子でチラチラと伺いながら耐えていたが、結局我慢できずにソファの片隅で寝入っていた。ちっとも起きやしなかったから毛布だけ掛けて置いてきた)、寝付こうと向かう共同部屋への廊下で並んで歩く姿から流石にギョッとする言葉を耳にして足を止めた。

    「そういや一目惚れ、なんて言葉は信じて無かったけどよ、お前を見た時の気持ちはそういうのに近かったのかもしれねえな」

     今までも互いに恋愛なんて言葉からは程遠い生活をしていた俺達にはあの映画は縁の遠い世界の話だったかな、などと会話していた中でのそんな言葉は唐突にすぎた。
     驚きに瞬きしながら頭の後ろで手を組んで行儀悪く歩くその背中を見ていれば「なんだよ?」といつも通りの顔がこちらを向いた。
     見回した廊下には人の姿は無い。誰も聞いていなかったのが幸いと軽く息を吐きつつ隣に並び直せば、昨日の晩飯はなんだったと思い出すくらいの軽い声で、なにも軽くは無い言葉が続いた。
    「きっとお前が俺の片割れなんだろうってよ、理由なんかねえけど」
     なんにも無かった俺はいいけどよ、沢山持ってたお前には災難なこったな。
     そう言って悪戯小僧のように笑うお前こそが、俺の手を引いて「ここ」に引きずり込んだ張本人だった。しかし、共に乗ることを、生死を共にする事を決めたのは自分だった。「災難もなんもねえよ」と返してやれば楽しそうに笑う。
     理由もよくわからないままに、おそらく大きな理由など無いだろうに渡される信頼は、それこそ命ごと手渡されるような感覚は不思議と悪い気がするものでは無かった。自分のそれをこいつに預けてやってもいいと思うほど。
     抗うには乗るしかなかった。だがそれを災難だとは思わない。おそらくは互いに。
     どう形容すればよいのかわからない感情を弄んでいれば、リョウの声が耳に入った。
    「全部終わったら降りるか? 生きてりゃの話だけど」
     ――生きていれば。そういえばそんな事は考えもしなかった。考えもしなかったが。
    「……今更、お前ひとり置いてくほど薄情じゃねえよ」
    「お前は案外情深いもんな、いっつもつらっとした顔してる癖によ……なんだよ照れんなよ。照れ隠しで睨むのやめろよ」
     鼻で笑うように言ってやったのに見透かされているようなのが面白くなくて、睨んでやればそれすらそんな風に看破されて、ふん、と目を逸らした。……間違ってないのが面白くない。

    「じゃあ降りる時も一緒かな。どうせ俺にゃ行く場所なんてねえしよ」
    「……そうならいいがな」
     気のないようにした返事にふふっと笑う声がして。

    「お前が嫌だって言わねえ限り、諦めてなんかやんねえよ」
     だから、最後まで付き合えよ。

     言われるまでもねえよ、とつい呟いた声は聞こえていただろうか。


    +++++


     遠い未来と見せられたあの光景に恐れや怯えを感じたのは、酷く単純な話だった。
     余りにも強大すぎる力。何もかも飲み込んで突き進む力。あれはきっと選んだもの以外は全て滅ぼす。消してしまう。あれしかあそこにはいなくなってしまう。

     あそこに、お前はいない。

     あそこにいるのは、あるのは自分達だけだと直感した時、初めてと言ってもいいほどの恐怖感に囚われた。
     俺が引きずり込んだ運命にお前は共にあるものだと、最初に逢ったあの日から信じて疑わず確かにここまでそうあったのに、このまま行けばいつかお前はいなくなる。自分ひとりだけでここに行き着く。他の皆はいてもお前はいない。ひとりだけで。
     ただ地獄を見るなら、守るべきものの為に戦い続けるなら恐れはしない。お前達がいるのなら。あの日言葉にはしなくてもそう誓った事は忘れもしない。
     けれど、あそこにはお前の気配すら無かった。空虚だった。絶対的な孤独に怯えた。
     嫌だった。
     それだけは嫌だった。それが自分の我儘だろうと。お前だけは何処にいようと心は共にあるものだと信じていたかった。

     だから、降りた。

     きっとお前にはわからない。
     他人の命と同じ秤に自分の命をも掛けて、必要ならば死んでもいいと昔から言っていたお前には。
     他の誰でもなく、お前にいて欲しいんだという俺の我儘をきっとお前は受け入れない。
     だから、お前はきっといなくなる。
     初めて会ったあの日、運命に逆らわなかったお前は、そのまま運命を全うする。

     隼人、はやと。
     お前だけは。

     ――お前を生かすためなら、俺はきっとなんだってするだろう。


    +++++


     お前はよ、なんでそう変な方に思い切り良すぎんだよ。
     どうしてそんなすぐに自分の命投げ出そうとすんだよ。

     ……軽々しく使っているつもりは無えよ。ああするのが一番だと思ったからだよ。
     他人の命を篩にかけといて、自分はそこにかけないなんざ不公平だろ。俺は公平であろうとしてるだけだぜ。

     だからってよ。

     うるせえよ、これが俺のやり方だ。

     ……お前はよ。生真面目すぎんだよな。


     なあ、隼人。

     なんだよ。

     お前が死んだら俺は泣いちまうぜ。

     ……泣いてる暇があったら敵を倒せよ。

     っかー、可愛くねえの!

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    Replies from the creator

    ナナシ/ムメイ

    DOODLERe:ハニー小ネタだけど竜隼。そういえば二十周年なのかと気付いたので、記念的に。
    資料未所持で本編だけ見て書いてるのでなんか違っても許して。

    映像や脚本も良かったし単純にポップでキュートでビビッドで派手で外連味があって面白かったけど、「ダイナミック漫画作品における戦闘シーンのお顔これだー!!」感があってそういう所もとても好きです。
    今度こそ二人共に並んで生きてくれ、みたいな祈りを感じるところも。
    CROSSING《Re:ハニー》前半→ハニーとなっちゃん
    原作は漫画版しかきちんと見てませんが、例えご都合主義でも違う世界と人々であってもあの終わり方は嬉しかったです。
    「友」は少なくとも石川ゲッターロボでは本当に愛した存在にこそ向けられる言葉なので、そのニュアンスで。
    後半→「早見」と「誰か」
    説明めんどくさいから極端に簡単に言うと、Re:ハニーはハニーだったけど同時に石川ゲッターロボだったし、早見は竜馬寄りで隼人混じってたよね?って前提で、なら早見にも相方いてもおかしくないよね?っていう。


    =====


    「あのね、なっちゃん」
    「なに、ハニー?」
    「えへへ、んーん、呼んでみたかったんだぁ」
    「なによ、にまにましちゃって。ほら、片付け終わってないじゃない」
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    ナナシ/ムメイ

    DONEアイサガコラボストーリー軸の竜隼がきちんと仲直りする話。
    カプと言えばそうなんだろうけど、そもそもあの二人は漫画や東映からわんにゃんが仲良く寄り添ってるみたいな雰囲気をよく感じたのでそういう感じ。わんおの愛が重いと言うより分厚すぎて揺るぎもしない感じの……。
    時系列は四人でアイサガ世界に残った三ヶ月間、前に書いたカーズ君弟子入り話の後くらい?
    ■ 残る鎖どちらかだけ知っていればなんとなく読めるとは思いますが、書いてるうちにアイサガキャラの隙間埋め部分も増えたので、コラボストーリーは知っていた方がわかりやすいかとは思います。
    アイサガ本編がそうなのでエレインとセレニティの関係もちょっと触れてます。
    実はコラボ元のチェンゲ自体、最後まで見てもひとつもまともに謎が解決していないのもあり、不明箇所は漫画とか東映、チェンゲ今川監督担当分(アイサガでも前提となっている三話まで)の考察から引っ張って再設定しています。

    コラボストーリーでは時間の流れの違いは一言で終わり、なんなら「なんかありましたっけ?」くらいの勢いで丸っと触れられ無かった(漫画版に寄せて展開するためと理解はできますが潔すぎて笑いました)竜馬と隼人の関係だけど、個別パイロットボイスには言及があるし、表向きチェンゲ名義でありながら隼人から「リョウ」呼びと素の口調まで出てるならきちんと仲直りしたよ話が欲しいかもなって。
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