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    ナナシ/ムメイ

    @refuge774 @mumei_774
    ゲッター(漫画版と東映版中心/竜隼)書いて一旦投げる場所に困ったのでここに。推敲したのはpixiv(https://www.pixiv.net/users/1604747)に。■→推敲格納済
    なにかあればましまろにどうぞ↓
    https://marshmallow-qa.com/refuge774

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    ナナシ/ムメイ

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    ネオゲ。終戦記念日なので急ぎでもなにかそれっぽい話を書いておきたかった。

    ネオゲの竜馬研究所離脱には原典知ってからずっと不思議に思っていたのでサウンドドラマからと、この辺の理由なら納得できるかなぁの穴埋め兼ねて。
    原典は両作品ともこの辺とても気を使って描いていたことと、DQ11をプレイした時の「美談とするには 残酷すぎます」というあるNPC会話が印象に残っていて。

    ■ 同じ風が吹くじいじいと、幾つも重なる蝉の声が夏の青空の下に響く。
    昇りきってはいなくとも夏の日差しは眩しく、研究所を眺める高台に立つ小さな墓標が草むらに影を落としていた。
    その下には僅かばかりの機体の残骸が眠る。

    五年前。武蔵はゲッター1と共に消えた。消えた、というには生温い、壮絶なゲッター炉心の爆発と共に。文字通り骨のひとかけも残さず。
    彼が記憶の他に残したものは研究所に残された遺品ほどで、遺族へそれらを返せばそんなものしか残らなかった。
    けれど、竜馬と隼人にはそれが一番武蔵の魂を知っているような気がした。


    「よう、武蔵」
    済まなかったな、しばらく顔出さなくてよ。

    風呂敷包みと水の入った一升瓶を携え、竜馬がそこを訪れたのは盆も終わる頃だった。
    恐竜帝国の再侵攻を退け、再び訪れた平和。傷跡も癒しきれぬ前に起きた再びの戦争に、再興すべきものは多い。
    それでも、あの日の蹴りは着いたのだった。

    「俺らできっちり決められなかったのは残念だけどよ、ちゃんと終わったぜ」
    そっと墓標を撫でてそう語りかけ、「うし、じゃあやるか」とひと声上げて竜馬は墓の掃除を始めた。軽く草を毟り、墓標を拭いて、水をかける。時折誰かが来て手入れしていたような形跡は隼人や研究所の誰かなのだろう。
    一通り掃除を終えて花を備え、手を合わせていると覚えのある気配が近づくのがわかった。
    立ち上がり見下ろした細道に、黒いスーツの上着を腕に掛け、ビニール袋を下げた隼人の姿があった。
    「忙しそうだから来れねえのかと思ったぜ」
    「……お前は早いな」
    竜馬の声にぱちぱちと瞬きして、何を言うか困ったように隼人はそう返した。
    ここで彼らが会うのも、五年ぶりだった。

    ……色々無茶をやったし、基地の再建も含めて各所の調整も多くてな。ようやく一段落つきそうだ。
    墓標にペットボトルから水をかけながら、隼人は誰にともなくそう話した。
    武蔵の、先の戦いの犠牲を、無為にしなくて済んだと。
    ひとり、政治という戦場に残り戦い続けていたのはその為だったとは聞かずとも竜馬も知っていた。
    自分は色々と我慢がならずに飛び出してしまったが、隼人はそれもわかっていて、ずっとあの場所を守りながら、自分達を守りながら待っていてくれたのだろうと、そんな確信めいたものも竜馬にはあった。

    研究所を後にしたあの日、竜馬は隼人には会わずに出立した。
    顔を見れば決心が鈍って、行くにしろ行かないにしろ心残りを作ってしまうような気がした。
    たった一年ほど。毎日のように死が隣にあった戦場で。それでも、あの場所とそこにいた人々は、自分たちは、家族できょうだいだった。

    膝を折り、二人で静かに手を合わせる。
    今日だけは研究所が鳴らす正午を告げるサイレンが蝉の声を割って響き渡った。ざあと強い風が吹いて、彼等の髪の毛を揺らし草原を撫でていく。
    立ち上がり、早乙女研究所を、そしてその向こうの遠く並ぶ山々を見つめ、墓標に目を戻して竜馬がぽつりと口を開いた。
    「……なんかよ、嫌だったんだよな」
    ちらと隣の顔を見た隼人は、竜馬が飛び出した時の話かと黙って聞くことにした。

    お偉いさん方がなんやかんや上から目線で言ってきたり窮屈な暮らしするのもだけど、武蔵を知らない奴らにやたらめったら「良い奴」で「善人」の「英雄」にされちまうのとかさ。

    ああ、と隼人は声に出さずとも胸の内で思う。
    残された者がその犠牲を美化することは、ままある。
    「世界を守るための尊い犠牲」「英雄」「勇者」
    確かに、自分の意思で武蔵は死地に向かった。誰に言われたでもなく、自ら命をかけて誰かを、世界を守ろうとした。
    それは、確かに勇気ある行動だ。
    無駄死ににはならなかった、自分達がさせなかった。
    けれど、本当は、武蔵こそ誰よりも生きたかっただろう事も自分達は知っていた。
    誰も死ぬために戦う訳では無い。世界のために命をかけるなどというのは、フィクションのヒーローのように当然の話ではない。
    微笑み語りかけるようにぽつぽつと静かに話す竜馬の声を聞きながら、隼人は空を見上げた。

    ……なあ、武蔵。お前割りと自分勝手でガキみてえだったよな。
    最初なんかカッコイイから惚れたゲッターに乗りたいばっかで、嘘つくしズルするし話にもなんなくてよ。
    ミチルさんにいいカッコしたくて食いすぎて動けなくなったりもしたよな。

    「……元気ちゃんと敵を釣り上げたり、海で水着を流されていたり、まあ色々と話には事欠かなかったな」
    「ははっ、そうそう、そんな事もあったなぁ」
    しまい込んでいた記憶の蓋を緩めれば、途端転がり落ちてくるように思い出されることは多い。隼人がそれを口にすれば竜馬がからりと笑った。
    「見栄っ張りで調子が良くて、良いとこも悪いとこもあってよ、普通の奴だったよな。ま、俺らだって、あいつのこと全部知ってた訳じゃねえけど」
    「……そうだな」
    「一緒に飯食って遊んで戦って……」

    「『英雄』なんてご大層に祭り上げられても、ただの人間の俺らにゃ似合わねえよ」

    そっと優しく墓標に触れる手と、見たものすべてそのまま受け止めるような力強い瞳。
    昔からこいつは背中で語る父性の塊のようなやつだった、と隼人は思う。大地に根を張る大樹が飾り立てることもせず、ただそこにあるように。
    「戦士か闘士辺りで妥協してもらいたかったものだ」
    「なんだ、やっぱりお前も思うとこあったんかよ」
    「俺がどう思おうと、政治だの世情だの色々あるのさ」
    「かーっ! 嫌だね、俺なら暴れちまいそうだぜ」
    「だろうな」
    頭の後ろで手を組んで吐き出すような声に、ふっと小さく笑い返しながら、それが、流竜馬という男であると隼人は知っていた。

    「段々薄れちまうのは確かだけどよ、お前が俺の隣で飯食ってた事はきっと忘れねえよ」
    「そうだな。思い出したくなったら研究日誌の脇に軽く付けていた日記もある」
    「お前それ俺の笑い話も残してそうじゃねえか」
    「……どれも、大切な思い出さ」
    たった、一年間の。死と隣り合わせだった過酷な戦場と、ささやかで大切だった何気ない日々。
    何も特別なことなどはなかった、皆それぞれが必死に生きようとした、ただそれだけの。
    二度と起きてほしくはない、けれど確かに自分たちが生きていた時間。
    そっと、隼人もまた墓標を撫で、軽く目を閉じた。


    じゃあな、武蔵。また来るぜ。
    次はいつ誰が訪れるかもわからないそこに、彼等は軽く手を振って並んで細道を去っていく。

    黄色い花と、未来への約束が残ったそこに、風は優しく通り抜けていった。
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    Replies from the creator

    ナナシ/ムメイ

    DOODLEアイサガ軸のチェンゲ竜隼。バレンタインとかホワイトデーとかの時期を盛大に逃したけど今出さないと完全に忘れるだろうので。
    適当に色々ぼかしてあるので、「アイサガ隼人の好物はエネルギーバー設定」だけ知ってればチェンゲで読めると思います。(そもそもチェンゲ本編は再会してから時間無さすぎでこんな話やれるはずないのは置いといて)
    好きにしたいだけ今日は元の世界で言うところのバレンタインデーだかなんだか、らしい。
    そんな習慣がこっちにもあるのかと不思議になったが、恋人やら家族やらへの感謝の日みたいなもんがあるって事は、誰かに感謝とか好意を伝えたい人間がそれなりにいたって事だろうし、悪くねぇと思う。

    女からチヤホヤされたいか、と言われれば、性別どうのじゃなく好意を貰えばそりゃ嬉しい。が、好意のフリだけしたご機嫌取りだの媚びだのは昔から遠慮願ってたくらいには興味がねえし、いっそ煩わしい。口にこそ滅多にしねえが。
    もし、愛情の形とか貰えるなら、大事に思う相手からだけで良いし、なんなら貰うより送る方が性に合ってる――それが誰か聞かれたら困るが。

    コートのポケットに突っ込んだままのエネルギーバーを思い出して軽く眉を顰める。
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    ナナシ/ムメイ

    DOODLE1本目→寒すぎて五半をくっ付けたかった。(動機に邪念しかないがまた銀婚式夫婦)
    白狐の毛皮は秋野さんが前に書いたネタから拾いました。手入れすれば長持ちするんだそうで。
    羽織は戦国時代からとか調べはしたけどなんか違ってるかもしれない。

    2本目→でっかーい五右衛門がちっちゃな柘植櫛摘まんでにこにこ半蔵の髪すいてたら可愛いなって

    (言葉遣いは元が割と現代風混じってラフなので細かくやってません)
    ■ 冬の五半╱ぬばたまの動物というのは人が思うより頭が良い。
    息も白む冬の最中、いつの間にやらするりと入り込んだ猫が書き物机の隣に置いた火鉢に背を着け丸まり、ごろごろと喉を鳴らしていることなどもままある。

    しかしまあ、逆に時折、人であっても動物より頭がよろしくないのではないか、と思う時もある。
    半蔵は暫し席を立った間にどこから乗り込んで来たやら、火鉢の傍で身を縮めていたそれに溜息付きつつ呼びかけた。

    「……五右衛門」
    「なんだァ?」
    「冬の間は山越えが危のうてかなわぬから、滅多に来るなと言うたじゃろう」
    熊かと思うて背筋が冷えたわ、と半蔵は帯に忍ばせた短刀を再びしまいながら呟いた。火鉢の前に黒い毛皮の小山が見えた時には本当に熊かと思い一瞬肝を冷やしたのだった。
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    ナナシ/ムメイ

    DONEネオゲ本編後竜隼。
    あの世界の竜馬はどうして研究所離れて、二人は五年間何考えて過ごしてあの後どうしたんだろうとか。

    ネタとしては粗方見終わった直後にはあったんですが、データ二回飛ばした(主な理由)り、書こうとしては原作と根本的な軸や核が色々噛み合わなさすぎることに悩んでこんな時間かかり……。
    原典周りから色々設定引っ張りながらネオゲの本編内容ある程度組み込んでるつもりです。
    ■ もう一度、何度でも五年、という月日は短かったのか、長かったのか。

    ……さっぱりわからねえな。なにもかも。
    そう胸の中で独りごちながら、竜馬は縁側で一人煙を燻らす隼人を眺めた。
    黒いスラックスに白いワイシャツ。ネクタイが外されて見える首元に、今はあの十字架の鎖も無い。

    恐竜帝国の再侵攻、そして六年近くに渡っての戦いの決着からしばし。
    あの日、あの瞬間、中天で輝いていた太陽の代わりのように月が静かに秋の夜闇を照らしていた。
    山中にあるこの烏竜館は、今は自分達以外に人もおらず、まだ手入れの行き届いていない庭の草むらからは澄んだ虫の声が響く。
    長い脚を持て余す様に片膝を立てて縁側に腰を引っ掛け柱を背に寄り掛かる隼人の姿に、竜馬は不意にいつか早乙女研究所のバルコニーで手摺に腰掛けていたその姿を重ねた。
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    ナナシ/ムメイ

    DOODLERe:ハニー小ネタだけど竜隼。そういえば二十周年なのかと気付いたので、記念的に。
    資料未所持で本編だけ見て書いてるのでなんか違っても許して。

    映像や脚本も良かったし単純にポップでキュートでビビッドで派手で外連味があって面白かったけど、「ダイナミック漫画作品における戦闘シーンのお顔これだー!!」感があってそういう所もとても好きです。
    今度こそ二人共に並んで生きてくれ、みたいな祈りを感じるところも。
    ■ CROSSING《Re:ハニー》前半→ハニーとなっちゃん
    原作は漫画版しかきちんと見てませんが、例えご都合主義でも違う世界と人々であってもあの終わり方は嬉しかったです。
    「友」は少なくとも石川ゲッターロボでは本当に愛した存在にこそ向けられる言葉なので、そのニュアンスで。
    後半→「早見」と「誰か」
    説明めんどくさいから極端に簡単に言うと、Re:ハニーはハニーだったけど同時に石川ゲッターロボだったし、早見は竜馬寄りで隼人混じってたよね?って前提で、なら早見にも相方いてもおかしくないよね?っていう。


    =====


    「あのね、なっちゃん」
    「なに、ハニー?」
    「えへへ、んーん、呼んでみたかったんだぁ」
    「なによ、にまにましちゃって。ほら、片付け終わってないじゃない」
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