ファウレノ ファウストが偶然魔法舎の玄関を通りかかると、丁度南の魔法使いが帰ってきたところだった。
「あっ! ファウストさん、こんにちは!」
「こんにちは! 今日も魔法使いの家は賑やかだったんですよ」
「やあ、ファウスト」
「ただいま戻りました」
ファウストに気づき、次々にあいさつをする南の兄弟や、後ろにいる大人たちにファウストも軽く返事をする。
「ああ。ネロがリケとクッキーを焼いていたぞ。もらってくるといい」
「わあ! 美味しそう!」
「兄様、早く行きましょう!」
ファウストの言葉を聞き、ルチルとミチルはあっという間に駆けて行った。残ったフィガロとレノックスは、それを慣れた様子で見守っていた。
「さっきまで魔法使いの家でお茶をしていたのに、若いねえ」
2599