七灰ワンドロワンライ38.『勝負』.
二人きりの学年。他学年との合同授業もあるにはあるが、基本的には座学も実技も灰原と二人で受ける。
それに不満を持ったことはなかった。ただ、体術のペアが常に同じというのは正直刺激が足りなくなるものだった。
「これさ、負けた方が一週間自販機のジュース奢りってどう?」
周りからノリが悪いと言われがちではあったが、それでも十代真っ只中。変わり映えのない授業にちょっとした遊びがあってもいいだろうと、とある体術の授業の終わり際に挑戦的な笑顔でそう提案してきた灰原へ七海が頷き返したのは、入学してまだ間もない頃だった。
勝敗の結果で何をするのかについては交互で決めていた。
大抵は敗者が勝者へ食べ物を奢ること。ジュースやお菓子なら一週間分、昼食なら三日分。遠出の任務が決まっている時はご当地グルメになったり、灰原の提案で手作りの夕食が賞品になったこともあった。(ちなみにその時は七海が勝ったので灰原の数少ない得意料理である大盛りの焼きそばになった)
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