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    しんした

    @amz2bk
    主に七灰。
    文字のみです。
    原稿進捗とかただの小ネタ、書き上げられるかわからなさそうなものをあげたりします。

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    しんした

    PROGRESS3月インテの七灰原稿進捗です。
    生存if30代後半の七灰が古民家で暮らすお話。
    暮らし始めたところまで書けたので、とりあえず暮らすぞーってなった部分までをあげました。
    生きるってどういうことかな、ということを多少真面目に考えて書いたつもりですが上手くまとめられているかは分かりません。七灰はいちゃいちゃしてます。
    推敲まだなのでいろいろとご了承ください。
    続き頑張ります。
    3月七灰原稿進捗②.




    呪術師という職業は一応国家公務員に分類されている。高専生時代から給料が支払われるのはその為で、呪術師のみが加入できる特別共済組合という制度もあり、規定年数納税すれば年金も支給されるし、高専所属であれば所属年数に応じた金額の退職金も支払われる。
    「うーん。まあ、別にお金に困ってるわけじゃないし、退職金のこととかそんな気にしなくてもいいよねぇ」
    デスクトップディスプレイに表示された細かな文字列を追っていた灰原は、椅子の背にもたれて小さく言葉を漏らした。
    真っ黒にも程があるブラックな呪術師という職業も、書類上だけ見ると就業規則や福利厚生など案外きっちりと定まっている。給料も一般的な国家公務員とは比較にならないくらいだ。(もちろん、呪術師の仕事内容を考えると当然のことだと思う)
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    しんした

    PROGRESS2023/12/3開催の七灰webオンリー『桜の下で待ち合わせ3』の展示作品です。
    1月のインテで発行予定の新刊『午前0時のいただきます』の冒頭1話。
    呪専七灰が夜食を作って食べるだけのほのぼの本です。
    webオンリー終了後も展示している予定ですが、推敲していないので所々変更箇所があるかもしれません。
    七灰webオンリー3展示作品『午前0時のいただきます』冒頭1話夜食というものは、どこか特別感がある。
    真っ暗な台所の明かりを小さく点けて、大きな音を立てないよう、こっそりと冷蔵庫や棚を漁る。何を食べるか、何なら翌朝咎められないか。調理しなくても食べられるものにするか、手をかけて出来立てを食べるのか。
    ほんの少しのスリルと背徳感。それを超えた先に待っている、他の食事とは違う美味しさ。育ち盛りなら、誰しも一度は経験したことがあるに違いない。
    そんな特別な時間を、誰かと共有したならば。
    一体、どんな気持ちになるのだろう。







    呪術高専へ入学して一週間。
    今までの生きてきた世界とは全く違う日常に、七海は随分と疲弊していた。
    曜日が一周してようやく学校生活の流れは掴めてきたと思ったところに舞い込んだ、初めての任務。内容はとあるショッピングモール内での蠅頭の祓除。四級以下の蠅頭であれば、入学して間もない一年に振るには丁度良かったのだろう。
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    しんした

    PROGRESS8月発行予定の七灰。
    七灰のいろんな寝しなと寝起きの場面を切り取った連作の予定。
    9話目の一部抜粋。
    スクショでタイムラインに流すのなんか恥ずかしかったのでぽいぴくへ。
    生存ifで卒業後、別々に暮らしてる二人です。
    ちゃんと読み返してないのでその辺はあしからず。
    8月七灰原稿③人の手で遊び始めた灰原をぎゅうっと腕の中へ閉じ込めた。「もぉ」と小さく不満の声があがったが、本気でないことは分かり切っている。そのまま黒髪へ鼻を埋めて静かに呼吸を繰り返していると、じわじわ眠気が広がってきた。
    朝起きても、灰原はここにいる。だが、夕方にはまた灰原を見送らなければならない。こんな状況でも、そんな寂しさを感じてしまう自分に少し嫌気がさした。
    それぞれのやるべきことがあるのだから、あの頃のようにずっと一緒にいることはできないとわかっている。けれど、もし同じ帰る場所が同じだとしたら、どうなるのだろう。
    朝は早起きの灰原に起こされてばかりかもしれない。慌ただしく支度をして、朝食はなるべく一緒にとって。それから、玄関先でいってきますと言葉を交わす。任務を終えて自宅の玄関を開けた時、灰原におかえりなさいと出迎えられたら疲労は軽くなるだろう。反対に灰原が疲れ果てて帰ってきたら思いきり労わってあげたいし、お互いヘトヘトだったら家事は適当に済ませて二人でさっさと寝てしまったらいい。
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    しんした

    PROGRESS8月発行予定の七灰。
    七灰のいろんな寝しなと寝起きの場面を切り取った連作の予定。
    だいたい布団の中の話(notすけべ)です。
    二本目は恋する灰原くん視点。
    ちゃんと読み返してないので誤字脱字その他おかしい部分はスルーしてください。
    8月七灰原稿②『二〇〇六年七月』



    知らないきみを知れるのは、とても嬉しいことで。
    知らないきみを知るたび、きみのことを、もっと。





    夏休みも近付くよく晴れた夏の日。今日も気温は三十度を軽く超えて、そろそろ夕方だというのに外はまだ熱気で満ちているのだろう。
    どうして疑問形なのかというと、昼過ぎから冷房の効いた七海の部屋で課題に勤しんでいるからだった。
    任務が入るたびに出される、補習代わりの課題プリントの束。昼食を食べてから真面目に取り組んだおかげか、束の厚みは随分と薄くなっていた。
    次のプリントは一番苦手な数学。しかも、文章題ばかりがみっちりと。二問目まではなんとか自力で解くことができたが、それ以降は問題の難易度が上がりペンの動きも鈍くなっていく。そろそろ集中力も切れてくる頃合いだが、斜め向かいに座る七海は黙々と英語の長文へ目を走らせている。肘をついた灰原は、考えるふりをしながらその横顔をこっそりと見つめた。
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    しんした

    PROGRESS8月発行予定の七灰。
    七灰のいろんな寝しなと寝起きの場面を切り取った連作の予定。
    だいたい布団の中の話(notすけべ)です。
    一本目はまだ無自覚な七海視点。
    ちゃんと読み返してないので誤字脱字その他おかしい部分はスルーしてください。
    8月七灰原稿①『二〇〇六年五月』



    一つのベッドにふたつの体温。
    自分以外のぬくもりで温められた布団の中は、優しくて、心地よくて、安心で満ちあふれている。
    その中で聞く眠気をまとった彼の声は、不思議と耳に残っていた。



    午前の授業終わりに担任から出張任務を言い渡された七海が灰原と向かったのは、北の大地、北海道。つい一週間前は一つ上の先輩たちの補助として沖縄へ行ったというのに。寒暖差で身体がおかしくなりそうだ。
    そんなことを思いながら、七海は一〇〇万ドルの夜景とも称される街を見下ろした。
    今回の依頼は、展望台近くに出没するという呪霊の討伐任務。
    呪霊自体は一年ふたりでなんとかなる程度の等級で、大した怪我もなく祓うことができた。しかし、観光客が少なくなってから祓い始めたせいで、終わった頃にはロープウェイもバスも動いていなかった。ハイキングコースが整備されており徒歩で下山は可能だか、長距離移動と任務で疲れた身体にはなかなかきつい。宿泊先のビジネスホテルへ辿り着いた時には、一刻も早くベッドに倒れ込みたい気分だった。
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