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    sznr_hshm

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    【鈴史】ロリ服史郎にエッチなことをする一色が書きたかったけど肝心のエッチなシーンまでいかずに力尽きたやつです。
    気が向いたら続きます。

    襟、袖、裾をこれでもかとばかりに彩るたっぷりのフリル。美しい編み目が職人技を感じさせる繊細なレース。滑らかな生地をふんだんに使用したスカートは、折り重なるひだの数だけ贅沢な雰囲気を生み出すことに成功している。
     ショートケーキのような甘ったるいクリーム色をしたドレスワンピースは、誰もが惚れ惚れするほどに可愛らしかった。お姫様に憧れる少女がいたとして、この服が飾られたショーウィンドウの前を通りがかった途端、足の裏から根が生えたように動けなくなってしまうことだろう。ガラス窓の向こうでライトアップされているおとぎ話を見つめながら、両手を組み、瞳をうっとりと蕩かせて呟くのだ。
     いつか私もこういうお洋服を着てみたい……と。
    「脱ぎてえ」
     ――だが、少女の憧れは、必ずしも成人男性に理解されるものではないらしい。
     童話の世界から飛び出したようなドレスを身に纏いながら、蝶番史郎はイライラと腕を組んで自室の壁にもたれていた。その眉間には深い皺が刻まれている。どう控えめに状況を観察しても、今の自分がしている格好に満足しているようには見えない。
    「うざってえ。暑苦しい。気持ち悪い。脱ぎてえ」
    「あら、ダメよ。罰ゲームだもの」
     マシンガンのように繰り出される文句をおっとりと切り捨てたのは一色だ。こちらはいつもと変わらない服装のままベッドの縁で足を組み、ふわふわのレースに溺れる恋人を見つめている。その視線には楽しげな色が混じっていた。
     何故、史郎がドレスを着せられているのか。その説明を始めてしまうとあまりに時間がかかるため、この場では割愛する。とても簡単に要約すれば、何かしらのゲームがあって、史郎が一番に負けたのだ。このドレスを用意したのは羽蘭で、その恋人のサファイア君と共につい先ほどまでこの場にいた。ギリギリ血は流れない程度の諍いを経てようやくドレスに袖を通した史郎を気が済むまでおちょくったあとに帰っていった。そうして残されたのが、頭にすっかり血が上りきった史郎と、そんな彼をニコニコと眺める一色なのであった。
    「アイツらは帰ったんだからもういいだろ……」
    「ダメだってば。今日一日は着ているって約束でしょう」
     触らぬ神に祟りなし。身を以て学んだはずの教訓を、今日の一色は活かすつもりになれなかった。衰弱さえ滲んでいる恋人の懇願を約束の一言で封じ込んで、その姿をじっと観察する。気まずそうに身動ぎされてもひたすらに見つめ続けた。視線を外すのはあまりに勿体なかったのだ。
     当然のことだが、史郎がこういった服装をすることは滅多にない。滅多にどころではない。いつもならばあり得ない状況が、今回はたまたま発生しているのである。
     確率だけならば奇跡とさえ呼べる希少度だ。それならば、この機会にたっぷり見せてもらうのも悪くはない。
    「史郎、真っ直ぐ立って。こっちを見て」
    「ぜってーに嫌だ」
    「綺麗なお写真が撮れないわよ」
    「撮ったら殺す……ッ」
     撮影の仕事中に子どもをあやすときの史郎を真似たつもりが、本気だと捉えられてしまった。じっとりと殺意のこもった視線を向けられる。
    「あなたが嫌なら撮らないわ。その代わり、ちゃんとあたしに見せてくれる?」
     ――史郎が着てるそのお洋服。
     彼の勘違いを逆手にとって、一色はゆったりと微笑んでみせた。正直なところ、何の交換条件にもなっていない取引だ。普段の史郎ならば取り合ってさえくれないだろう。
     しかし、史郎はむっつりと数秒間押し黙ったあと、小さな声で「……見るだけなら、」と了承してくれた。どうやら洋服を見せてと持ちかけたのが良かったらしい。こういった女の子が好みそうなものに憧れる一色のため、男の矜恃を僅かに曲げ、恥辱を堪えてくれるつもりになったのだろう。
     確かに可愛らしいものは大好きだ。けれど、今はそれ以上に、いつもは見ることができない史郎の珍しい姿を目に焼きつけていたい。
     そんな本音をするりと隠し、「ありがとう」と瞳を細めて一色は立ち上がった。歩み寄ると、何故だか史郎も一歩、二歩と後ろに下がる。
    「どうして逃げるの?」
    「服なら離れてても見えんだろ」
    「こういうドレスは細かい部分が凝ってるの。近くに行かなきゃ見えないわ」
    「嫌だ、離れろっ」
    「もう、意地悪言わないで」
     だが、大した広さはない寝室の中で逃げられる距離など決まっている。すぐに壁へと追い詰められ、背中を強かに打ち付けた史郎は小さく呻き声をあげた。腰周りを結んでいる大きなリボンはクッション代わりにならなかったらしい。
     横から逃げられたりしないように距離を詰め、一色は史郎をヒールの高さ分だけ視界のいい位置から見下ろした。思い通りにならない一色に狼狽えた史郎がせめて顔を隠そうとして俯くのを、その顎を持ち上げて許さない。
     視線が絡んだ黒い瞳は、羞恥と悔しさが滲んでほんの僅かに潤んでいた。
    「……可愛い」
    「なっ、」
     思わず漏れた本音に、史郎が口をあんぐりと開ける。可愛いと思われることを屈辱だと感じる彼にとっては許し難い言葉であろう。このままでは機嫌を損ねてしまうと、慌てて――顔では何ともないような表情を作りながら、一色は華やかな刺繍が施されたドレスの襟をそっと撫でる。
    「ドレスのことよ。ほら、このお花の刺繍、とても素敵だわ」
    「……そうかよ、」
     どうやら誤魔化すことに成功したらしい。渋々と頷いた史郎の視線にはまだ猜疑が滲んでいるような気もしたが、深掘りすれば地雷を踏み抜く可能性も大いにあるため気づかないふりをした。今度こそ『触らぬ神に祟りなし』だ。
    「本当に綺麗なお洋服。ねえ、史郎、もっと見せて」
    「勝手にしろ……」
     納得というよりは諦めの色が濃く含まれた声音でも、承諾は承諾である。一色はふわりと微笑んで、粘り勝ちによりようやく手に入れた権利を行使することにした。
     

    続くかもしれないし続かないかもしれない
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    sznr_hshm

    MAIKING【鈴史】ロリ服史郎にエッチなことをする一色が書きたかったけど肝心のエッチなシーンまでいかずに力尽きたやつです。
    気が向いたら続きます。
    襟、袖、裾をこれでもかとばかりに彩るたっぷりのフリル。美しい編み目が職人技を感じさせる繊細なレース。滑らかな生地をふんだんに使用したスカートは、折り重なるひだの数だけ贅沢な雰囲気を生み出すことに成功している。
     ショートケーキのような甘ったるいクリーム色をしたドレスワンピースは、誰もが惚れ惚れするほどに可愛らしかった。お姫様に憧れる少女がいたとして、この服が飾られたショーウィンドウの前を通りがかった途端、足の裏から根が生えたように動けなくなってしまうことだろう。ガラス窓の向こうでライトアップされているおとぎ話を見つめながら、両手を組み、瞳をうっとりと蕩かせて呟くのだ。
     いつか私もこういうお洋服を着てみたい……と。
    「脱ぎてえ」
     ――だが、少女の憧れは、必ずしも成人男性に理解されるものではないらしい。
     童話の世界から飛び出したようなドレスを身に纏いながら、蝶番史郎はイライラと腕を組んで自室の壁にもたれていた。その眉間には深い皺が刻まれている。どう控えめに状況を観察しても、今の自分がしている格好に満足しているようには見えない。
    「うざってえ。暑苦しい。気持ち悪い。脱ぎてえ」
    「あら、 2438

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