ある特別な日 ふと、目が覚めた。
目が覚める感覚は、好きではない。ああまた1日が始まった、と億劫な気持ちになるから。重い体を無理やり起こして顔を洗い、歯を磨き、朝ごはんを押し込み、制服に着替えて、靴を履いて外に出る。ここまでやってしまえばなんとかなる。やはりそれでも、目が覚めた瞬間の感覚は好きではない。
しかしいつもはギリギリまで寝ているのに、今日に限っては、1時間も早く目が覚めた。まぶたが重い感じもなく、体を起こせば、ずいぶん体は軽かった。
身支度をして朝食を作る。長谷部国重は高校生だが、一人暮らしだった。始めは勝手がわからず、できない自分にイライラもしたが、今はもうずいぶん慣れた。もう3年経つ。早いものだ。
8709