ジュウォニじいさんバイトA「は~~…ったくやってらんね…マシに働いて欲しいってんならまずは自給あげろっつーの!ん?あんたも一服?」
バイトB「いえ、僕は吸いません。これを(バナナウユ)。全くですよ、コンビニのバイトにクオリティ求める方がどうかしてるんですよ」
「それにしても今夜も寒いね。春になったんじゃないの。これじゃいつまでたってもジュウォニじいさんが凍えてかわいそうだ」
「ジュウォニじいさん?」
「知らない?よく来るじいさん。白髪の。歌うみたいに独り言言ってる」
「そんな客、山ほど来るじゃないですか。いちいち覚えてないですよ。先輩、名前を聞くほど親しいんですか?」
「んーん。あたしも名前知らない。じいさんが良く呼ぶんだよ。『ジュウォナ、あなたどっちが好きだっけ』とか」
「あー…財布持たずに来て『ジュウォニあなたお財布…』とか振り返るけど誰もおらず。おじいさん一人。あの、こぎれいと言うか雰囲気のある…」
「そうそうその!多分ちょっとまだらに始まってるよね。こう、言いかけて途中で『ジュウォナ』がいない事に気づいてぽかんとしてんの。あの顔見てると切なくなる」
「そう言えばよくつっかけサンダルのまま来てますね」
「雨の日なんかさーつま先びしょびしょで薄着で背中丸めてるの見るともうさー!ジュウォナがいた頃はちゃんと上着着せてちゃんとした靴履かせてやってたんだろうか。てかジュウォナって何?誰?息子?部下?親友?まさかのペットと言う線もある。いやペットはお財布持たないか」
「………僕見た事ありますよ『ジュウォナ』」
「えーーーーー!!??マジで⁉いつ⁉どこで⁉⁉」
「どこって、ここですよ。確か雪の日の晩です。レジに立ってたら血相変えて飛び込んで来ておじいさんにモッコモコのダウンコートかぶせて担いで車に押し込んでました」
「はあ!?…てか実在したんだ『ジュウォナ』え~~…よ、良かったあ…で、どんな人??」
「男性でしたよ。中年…初老?髪をビシッとなでつけて靴もスーツもみんな高そうなんだけど板についてる…僕あの人テレビかネットで見た気がします。多分何か偉い人」
「へえ~~~~~~意外!!『ジュウォナ』実在した上に金持ち!?偉い人!?そう言えばじいさんもつっかけ以外はけっこういい物着てる気がする。なんだろうね息子?歳の離れた弟かな」
「あの、僕が見た感じ…あの…思うに…俺が思うに」
「あん?」
「恋人、だと思います」
「ひえ~~~~~!!!!」