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    edaco10_07

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    ろくでなしの贖罪

    だいぶ前から書いてるユキモモ。
    一生おわんない気がしたので載せます。

    モモとRe:valeとして活動するようになってから、密かな楽しみがある。
    始まりは些細なことだった。貧乏で、食べるものにも困るような生活をしていたとき、大物俳優の小間使いをして駄賃を稼いだ。その金で自分では決して食べない肉を買い、焼いて食卓へ出したことがある。その時のモモの顔が忘れられなくて、もう一度見たくて、僕は色々なものをモモに与えている。

    *

    昔からユキさんはよくわからない。野菜しか食べないし、女の人はホワイトアウトさせてしまうし、イケメンだし、ジェントルマンだし。凡人な俺には到底理解できないような不思議な人なんだ。その不思議な人がすることは本当によくわからない。その根底には優しさがあるのはわかるけど、なんで俺なんかにこんなに良くしてくれるんだろうか。それは隣で歌うようになってから3年経った今でもわからないままだ。
    ユキのことはこの3年で大体理解できたはずだ。作曲のときは周りが見えてないことや眠い時の癖、好きな食べ物から嫌いな食べ物まで、なんだって知ってる。
    けどやっぱりユキさんは神秘的で、秘密めいたところがある。凡人なんかじゃ到底理解できないようなところだ。どうやって作曲しているのか、どうして昔から変わらずイケメンなのか、どうして、俺にこんなに貢いでいるのか。

    *

    「今日はスペアリブだよ」

    収録が終わり、楽屋で帰り支度をしていると唐突にそう言われた。スペアリブ。豚や牛、羊などの骨付きばら肉。ユキはもちろん、肉は食べない。

    「…もー、またぁ?」
    「ふふっ、いいでしょ。どうせ断らないし」
    「まぁ、行きます、けどぉ…」
    「なぁに?不満そうだね?和牛のスペアリブだよ。お肉、好きでしょ?」
    「好きだよ!!」
    「うん、そうね」

    和牛のスペアリブ。ユキはもちろん食べないし、一緒に食べようという事前の連絡はない。俺が断らない前提で話が進むのが少し解せなくて、嬉しい癖に反抗的な態度を取ってしまう。それと、少しの遠慮したい気持ち。

    「行く、行くよ。行くけどさ…」
    「…何?具合悪いとか…?」
    「違う!けど、今後ちょっとお肉は控えて欲しいなぁって…」
    「な、なんで?」
    「………とった…」
    「?」
    「太った!の!」

    そう、太ったのだ。このところ毎日のように提供されるユキの美味しい肉料理が原因の一端を担っている。肉が美味いので米が進むのだ。これが原因。おかりんからも厳重注意されて、ここのところももりんもセーブしている。

    「ふくふくになっても可愛いと思うよ」
    「嬉しいけど、そうじゃない!キュートなアイドルだもん。ファンの子たちに幻滅されないようにしなくちゃ」
    「…偉いね、モモ」
    「へへへ」

    その日は美味しくスペアリブをいただき、次の日からダイエットに精を出した。身体の健康を維持しながら、ユキの俺への浪費も防げて満足した。しかし、肉を絶ったことで別の場所に浪費がエスカレートするなんてこの時の俺は思ってもいなかった。

    *

    「今日の衣装、可愛いね」

    雑誌の表紙撮影の日。今日の衣装は私服に近いもので、俺のお気に入りのブランドの新作でもあった。
    新作のブルゾンはデザインが良いものの、少々値が張るため購入を保留にしていた。

    「でしょ!?このブルゾン、すごくデザイン気に入ってて買うかどうか迷ってる!」
    「そうなの?」
    「別に買えなくはないけど、ちょっとお高めのって買うの躊躇しない?」
    「うーん、よくわからない」
    「ユキ、結構値段見ずに買っちゃうときあるもんね」

    ユキは直感型だ。気に入った手触り、デザイン、機能性がないと、絶対に買わない。けど、「これ」と決めたら高かろうが安かろうが絶対に買ってしまうので、あまり値段は見ていないのだ。

    「今日の衣装、アウターもだけどブーツもいいね。モモに似合ってる」
    「ほんと?じゃあ買っちゃおうかな〜どうしようかな〜」

    そんな会話をしたのが撮影前。そして撮影後、衣装を戻そうとした俺に衣装係のスタッフが衝撃的な一言を発した。

    「モモさん。それ、買取済みなのでちゃんと持って帰ってください」
    「へ?」
    「ユキさんがさっき買取ってましたよ」
    「い、いつのまに!?」

    撮影の直前に話をして、撮影を終え、挨拶して周り、楽屋に戻って...本当にいつだ?
    しかも買取られたのはブーツとアウターだけでなく、丸々一式全部だった。紙袋に丁寧に入れられたそれを持って、ユキのところへ向かう。今日は珍しく別の楽屋だったのだ。

    「ユキ!」
    「モモ、ドアをそんなに乱暴に開けちゃダメだよ」
    「ご、ごめん!...ってそんなことより、コレ!」
    「あぁ、ちゃんと受け取ったね」
    「なんで!?」
    「え、それモモに似合ってたから...?」

    さも当然であるかのように言い放ち、「何を言っているんだ?」というような表情をするユキ。そんな表情にどう言い返していいかわからず、もごもごと口を動かしている間にユキの支度が終わってしまった。

    「さ、帰ろう」
    「う、うん...」

    衣装やアクセサリー類のプレゼントはこれを皮切りに多くなっていった。
    最初こそ、アウターやボトムなど、モモが気になってチェックしていたという情報ををどこからか仕入れては贈ってきて、それに対して少し負い目を感じながらも素直に喜んだ。しかし、最近では高級腕時計、海外の老舗ブランドのクラッチバッグ、どういうシーンで付けるべきかわからない派手な有名ジュエリーショップのピアスなどの贈り物が増えた。「俺が欲しい物」から「とにかく高級な物」へと切り替わったのだ。
    贈り物をしてくれること自体は嬉しい。でも、浪費癖は良くないと思い我らがマネージャーおかりんへと相談を持ちかけた。

    「うーん、たしかに最近のユキくんの浪費は見過ごせないですね...」
    「でしょ?売れてるとは言ってもRe:valeはまだまだ新人枠を抜けられてないし、安定した収入が常にあるわけじゃないからあんまりそういう癖は付けない方がいいと思うんだよね。それに...」
    「?」
    「それに、やっぱり俺に対して浪費してるっていうのが、やっぱり、引っかかるっていうか...」

    そう、この浪費は全部モモに対してのみ行われるものだった。ユキ自身への買い物はほとんどされていない状態で、ただひたすらに贈り物のが行われているのだ。
    それがモモにとっては苦痛だった。
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