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    ひさぎ桐子

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    ひさぎ桐子

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    現パロホルセト。高校生ホルス×社会人セト。
    本にしようか、支部作品にしようか迷っている。

    #ホルセト
    horsetoe
    #エネアド
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    fondles the loved one01「うー。寒ぃー」
     真冬の朝。出勤するまで見ていたニュース番組の天気予報で、本日は今年一番の冷え込みと言っていたのを思い出す。セトは首に巻いたキャメル色を基調としたチェックのマフラーに顎を埋める。鼻の頭は少し赤く、セトの寒さを物語っていた。
     大学を卒業して会社勤めをするようになって十数年。こうして毎朝電車を使って通勤しているセトが、そろそろ自家用車通勤も視野に入れようかと考えていた時。
    「叔父様!」
     人混みを掻き分けてこちらにやってくる一回り大きい人物。真冬でありながら、キャップの上に青のパーカーを被った男子高校生は、セトの良く知る人物だった。
    「ホルス……?」
     兄の息子で、セトにとっては甥に当たるホルス。家も比較的近くで兄夫婦以上に頻繁に逢う仲だ。
     息を少しばかり弾ませてセトの側にやってきたのは、やはり甥だった。
    「どうした、こんなところで会うなんて珍しい」
     同じ沿線を使っているのは知ってはいたが、互いの最寄り駅は違うはずだ。セトの怪訝への答えは、ホルスがすんなりとくれた。
    「だって叔父様。前に電車で痴漢に遭ったって言ってたでしょ。俺、叔父様の警護をします!」
    「……ホルス……」
     勇んでくれるのはありがたいが、大声でそう言うことを言って欲しくはなかったと、セトは頬を引き攣らせた。確かに先日、セトは満員電車で目的地に着くまでお尻を撫でられ続けた経験を持つ。それをうっかりホルスに話してしまったのを、セトは後悔していた。
    「お前、ちょっとこっち来い」
     周囲から奇異の目で見られることに堪えられなくなったセトが、ホルスの服の裾を掴んで場所を移動する。乗る車両だけを変えたのは、この電車を逃すと接続が悪くなるからだ。それでも人気の通勤急行はどの乗車位置も人が多い。電車の到着を待つ列の最後尾に並んだセトは、
    「こう言うことは、今日限りにしてくれ」
     と、溜め息交じりにホルスに言った。
     大好きな叔父を困らせてしまったと、ホルスがしょぼくれる。その姿がセトの心をくすぐったので、セトは仕方なく、
    「今日、だけだぞ」
     と、ホルスの胸倉を掴んで引き寄せて、ぶっきらぼうに耳元で囁いた。
     そうしたやり取りをしていると、乗る予定の電車がホームへと入ってくる。停車し、ドアが開いたので列が動き始める。それの最後尾に並んでいた二人は、ドアに一番近いところに立つことになってしまった。
     セトがドアに背中を預け、ホルスがドアの上部に片腕を押し付けてそんなセトを覆い隠す。周囲の様子を窺っているホルスの顔を見上げる形となったセトは、この過保護な甥との関係について思い返した。
     ホルスとは甥と叔父の関係だ。まだ独り身のセトに対して早くに家庭を持った一回りほど年齢の違う兄は、結婚してしばらくしてから一粒種を授かった。それがホルスなのだが、この甥、幼少期からセトの姿を見つけては後をつけ回してきた。極めつけが幼稚園の卒園式の時のことで、卒園を祝う席で祝いに何か欲しいものはないかと訊ねたセトに、ホルスは「俺のお嫁さんになってくれませんか」とセトに結婚を申し込んできたのだ。さすがのセトも周囲も、この発言には面を食らったようで鳩が豆鉄砲を食ったような表情になってしまった。普段から無口で周囲とコミュニケーションを取るのがあまり得意ではない甥の、精一杯の告白を無下にはできず、セトはもじもじとするホルスの頭に手を置いて、こう言った。
    「お前が大きくなって、それでもその気持ちが変わらなかったら。考えてやっても良い」
     セトの言葉に、ホルスの表情が明るくなったのは言うまでもない。ただ、セトはこの時の自分の回答を心底悔いている。それと言うのも、ホルスのセトへの想いは変わるどころか大きく膨らんでいくばかりで、過剰なスキンシップも増えていった。その都度セトが怒るのだが、ホルスは、
    「俺が触れたいと思うのは、叔父様だけです」
     と言って悲し気な表情をする。セトは思っていた。周囲の異性たちが美しく成長を遂げていく過程をみれば、自分への興味など失せるだろうと。
     けれど、ホルスの想いはしぼむどころか更に大きくなり、とうとう高校入試が終わり、第一志望の高校への入学が決まった夜に。
    「叔父様が、欲しいです」
     一人でセトのマンションにやってきて志望校合格を告げた甥は、叔父を頭のてっぺんから足のつま先まで舐め回して美味しくいただいた。
     それからと言うもの、二人は身体の関係含めて週末にはセトのマンションで過ごすようになった。
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