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    半田春

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    半田春

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    中類を笑顔にしたい高類の話。
    展開わけわからんくなって書くのやめたやつ。

    未完るいるい2目の前でつまらなそうにぶすくれる子供を見て、思った。「この表情を崩したい」と。



     もともと人を笑顔にするのは好きだ。フェニックスワンダーランドのキャストとしてショーをするようになり、笑顔になるお客さんを見て、自分も嬉しくなっている。そもそもそれ以前から一人で路上パフォーマンスをしているくらいには、人を楽しませる行為が好きだ。

    「……ねえ、少しこっちを見ていてくれないかい?」

    そう声をかけると、顔の向きは変えず、視線だけをこちらに向けてきた。猫背で作業をしているからか俯き気味で、睨まれているように感じる。実際に睨んでいるつもりなのかも知れないけれど。

     絶対にその表情を崩してやろうと、やる気が湧いてくる。ツボは熟知している。なんたって相手は自分自身だ。

    「むかしむかし、とある王国に__」

     今となっては使う機会が減ってしまった、路上パフォーマンスの仲間である小さいロボットたちを出す。ストーリーに引き込むために、声色にはいつも以上に気を遣う。飽きさせないよう、短めの小さなショーをする。

    「こうして、王子たちは幸せに暮らしました。めでたしめでたし」

    じっ……と数秒。瞳はなんの感情も宿さないまま、手元の部品たちに戻されてしまった。おかしい、そんなはずじゃ。目の前の男の反応で、妙な対抗心が生まれた。

    パンっ!

    両手で力強く叩いた音に、反射でピクリと身体が震えるのが見えた。

    「……なんだい」

    不機嫌そうな顔でそう問われた。口では答えず、にっこりと笑いかける。
    これは自分との戦いだ。そう確信した。



     自分が興味を持ちそうなことを手当たり次第にやった。昔の自分じゃ技量不足でできないようなパフォーマンスや、最新作のロボットの披露、ワンダーランズ×ショウタイムでやったショーについて語るなど、とにかく自分が好きなことをやった。それなのに、目の前の男の表情は変わらない。多少興味は示しても、つまらなそうな、不機嫌そうな顔は、変わらなかった。
     笑顔じゃなくていい。何かで頭がいっぱいで、それしか考えられないというような、そんな顔でいい。だから、何もかも諦めたような今の顔が、心底見たくなかった。

    「ねえ、どうしたらその顔やめてくれる?」

    「さあ。僕にもそれは分からないよ」

    作り笑いすら放棄した、冷めた瞳。
    はぁ、と大きなため息を吐いて、床に寝転んだ。なんだか疲れてしまった。高い位置に行ってしまった横顔を眺め、ぼんやり考える。

    「……告白、してみたらどういう反応するんだろう」

    恋愛モノでほぼ高確率で行われる行為。作品の中で見るそれは、いつだって人の心情に何らかの影響を与えるものだった。告白する側もされる側も、ドキドキと胸を高鳴らせていたと記憶している。
    これなら、と口を開きかけたところで、ふと思いとどまった。自分も何度か女子に告白というものをされたことがある。そのとき自分はどう感じた?嬉しい、ありがたいとは思った。けれど、映画やドラマで見るような、大きく心を揺さぶられる感情にはなっていない。では目の前の男は?多少姿に違いはあれど、結局は自分だ。むしろ今の自分より感情の変化が小さいのではないだろうか。
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