人間の体とは実に面白いもので、綿密に計算されたスケジュールに則って行われる投薬治療でも体調のばらつきを完全に制御することは難しい。
今日はダメな日だ、というのは、朝起きた瞬間から何となくわかっていた。これも興味深い話だが、長く患っているとわざわざ検査しなくともその日一日の具合くらいは予測できるようになってくるのだ。その予測が「今日は一日中ダメな日」だと言っていた。腹が痛い。頭も痛い。常に薄ら吐き気がする。そしてどうやっても薬が効かない。
症状からして体内で何かが起きているわけではなく、恐らく気圧や天候その他諸々の影響で神経が過敏になっているのだろう。投与された痛み止めは量に応じた反応で苦痛を和らげようとしているはずで、しかし、痛みの信号を先に受け取ってしまった体は今更そんなお為ごかしを受け入れる気にならないようだった。『ここが悪いのだ』と病んだ臓器が悲鳴をあげている。鎮痛剤の副作用による眠気がある。ただし痛みが引かないので眠ることはできず、おかげで目の奥が酷く痛む。
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