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    ohana087_zzz

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    ohana087_zzz

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    いやしさんへの献上その②。
    いやあの….本当はジェの方も卒業後、大人になった2人の倦怠期気味なすれ違いを書こうと思ってたんです…でもジェってほら、逞しいし気づいたら正妻ポジに当然のように収まってるわけで…あの…その、だからセフレと勘違いしてるやつをね、お題箱からもめちゃくちゃ滾るの来てたから、その、すいません!!!!!許して!!!好きですいやしさん!!

    ガチャン、って音がした時には既に遅い。カウンター近くの床には今まで持っていた空のグラスが粉々に割れていて。周りの後輩スタッフも、己の片割れも「珍しい」と呆けたように此方を見つめていて、当然バイトに入っていた彼も一瞬接客をやめて自分に視線を向けている。「大変失礼致しました。」そう、いつも通りに言えたかどうか、怪しい。ペンを振るって破片を片付けて、そのまま休憩時間でもないのにスタッフルームに直行する。接客のピーク時のであるこの時間帯に休憩している他のスタッフは幸いなことにいなくて、安心するけど、鏡に映った自分の顔は思ってたより酷かった。
     あの人魚姫もこんな気持ちだったんでしょうか、

     🐬は密かに🦐に想いを寄せていて、ラウンジのバイトも🦐がシフトを入れる時には必ず入っていて。特に最近、外部解放日には🦐目当ての女の子が来るようになったものだから、🐬もヤキモキせずにはいられない。けど側からみたら🦐も🐬にただ先輩として尊敬してるだとか、そんな域から越えた感情をもっているのは明確だったし、🦈も🐬に「絶対押しちゃえば大丈夫だよ」なんてせっついたりしていて、決定的な一言は無いけど、あの付き合う前の1番楽しい時間を🦐と🐬は過ごしてた。それなのに。
     外部解放日、キッチンから出てきた🐬はカウンター席で女の子と楽しそうに言葉を交わす🦐を見つける。相手は、最近🦐にお熱なんじゃってスタッフの間でも言われているクマノミの人魚の女の子。それなりの名門である女子校に通っているみたいだけど、真面目で高飛車でもなくて、他の女の子達に引っ張られて来たものの馴染めずにトイレの付近でぼんやりしてた彼女に🦐が声をかけたのがきっかけだとかなんだとか。加えてその子は人魚だけど魔力がそこまでなくて、それも🦐と仲良くなるには充分な要素になるんだよ。お互い知らない世界で暮らしていくギャップだとか、ホームシック気味になってしまうこととか、魔法が使える使えないの疎外感とか。だから最近は1人で来店しては🦐に、陸の生活が慣れなくて大変だとか、魔法をガンガン使える子達と付き合ってくうえでの愚痴だとかを話していて、🐬のなかでは脳内の要注意人物のリストに入るのは当然。
     そんな2人がカウンター席で談笑してて、そしたら女の子が何かを口ずさむのね、そしたら🦐がそれに便乗したように笑いながらそのメロディにのって歌を重ねて、楽しそうにクスクスと2人で笑いあっていて。
     人魚は、求愛の1つに相手に歌を送ることがあるんです。そして、女の子は🦐に歌って、🦐はそれに楽しそうに返していた。それって、もうカップルが成立した以外なにものでもなくて。🐬は気づいたら手の中のグラスを床に落としていた。
     ロッカールーム、自分の立つ床に雫が落ちていく。嗚呼、違ったんだ。僕の思いは届かなかった。泡になるなんてことは無いけど、なってしまいたい。泡になって、全部忘れてしまいたい。
     その日はそれ以上表に出て仕事が出来るような状態じゃなくて、🐙にもそんな顔で仕事をされても困ると言われ、黙って1人で自室に戻ろうとするんだけど、タイミングが良いのか悪いのか、🦐が🐬に気づいて、「先輩、大丈夫ですか、」なんて心配ほうに聞いてくるから胸が苦しくなる。貴方こそ、番を放っておいて良いのですか?エスコートは?僕なんか、好きじゃないのに、そんなぐちゃぐちゃの感情を押し込んで、「大丈夫です、ご心配なく」それだけ告げて寮に引っ込んでしまう。
     
     御伽噺みたいに泡になって消えるまでしなくとも、🦐への想いも未練も綺麗さっぱり無くなってくれたら良いのに、人魚の恋がそう簡単に消えるわけなんかなくて。案の定🐬は🦐の未練タラタラで、会うと辛いから避けるようになってくる。ついこの間までわざわざ道を迂回して一年生の移動教室の道順に遭遇するようにしていたり、🦐がシフトの無い日に図書館で勉強していることを知ってからその曜日には同じように図書館へ赴いてた🐬がピタリとそういうことをやめてしまって、たまに会話の話題に🦐の話が出るとあからさまに態度に出る🐬を見て、🦈も🐙も『』顔になるしかない。見兼ねて訳を聞き出したけど、納得もいかなくて。
     あんな雰囲気だったのに、🦐ちゃん違うとかある? 
     でも告白とか、そう言った言葉は言ってないわけで…どうなんでしょうか、
     色々話してみるけど結局のところ🦐のその女の子の真意は不明。歌を送るのは確かに人魚の求愛の1つだけど、基本的に男側からすることが多いし、何より相手の女の子は🦐が人間だって流石に知っているはずだし。それ以前に本気で付き合ってたとしても🦐を責める権利なんか誰にもないわけで。でもハッキリしない現状に痺れを切らした🦈が、とあることを考えて、ある惚れ薬を作りだす。それは普通の媚薬とかではなく、思い人の前でのみ効果を発するもので、『人魚の恋薬』なんて言われてるもので、言ってしまえば意中の相手にのみ欲情してしまう、所謂ラブグッズ。🦐も🐬もバイトに入ってる日に締め作業の後にその惚れ薬を賄いと一緒に飲み物に混ぜてだすのだけど、🐬は気づいてしまう。他の人には到底わからないけど、あの🦈の目線、何かを企んだ好奇心と試すような、表情に🐬だけが何か飲み物に仕込んでいると気づいてしまって、🦐が食べるその直前に、咄嗟に🦐に出された飲み物を飲んでしまう。
     その瞬間、🦐を視界に入れた途端に熱くなる身体、ぐらりと回る天井。いきなり無言で席を立って居なくなる🐬を見て、🦈は(〜しくった)って思うんだけど、どちらにせよ丁度良いと思うんだよね。最近あからさまに避けられている🦐は🐬のことを意識しまくりだし、🐬は柄にもなくウジウジと悩んでいて鬱陶しいし。これで🦐が本気で拒絶すれば🦐はただあの女の子が好きで、🐬に対してはたただ仲の良い先輩だと認識していただけだって、ケリがつくし、違うならまた一興じゃん?狼狽える🦐に、「オレまだやることあるからぁ、ちょっと見てきてくんない?」って言えば、🦐は当然応じるわけで。居なくなった🐬の後を追う🦐の背中を見つめて思うんだよね、(大人しく人魚姫になるとかクソつまんないじゃん。もし違ったとしてもエビの運命ぐらいねじ曲げてみせなよ)って。

     身体に籠る熱、苦しい動悸にやっぱり🦈は何か仕込んでいたのだと確信する🐬。なんとなく症状的に『人魚の恋薬』だと感づいて、やはり飲んだのが🦐でよかったなんて思う自分がいる。だって、飲んだとて何も反応なく過ごす彼を、切羽詰まったようにあの女の子に連絡する🦐なんか見たくなかったから。それでも心も体も切なくて、無意識に喉まで鳴って意識も朦朧とするなか、愛おしい人の声がする。目の前には焦がれた🦐がいて、心配そうに覗き込む黒曜石みたいな瞳に捉えられていて、でも此方に伸ばされた手は遠慮がちに途中で空を切って下されてしまう。グラグラと脳味噌が揺れる感覚のなか、🐬は猛烈に🦐を求めてしまっていて、(もう、1番じゃなくても良い、特別じゃなくても。)あの熱に触れて貰えるなら、って一度想ってしまったら止まらなくて、
     「すき、すきです、監督生さん」
     「ずっとすきでした。」
     「だいてください。」
     気づいたらうわ言のように彼に強請っていた。その時🦐はどんな顔をしていたかはもうよくわからない。ただ、最中は未経験だったにも関わらず彼が触れたところが全て気持ちよくて、幸せで、でも同時に終わった、と痛感してしまって、涙が止まらない。

     翌朝、真っ青な顔して謝る🦐を見て、やはり幻の一夜だったんだなと思うのだけど、🦐のあの熱と欲を孕んだ瞳や体温を一度経験してしまったら到底手放すことなんか出来るわけもなくて、未練がましくも、「またこうして触れてくださいますか」なんて最低な誘い言葉。勿論と頷く彼に、なんて自分は卑怯なんだろうと内心自嘲してしまう。🦐が断らない理由なんか目に見えてる。🐬が事故で飲んでしまったとは言え抱いてしまった責任感、そしてこの関係を断れば即座に相手に伝わってしまうだろうという口封じ。なんて酷い関係なんだろう、彼の優しさ、誠実さ、自分が惚れ込んだ性格を逆手にとるなんて。
     でも、身体だけは🐬のものになったから。まだ彼女は🦐の視線も体温も熱も知らないから。そんな優越感だけを胸に抱いて、時たま彼を部屋に誘っては体を重ね続けていたのだけど、
     定期テストが終わって久しぶりに開催された外部解放日に予想通り人魚の女の子がやって来て、当然のように🦐が接客につく。それをぼんやりと🐬は仕事しながら視界に入れているのだけど、🦐が落としたハンカチ、🦐が屈んで拾おうとしたのと同時に女の子も屈んで2人の手が触れ合う。その時、顔を桃色に染めて頭を下げる彼女と、困ったようにはに噛む🦐を見て、🐬は痛感してしまう。

     自分はなんて浅はかで醜い関係を彼と持っているんだろう。

     って。手が触れただけであんなに気恥ずかしそうにして話す2人に対して、身体だけで良いと思ってしまった自分の浅ましさと惨めさと言ったら。現実に引き戻されたような、柔く自分の意識を覆っていた薄い膜が破れるような感覚。
     だから、今日バイト後に会ったら告げようと決心する。こんな関係は間違っていて、お互いの為に何一つとして利点がないこと。いつも通り、告げれば良い。🦐は気にせずあの子のところに行くだけだから。
     なのに🦐は優しくて、誰にだってそんな態度することわかってる。きっと彼女にだって同じ対応なのに、🦐の寮で2人きりになった途端に、まるで彼女に対しての態度と同じか、それ以上の甘さと優しさを含んで接するの。「今日ずっと調子悪そうだな、って思ってて、何かあったら言ってくださいね」そう言われて涙が溢れてしまう。貴方のせいなんですよ、監督生さん。貴方だって共犯のくせに、なんてずるい。そう思うんだけど、言えなくて。でも、慌てた🦐がハンカチを差し出すのを見て、そう、彼女と触れ合って笑っていた、あのハンカチを見てたまらなくなって言ってしまう。
     「もう、やめましょう。こんな関係。」
     きっと、この関係が終わってしまったら元になんか戻らないのに、
     「貴方だって、彼女に対して心苦しくなるでしょう?」
     彼に真に愛されないことの方がつらくて悲しいから。
     そう思って全てを終わりにしたつもりだっんだけど、🐬は。

     「え……別れるってことですか?」
     「俺なんかしちゃいました?つーか彼女って誰!?やっぱりエッチからとかあり得ねーってことですか???」
     🦐がめちゃくちゃ食いついてパニックになるもんだからポカンと呆けてしまう。
     実は🦐とクマノミの人魚のあの子、関係なんか何にもなくて、強いていうなら常連のお客様とよく話す店員程度。確かに愚痴を話しやすかったり、居心地の良い相手ではあるけどそれ以上それ以下でもない。寧ろクマノミの人魚ちゃんは🦐が🐬に向ける視線に気づいてて、同じ人魚からの視点で愚痴聞いてくれるお礼にちょこっとアドバイスしてあげる+人の恋路を見ていたいって好奇心だけ。
     「で、でも、うたを、」
     「歌?」
     「歌を送りあっていたじゃないですか…」
     あの時の事を問えば🦐は気まずそうに目を逸らして、
     実際確かに一緒にメロディを口ずさんだけど、アレはクマノミちゃんが🦐に「そういや珊瑚の海だとこういう曲が求愛に鉄板なの」って教えてあげた程度。🦐が俺あんま歌得意じゃないからって遠慮するのを押し切って、ちょっと真似してみ!って促してただけ。つまり、🦐が送ってあげたかったのは、🐬だったってことで。
     それから🦐も、この関係の始まりには自信も確信も持てていなかったんです。🦐は生粋の日本人だけど、海外ではあまり交際を申し込むような告白もないって聞いてたし、内心(ウワ〜〜こういうコトからはじまんのか……!)ってドギマギしっぱなし。お前は海外ドラマの影響受けすぎだよ。 何度か身体を重ねるも、🐬な大人っぽいし、人魚の価値観とかよくわからんし、聞くのもダサいかなって思ってて、あんまりティーンっぽいことはしない、したくないのかなって勝手に解釈してただけ。
     でも🦐もこれで恋人だと思ってたのは自分だけだったんだ……ってわかってしまう。つまり俺ワンナイト程度の相手?って思うんだけど、🦐は🐬が本気で好きなわけだし、正直セフレ擬きの関係やめようって泣きながら好きな人に言われてハイわかりましたで下がるなんて、どうなのよ。ってことで
     「……あの!俺先輩でしか童貞卒業したくなかったし、これからもずっと先輩だけが良いし…!あわよくば手とか繋いだりバイト終わりにお疲れ様のハグとかしたいし、あと色々したいです!!先輩だけ!!」
     って🐬と終わりにしたくなくて必死に格好も気にせず言うんです。そうするとさっきまでポロポロ涙を溢して泣いてた🐬がクスクス笑ってて、
     「ッふ、欲にまみれすぎでしょ……!素直過ぎます、」
     なんて素直な笑顔でケラケラ笑ってくれるから、「先輩すき!!可愛い!!」って思いっきり抱きついちゃうし、🐬も押し倒されながら「がっつき過ぎです、ばか。」って笑って、耳元で「ぼくもずっとずっとすきでした。」ってひっそり呟くのでした。

     おしまい!!



    *ちなみに🐬がハンカチを拾う2人を見たときは、実際のところクマノミちゃんが、「どう?うまくいった?歌った??」なんて茶化してて、まともな恋人らしいこともなく大人の階段駆け上がっちゃった🦐が気恥ずかしくて照れてただけです。
     🦈「なんだかんだオレ偉くね?」
     🐙「荒治療過ぎます。リスクが高い!!」
     🐬「🦈にはお話があります。」
     🦈「はぁーーー?小エビぃ!!!」
     🦐「オレのせいなの?!?!?」
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    ohana087_zzz

    DONEいやしさんへの献上その②。
    いやあの….本当はジェの方も卒業後、大人になった2人の倦怠期気味なすれ違いを書こうと思ってたんです…でもジェってほら、逞しいし気づいたら正妻ポジに当然のように収まってるわけで…あの…その、だからセフレと勘違いしてるやつをね、お題箱からもめちゃくちゃ滾るの来てたから、その、すいません!!!!!許して!!!好きですいやしさん!!
    ガチャン、って音がした時には既に遅い。カウンター近くの床には今まで持っていた空のグラスが粉々に割れていて。周りの後輩スタッフも、己の片割れも「珍しい」と呆けたように此方を見つめていて、当然バイトに入っていた彼も一瞬接客をやめて自分に視線を向けている。「大変失礼致しました。」そう、いつも通りに言えたかどうか、怪しい。ペンを振るって破片を片付けて、そのまま休憩時間でもないのにスタッフルームに直行する。接客のピーク時のであるこの時間帯に休憩している他のスタッフは幸いなことにいなくて、安心するけど、鏡に映った自分の顔は思ってたより酷かった。
     あの人魚姫もこんな気持ちだったんでしょうか、

     🐬は密かに🦐に想いを寄せていて、ラウンジのバイトも🦐がシフトを入れる時には必ず入っていて。特に最近、外部解放日には🦐目当ての女の子が来るようになったものだから、🐬もヤキモキせずにはいられない。けど側からみたら🦐も🐬にただ先輩として尊敬してるだとか、そんな域から越えた感情をもっているのは明確だったし、🦈も🐬に「絶対押しちゃえば大丈夫だよ」なんてせっついたりしていて、決定的な一言は無いけど、 5740

    ohana087_zzz

    DONEいやしさんに献上します。
    if卒業後、大人になった🦐🦈のお話。
    倦怠期すれ違い🦈

     🦐が朝起きると自分のベッドじゃないことに気づいて、それから脳が覚醒し出して昨日は🦈の家に来たことを思い出すんだけど🦈はもういない。それは昨日の時点で🦐は半休の日だけど🦈は普通に朝から出て行くって知ってたし、何か問題があるってわけでもないのだけどモソモソと着替えながらあんまり生活感のない部屋を見渡して思う。
    (そういや先輩とちゃんと最後にご飯食べたのいつだっけ)
     
     学園を卒業して、就職してから数年、🦈は勿論のこと🦐も段々職場で色々な仕事を任せられるようになって。簡単に言ってしまえば最近は2人とも繁忙期で仕事に忙殺されている状態。🦐もそうだし🦈もそこまでマメなわけじゃなく、また言うまでもなく毎日クタクタなので連絡も最小限。2人のメッセージはいつ、どれくらい時間が合って会える時間があるのか、これぐらいしかない。🦐は最近2人でしたことをぼんやり思い出すんだけど、正直セックスしかしてないなぁ、って薄く息を吐く。 
     会える時間が少なくてお互いに熱を求めてるのはわかるし、寂しさを埋めるようにして行為中は夢中で肌を重ねるのだけど、それだけ。朝は基本的に 7184

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