Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    shirufe_chi

    @shirufe_chi

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 8

    shirufe_chi

    ☆quiet follow

    桜見に行くビリグレのこばなし
    付き合ってるかもしれない
    何でも許せる人向け

    【cherry blossom】

    ──今日の夜、サクラ見に行こ!
    ──へ?
    そんな唐突なビリーの提案により、グレイはビリーと一緒に夜桜を見に行くことになった。
    夜になり、グレイとビリーは身支度を整えて外に出る。三月に入って気温も高くなってきたとはいえ、夜になると外の空気はしんしんと冷えていて、冬の名残を感じさせた。
    「やっぱり夜は冷えるネ。グレイ、寒くナイ?」
    「僕は平気。ビリーくんこそ、寒くない?」
    「オイラはグレイから貰ったマフラーがあるから、ぽっかぽかだヨ!」
    にこりと笑うビリーの首元には去年のクリスマスにグレイがプレゼントしたマフラーが巻かれている。
    クリスマス以降、ビリーは必ずグレイがプレゼントしたマフラーを巻いて外出するようになった。最初はグレイに気を使っていて身に着けているのかなとも思ったけれど、ビリーの様子を見るに、どうやら本当に好んで使ってくれているらしい。
    悩みに悩んで選んだプレゼントを、ビリーが気に入ってくれて良かった、と思う。
    「どしたのグレイ、にやにやして」
    「えっと……ビリーくんが僕があげたマフラー使ってくれてるのが、嬉しくて。自分が贈ったものを好きな人が身に着けてくれるのって、こんなに幸せな気持ちになるんだね」
    嬉しさを噛み締めるみたいにふふ、と小さく笑う。すると、ビリーはおもむろにビリーが表情を隠すようにマフラーを口元まで引き上げた。
    「ビリーくん?」
    「……グレイって、ときどき怖くなるくらい無防備だよね」
    「え?」
    「何でもない!」


    そんなやり取りを交わしつつ二人が辿り着いたのは、エリオスタワーから少し離れた場所にある小さな公園だった。公園の外周には何本か桜の樹が何本か植えられており、そのどれもが見事な花を咲かせている。月明りに照らされて淡く光を放っているようにも見える桜はとても幻想的で、グレイは「わあ」と小さく声をあげた。
    「綺麗……」
    「今日の午前中、たまたまこの公園通りかかった時にサクラが満開だって気付いてサ。散っちゃう前にグレイと一緒に見たいなって思って」
    明日は雨みたいだから今日の夜しかチャンスが無くて、とビリーは付け加える。
    「とはいえ、かなり急だったよネ。こんな夜に連れ出してごめんネ?」
    「ううん、大丈夫だよ」
    短く答えてグレイは桜を見上げる。
    こうして静かに桜を見るなんて何時ぶりだろうか。もしかすると初めてかもしれない。今までお花見の時期になっても、桜を見に行くことなんてせずに、部屋にこもってゲームばかりしていたから。
    ビリーがこうして外に連れ出してくれなければ、満開の桜がこんなにも綺麗だと知ることは無かっただろう。好きな人と綺麗なものを共有するという幸せを知る事も。色んなことを教えてくれるビリーには、感謝してもしきれない。
    「ビリーくん」
    「なあに?」
    「僕と一緒に桜を見たいって思ってくれて、ありがとう」
    グレイの言葉にビリーはしばらくぽかんと口を開けていた。しかしはっと我に返ると、またここに来るまでの道でしていたように、マフラーで顔を隠してしまう。どうしたのだろうと思っていると、ふとビリーの耳が薄っすら赤くなっているのが見えた。そこでようやくグレイは、ビリーが照れているのだと気付く。
    もしかすると、マフラーの下にあるビリーくんの頬も、桜みたいに色づいているのかもしれない。そう思うと、自然とグレイの顔に笑みが零れた。
    ──そんなグレイの頬も桜色に染まっていたのだけれど。
    残念ながら、そのことに気付くことは出来なかった。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ☺☺☺💕💕💕💖💖💖💖💖💖💞😭🙏🇱🇴🇻🇪🇱🇴🇻🇪😭🙏☺☺☺💖💖💖💖💖💘💘💘💗💗💗💗💗💗💗😭💗💗
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    shirufe_chi

    DOODLE🧁に恋人がいることを知った🍩のおはなし。ビリグレ。【Cute lover】

    その日は珍しく、共用ルームにイーストセクターのヒーロー4人が全員そろっていた。
    ジェイはアクアリウムの魚に餌をやりながら、ちらりと部屋の様子を窺う。
    グレイはバーカウンターの席のひとつに座って美味しそうにミルクティーを啜り、ビリーはその隣で『ハニー』を真剣な表情で見つめており、アッシュは二人とは少し離れた場所にあるソファーに寝転がってバイク雑誌を読んでいる。特に会話もない、静かな空間だ。しかし部屋にはどこかゆったりとした空気が流れている。
    ほんの少し前だったらこんな風に同じ部屋で全員がくつろぐことなんてありえなかったから、ちょっとだけ感動してしまう。随分和やかなチームになったように思う。
    同じ部屋で思い思いの時間を過ごしている三人を見てジェイが頬を緩ませていると、ふいにビリーが「あ、そうだ」とグレイに声をかけた。
    「ん、なに、ビリーくん?」
    リラックスしきった声でグレイが応える。そんなグレイに向かって、ビリーはにこりと笑った。
    「次のデートどこに行くか、もう考えた?」
    「っ⁉ ごほっ……」
    ビリーの言葉にジェイが目を丸くすると同時に、グレイが思いきり噎せた。 2665

    shirufe_chi

    DOODLE距離感がおかしい二人を目撃した🎧のお話。ビリグレ付き合ってない。
    ・8章後の話
    ・何でも許せる人向け
    【A sense of distance】

    「ねえ、ビリー、いる……」
    ちょっとした用事でビリーに会いにイーストセクターのルーキー部屋に訪れたフェイスは、ノックも無しに部屋のドアを開け、部屋に足を踏み入れて──そうして目にした光景に思わず言葉を失った。
    何、この状況。と思ったのだ。
    「あ、フェ、フェイスくん……」
    呆然と立ち尽くすフェイスに声を掛けたのは、この部屋のもうひとりの住人であるグレイだった。フェイスの姿を見たグレイは困ったように眉を下げる。
    「ご、ごめんね、今ビリーくん寝ちゃってるんだ……。なんだか疲れてるみたいだから、起こさないであげてもらえると嬉しいな……」
    眠っているビリーを起こさないようにという配慮からだろう、普段よりもさらに小さな声でそう言ったグレイは、何も悪くないというのに申し訳無さそうに項垂れた。
    まあ、ビリーが寝ているのは仕方のないことだし別にいい。別段大した用事でも無かったし、また日にちを改めてここに来ればいいだけだ。わざわざグレイにビリーを起こせと言うつもりも、自分でビリーを起こすつもりもない。
    ただ。一つだけ突っ込ませてほしい。
    「あのさ、グレイ」
    1461

    shirufe_chi

    DOODLEもしも、の話をするビリグレのおはなし。
    ・ビリーくんがちょっと不穏(8章予告程度)
    ・ビリグレ付き合ってない
    ・ビリーワイズを信じさせてくれ
    ・何でも許せる人向け
    【Even if you deceive me】


    自室でスマートフォンをいじるグレイの表情は珍しく晴れやかだった。
    グレイが上機嫌の理由は、先ほど休憩室で出会ったディノに、「今日の夜、ウエストのみんなでピザパーティーするからよかったらグレイくんもおいでよ!」と誘われたからだ。
    自分なんかが混ざってもいいのだろうかという不安はあったけれど、グレイは喜んでディノの誘いを受けた。以前ディノの誕生日に行われたピザパーティーがとても盛り上がったのはまだグレイの記憶に新しい。きっと今回も楽しい時間を過ごせるに違いないと思うと胸が期待に高鳴った。
    「グレイ、何だか機嫌よさそうだネ。なにかいい事でもあった?」
    夜に行われるピザパーティーを心待ちにしていると、同室であるビリーに声をかけられた。不思議そうに首を傾げるビリーに、グレイは実は、と口を開く。
    「その、ディノさんが、僕をピザパーティーに誘ってくれて……楽しみだなって……」
    ぼそぼそと告げると、ビリーは嬉しそうに笑った。
    「へえ、そうなんだ、よかったねグレイ!」
    「う、うん……。僕なんかを誘ってくれるなんて、ディノさん、本当にいい人だよね……」 2239