Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    shirufe_chi

    @shirufe_chi

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 8

    shirufe_chi

    ☆quiet follow

    距離感がおかしい二人を目撃した🎧のお話。ビリグレ付き合ってない。
    ・8章後の話
    ・何でも許せる人向け

    【A sense of distance】

    「ねえ、ビリー、いる……」
    ちょっとした用事でビリーに会いにイーストセクターのルーキー部屋に訪れたフェイスは、ノックも無しに部屋のドアを開け、部屋に足を踏み入れて──そうして目にした光景に思わず言葉を失った。
    何、この状況。と思ったのだ。
    「あ、フェ、フェイスくん……」
    呆然と立ち尽くすフェイスに声を掛けたのは、この部屋のもうひとりの住人であるグレイだった。フェイスの姿を見たグレイは困ったように眉を下げる。
    「ご、ごめんね、今ビリーくん寝ちゃってるんだ……。なんだか疲れてるみたいだから、起こさないであげてもらえると嬉しいな……」
    眠っているビリーを起こさないようにという配慮からだろう、普段よりもさらに小さな声でそう言ったグレイは、何も悪くないというのに申し訳無さそうに項垂れた。
    まあ、ビリーが寝ているのは仕方のないことだし別にいい。別段大した用事でも無かったし、また日にちを改めてここに来ればいいだけだ。わざわざグレイにビリーを起こせと言うつもりも、自分でビリーを起こすつもりもない。
    ただ。一つだけ突っ込ませてほしい。
    「あのさ、グレイ」
    「な、何……?」
    「──何で、ビリーに膝枕してるの?」
    この部屋に入って一番最初に浮かんだ疑問を、フェイスは躊躇いながらも口にする。
    先程からずっと、ソファーに座るグレイの膝の上には穏やかな寝息を立てて眠るビリーの姿があった。普段ビリーの目元を隠しているゴーグルはソファーの空いたスペースにぽつんと置かれていて意外と幼い素顔が露わになっている。グレイの膝の上で安心しきった顔でくうくうと眠るビリーの姿にフェイスは驚きを隠せなかった。ビリーとは長年付き合ってきたけれど、こんな無防備な姿をさらしているところなんて今まで見たことが無い。
    「大分異様な光景なんだけど……どうしてそんなことになってるの?」
    「ど、どうしてって言われても……」
    グレイはフェイスの質問にうろうろと視線を彷徨わせると、
    「と、友だちだから……?」
    と首を傾げながら言った。全く理由になっていない。
    膝枕をしている姿を見られてもグレイが照れたり慌てないところを見るに、多分グレイはビリーに膝枕をすることに対して何の疑問も持っていない。それが友人同士でごく自然に行われるやり取りだと認識しているのだろう。様子から察するに、日常的にビリーに膝枕をしているのだと思う。
    少し前からビリーとグレイの距離がやたらと近くなったことには気が付いていたけれど、まさかこんなシーンを見せつけられることになるなんて思ってもみなかった。何かもう仲よしこよしとかそういうレベルを超えているような気がする。流石に距離感おかしくない?
    ていうか。
    「……グレイ、ビリーとは普通に友だち、なんだよね?」
    一応、聞いてみる。
    実は付き合ってるんだ、なんて言われたらどう返そうかな、なんて考えていると、グレイはふわりと穏やかな表情で微笑んだ。その頬は僅かに赤く染まっている。
    「……うん。ビリーくんは僕の、大切な友だちだよ」
    真っ白な綿で出来たボールみたいにやわらかくてまんまるな声で呟いたグレイは、おもむろにビリーの明るい髪を撫でる。その手つきはひどく丁寧だった。
    ビリーに向けるグレイの瞳は、見ているこっちが胸やけしてしまいそうなくらいに優しくて甘い。
    ──それ、絶対に『友だち』に向ける視線じゃないと思うんだけど。
    そう思ったけれど、下手に藪蛇をつつきたくなくて口には出さなかった。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💖💖👏😭🙏🙏❤💕💕💕💞💞🙏🙏💴👏👏💖💖💖💖😭🙏❤❤💖💖☺💯😭👏💕💖💖❤💕💖💗💕💖💖💖💖💖💖💖💖😭😭❤💖💕💗🍑💘💴💴💘💖
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    shirufe_chi

    DOODLE🧁に恋人がいることを知った🍩のおはなし。ビリグレ。【Cute lover】

    その日は珍しく、共用ルームにイーストセクターのヒーロー4人が全員そろっていた。
    ジェイはアクアリウムの魚に餌をやりながら、ちらりと部屋の様子を窺う。
    グレイはバーカウンターの席のひとつに座って美味しそうにミルクティーを啜り、ビリーはその隣で『ハニー』を真剣な表情で見つめており、アッシュは二人とは少し離れた場所にあるソファーに寝転がってバイク雑誌を読んでいる。特に会話もない、静かな空間だ。しかし部屋にはどこかゆったりとした空気が流れている。
    ほんの少し前だったらこんな風に同じ部屋で全員がくつろぐことなんてありえなかったから、ちょっとだけ感動してしまう。随分和やかなチームになったように思う。
    同じ部屋で思い思いの時間を過ごしている三人を見てジェイが頬を緩ませていると、ふいにビリーが「あ、そうだ」とグレイに声をかけた。
    「ん、なに、ビリーくん?」
    リラックスしきった声でグレイが応える。そんなグレイに向かって、ビリーはにこりと笑った。
    「次のデートどこに行くか、もう考えた?」
    「っ⁉ ごほっ……」
    ビリーの言葉にジェイが目を丸くすると同時に、グレイが思いきり噎せた。 2665

    shirufe_chi

    DOODLE距離感がおかしい二人を目撃した🎧のお話。ビリグレ付き合ってない。
    ・8章後の話
    ・何でも許せる人向け
    【A sense of distance】

    「ねえ、ビリー、いる……」
    ちょっとした用事でビリーに会いにイーストセクターのルーキー部屋に訪れたフェイスは、ノックも無しに部屋のドアを開け、部屋に足を踏み入れて──そうして目にした光景に思わず言葉を失った。
    何、この状況。と思ったのだ。
    「あ、フェ、フェイスくん……」
    呆然と立ち尽くすフェイスに声を掛けたのは、この部屋のもうひとりの住人であるグレイだった。フェイスの姿を見たグレイは困ったように眉を下げる。
    「ご、ごめんね、今ビリーくん寝ちゃってるんだ……。なんだか疲れてるみたいだから、起こさないであげてもらえると嬉しいな……」
    眠っているビリーを起こさないようにという配慮からだろう、普段よりもさらに小さな声でそう言ったグレイは、何も悪くないというのに申し訳無さそうに項垂れた。
    まあ、ビリーが寝ているのは仕方のないことだし別にいい。別段大した用事でも無かったし、また日にちを改めてここに来ればいいだけだ。わざわざグレイにビリーを起こせと言うつもりも、自分でビリーを起こすつもりもない。
    ただ。一つだけ突っ込ませてほしい。
    「あのさ、グレイ」
    1461

    shirufe_chi

    DOODLEもしも、の話をするビリグレのおはなし。
    ・ビリーくんがちょっと不穏(8章予告程度)
    ・ビリグレ付き合ってない
    ・ビリーワイズを信じさせてくれ
    ・何でも許せる人向け
    【Even if you deceive me】


    自室でスマートフォンをいじるグレイの表情は珍しく晴れやかだった。
    グレイが上機嫌の理由は、先ほど休憩室で出会ったディノに、「今日の夜、ウエストのみんなでピザパーティーするからよかったらグレイくんもおいでよ!」と誘われたからだ。
    自分なんかが混ざってもいいのだろうかという不安はあったけれど、グレイは喜んでディノの誘いを受けた。以前ディノの誕生日に行われたピザパーティーがとても盛り上がったのはまだグレイの記憶に新しい。きっと今回も楽しい時間を過ごせるに違いないと思うと胸が期待に高鳴った。
    「グレイ、何だか機嫌よさそうだネ。なにかいい事でもあった?」
    夜に行われるピザパーティーを心待ちにしていると、同室であるビリーに声をかけられた。不思議そうに首を傾げるビリーに、グレイは実は、と口を開く。
    「その、ディノさんが、僕をピザパーティーに誘ってくれて……楽しみだなって……」
    ぼそぼそと告げると、ビリーは嬉しそうに笑った。
    「へえ、そうなんだ、よかったねグレイ!」
    「う、うん……。僕なんかを誘ってくれるなんて、ディノさん、本当にいい人だよね……」 2239

    recommended works