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    shirufe_chi

    @shirufe_chi

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    shirufe_chi

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    もしも、の話をするビリグレのおはなし。
    ・ビリーくんがちょっと不穏(8章予告程度)
    ・ビリグレ付き合ってない
    ・ビリーワイズを信じさせてくれ
    ・何でも許せる人向け

    【Even if you deceive me】


    自室でスマートフォンをいじるグレイの表情は珍しく晴れやかだった。
    グレイが上機嫌の理由は、先ほど休憩室で出会ったディノに、「今日の夜、ウエストのみんなでピザパーティーするからよかったらグレイくんもおいでよ!」と誘われたからだ。
    自分なんかが混ざってもいいのだろうかという不安はあったけれど、グレイは喜んでディノの誘いを受けた。以前ディノの誕生日に行われたピザパーティーがとても盛り上がったのはまだグレイの記憶に新しい。きっと今回も楽しい時間を過ごせるに違いないと思うと胸が期待に高鳴った。
    「グレイ、何だか機嫌よさそうだネ。なにかいい事でもあった?」
    夜に行われるピザパーティーを心待ちにしていると、同室であるビリーに声をかけられた。不思議そうに首を傾げるビリーに、グレイは実は、と口を開く。
    「その、ディノさんが、僕をピザパーティーに誘ってくれて……楽しみだなって……」
    ぼそぼそと告げると、ビリーは嬉しそうに笑った。
    「へえ、そうなんだ、よかったねグレイ!」
    「う、うん……。僕なんかを誘ってくれるなんて、ディノさん、本当にいい人だよね……」
    気持ちを分かち合うみたいに一緒に喜んでくれるビリーにあたたかい気持ちになりながらグレイはえへへと笑う。しかし、ビリーはグレイの言葉を聞いた瞬間、唇をへの字にして難しい顔をした。
    「……うーん。いっつも思うけど、グレイって『いい人』の基準がゆるゆる過ぎじゃない?」
    まさかそんなことを指摘されるとは思っていなかったから、グレイは目を丸くする。
    「え? そうかな……?」
    「そうだよ。……まあディノパイセンは確かにいい人だとは思うけどサ。でも、そんな簡単に人をいい人だって信じてたら、いつか悪い人に騙されちゃうよ。世の中いい人ばかりじゃないんだから、そんな簡単に人を信じないほうがいいと思うナ」
    ぴっと人差し指を突き付けられて忠告され、グレイは息を飲む。
    どうしてビリーは人を信じることをさも悪いことのように言うのだろう。こちらの身を案じてのことなのかもしれないけれど、納得はいかなかった。人を信じることが悪いことだと、グレイには到底思うことが出来なかったから。
    「だ、大丈夫だよ……ぼ、僕だって大人だし……そんな簡単に、騙されたりしないって……」
    「そう? 案外気付いてないだけで、もうすでに誰かに騙されてたりするかもよ?」
    「こ、怖いこと言わないで……大体、人を騙すような悪い人、僕の周りにはいないよ……」
    「そんなのわかんないじゃん」
    たとえば、とビリーは言葉を続ける。
    「オイラとか」
    「え?」
    「もしかしたらオイラだって、『いい人』の振りしてグレイのこと騙してるかもしれないよ?」
    そう問いかけてくるビリーは緩やかに微笑んでいたけれど、ほんの少しだけいつもと纏っている雰囲気が違う気がした。何かが確実に違うのに、言葉には言い表せないほんの少しの違和感。
    僅かな引っかかりに戸惑っていると、ビリーは「もちろん、たとえばの話だよ」と肩を竦める。
    「もし、ボクちんとグレイが仲よしなことも、全部嘘で偽物だったらグレイはどうする?」
    「ど、どうするって言われても……」
    「ま、そんな嘘つかれたら、流石のグレイもオイラのコト嫌いになるに決まってるか」
    グレイが何か答えを返す前に、ビリーは早々に答えを決めつけて話を切り上げてしまった。しかしグレイはここでビリーに与えられた問いを無視してはいけないような気がした。グレイはそっと目を伏せて思案に暮れる。
    もしビリーに騙されていたとしたら、自分はどうするのだろう。
    仲が良いと思っているのは自分だけで、ビリーはそうではないとしたら。
    想像するだけで心臓を鋭い刃物で貫かれたみたいに胸が苦しくなった。一番大好きな友達であるビリーに騙されたり裏切られたら、とても悲しい気持ちになるに違いない。もしかしたら大人げなくボロボロ泣いてしまうかもしれない。
    ──でも。
    「あのね、ビリーくん」
    「ん? なあに?」
    「もし僕がビリーくんに騙されてたとしても、ビリーくんのことを嫌いになるなんてありえないよ」
    はっきりとそう告げると、ビリーがぱちりと瞬きをした。純粋にグレイの言葉に驚いているようだった。
    「もしビリーくんが僕にしてくれたことや言ってくれたことが全部嘘で偽物だとしても、僕がビリーくんと過ごして、楽しかったり嬉しかったりしたのは全部本当だし。……それに、ビリーくんが僕を騙してたとしても、それでも一緒にいたいって思うくらいには僕はビリーくんのことが好きだし、大切な友達だと思ってるよ」
    心の奥から湧き上がる気持ちを、丸ごとビリーに伝える。
    そして全て言い終えてから、グレイははっと我に返った。何だか勢いに任せて随分と恥ずかしいことを口走ってしまったような気がする。
    ビリーはグレイの言葉に何も言わず、じっとグレイのことを見ていた。単なるたとえ話だというのに、返す感情が重すぎたのかもしれない。
    「……な、なーんて。もしもの話」
    羞恥に顔が熱くなってる事を自覚しながら苦し紛れに呟く。
    もしかしたらからかわれちゃうかな、とも思ったのだけれど、ビリーはグレイの言葉をからかうことはなかった。
    「……そうだね、全部、もしもの話」
    静かな声で噛み締めるように呟いたビリーは、眉を下げて微笑む。
    その笑顔は、どうしてか泣き出しそうに歪んでいた。
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    shirufe_chi

    DOODLE🧁に恋人がいることを知った🍩のおはなし。ビリグレ。【Cute lover】

    その日は珍しく、共用ルームにイーストセクターのヒーロー4人が全員そろっていた。
    ジェイはアクアリウムの魚に餌をやりながら、ちらりと部屋の様子を窺う。
    グレイはバーカウンターの席のひとつに座って美味しそうにミルクティーを啜り、ビリーはその隣で『ハニー』を真剣な表情で見つめており、アッシュは二人とは少し離れた場所にあるソファーに寝転がってバイク雑誌を読んでいる。特に会話もない、静かな空間だ。しかし部屋にはどこかゆったりとした空気が流れている。
    ほんの少し前だったらこんな風に同じ部屋で全員がくつろぐことなんてありえなかったから、ちょっとだけ感動してしまう。随分和やかなチームになったように思う。
    同じ部屋で思い思いの時間を過ごしている三人を見てジェイが頬を緩ませていると、ふいにビリーが「あ、そうだ」とグレイに声をかけた。
    「ん、なに、ビリーくん?」
    リラックスしきった声でグレイが応える。そんなグレイに向かって、ビリーはにこりと笑った。
    「次のデートどこに行くか、もう考えた?」
    「っ⁉ ごほっ……」
    ビリーの言葉にジェイが目を丸くすると同時に、グレイが思いきり噎せた。 2665

    shirufe_chi

    DOODLE距離感がおかしい二人を目撃した🎧のお話。ビリグレ付き合ってない。
    ・8章後の話
    ・何でも許せる人向け
    【A sense of distance】

    「ねえ、ビリー、いる……」
    ちょっとした用事でビリーに会いにイーストセクターのルーキー部屋に訪れたフェイスは、ノックも無しに部屋のドアを開け、部屋に足を踏み入れて──そうして目にした光景に思わず言葉を失った。
    何、この状況。と思ったのだ。
    「あ、フェ、フェイスくん……」
    呆然と立ち尽くすフェイスに声を掛けたのは、この部屋のもうひとりの住人であるグレイだった。フェイスの姿を見たグレイは困ったように眉を下げる。
    「ご、ごめんね、今ビリーくん寝ちゃってるんだ……。なんだか疲れてるみたいだから、起こさないであげてもらえると嬉しいな……」
    眠っているビリーを起こさないようにという配慮からだろう、普段よりもさらに小さな声でそう言ったグレイは、何も悪くないというのに申し訳無さそうに項垂れた。
    まあ、ビリーが寝ているのは仕方のないことだし別にいい。別段大した用事でも無かったし、また日にちを改めてここに来ればいいだけだ。わざわざグレイにビリーを起こせと言うつもりも、自分でビリーを起こすつもりもない。
    ただ。一つだけ突っ込ませてほしい。
    「あのさ、グレイ」
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    shirufe_chi

    DOODLEもしも、の話をするビリグレのおはなし。
    ・ビリーくんがちょっと不穏(8章予告程度)
    ・ビリグレ付き合ってない
    ・ビリーワイズを信じさせてくれ
    ・何でも許せる人向け
    【Even if you deceive me】


    自室でスマートフォンをいじるグレイの表情は珍しく晴れやかだった。
    グレイが上機嫌の理由は、先ほど休憩室で出会ったディノに、「今日の夜、ウエストのみんなでピザパーティーするからよかったらグレイくんもおいでよ!」と誘われたからだ。
    自分なんかが混ざってもいいのだろうかという不安はあったけれど、グレイは喜んでディノの誘いを受けた。以前ディノの誕生日に行われたピザパーティーがとても盛り上がったのはまだグレイの記憶に新しい。きっと今回も楽しい時間を過ごせるに違いないと思うと胸が期待に高鳴った。
    「グレイ、何だか機嫌よさそうだネ。なにかいい事でもあった?」
    夜に行われるピザパーティーを心待ちにしていると、同室であるビリーに声をかけられた。不思議そうに首を傾げるビリーに、グレイは実は、と口を開く。
    「その、ディノさんが、僕をピザパーティーに誘ってくれて……楽しみだなって……」
    ぼそぼそと告げると、ビリーは嬉しそうに笑った。
    「へえ、そうなんだ、よかったねグレイ!」
    「う、うん……。僕なんかを誘ってくれるなんて、ディノさん、本当にいい人だよね……」 2239

    recommended works

    rabimomo

    DOODLEタイトルまんまです
    めちゃくちゃ出来る男な月を書いてみたくてこうなりました
    在宅ワークした日に休憩時間と夜に一気書きしたのでちょっと文章とっ散らかってますので大目に見て下さる方のみ!
    直接の描写はないですが、肉体関係になることには触れてますので、そこもご了承の上でお願いします

    2/12
    ②をアップしてます
    ①エリートリーマン月×大学生鯉「正直に言うと、私はあなたのことが好きです」

     ホテルの最上階にあるバーの、窓の外には色とりどりの光が広がっていた。都会の空には星は見えないが、眠らぬ街に灯された明かりは美しく、輝いている。その美しい夜景を眼下に、オーダーもののスーツを纏いハイブランドのビジネス鞄を携えた男は、目元を染めながらうっそりと囁いた。
     ずっと憧れていた。厳つい見た目とは裏腹に、彼の振る舞いは常にスマートだった。成熟した、上質な男の匂いを常に纏っていた。さぞかし女性にもモテるだろうとは想像に容易く、子供で、しかも男である己など彼の隣に入り込む余地はないだろうと、半ば諦めていた。それでも無邪気な子供を装って、連絡を絶やせずにいた。万に一つも望みはないだろうと知りながら、高校を卒業しやがて飲酒出来る年齢になろうとも、仕事帰りの平日だろうと付き合ってくれる男の優しさに甘えていた。
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