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    shirufe_chi

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    shirufe_chi

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    🧁に恋人がいることを知った🍩のおはなし。ビリグレ。

    【Cute lover】

    その日は珍しく、共用ルームにイーストセクターのヒーロー4人が全員そろっていた。
    ジェイはアクアリウムの魚に餌をやりながら、ちらりと部屋の様子を窺う。
    グレイはバーカウンターの席のひとつに座って美味しそうにミルクティーを啜り、ビリーはその隣で『ハニー』を真剣な表情で見つめており、アッシュは二人とは少し離れた場所にあるソファーに寝転がってバイク雑誌を読んでいる。特に会話もない、静かな空間だ。しかし部屋にはどこかゆったりとした空気が流れている。
    ほんの少し前だったらこんな風に同じ部屋で全員がくつろぐことなんてありえなかったから、ちょっとだけ感動してしまう。随分和やかなチームになったように思う。
    同じ部屋で思い思いの時間を過ごしている三人を見てジェイが頬を緩ませていると、ふいにビリーが「あ、そうだ」とグレイに声をかけた。
    「ん、なに、ビリーくん?」
    リラックスしきった声でグレイが応える。そんなグレイに向かって、ビリーはにこりと笑った。
    「次のデートどこに行くか、もう考えた?」
    「っ⁉ ごほっ……」
    ビリーの言葉にジェイが目を丸くすると同時に、グレイが思いきり噎せた。恐らく飲んでいたミルクティーが器官に入ってしまったのだろう。
    「だ、大丈夫かグレイ?」
    「っだ、だいじょうぶ、です……」
    グレイは何度かけほけほとせき込んだ後、ビリーに向かって咎めるような視線を向けた。
    「ビリーくん、こ、こんな、みんないるところで……!」
    「あ、ごめんごめん。急に気になっちゃって。で、どこに行くか決まった?」
    「ま、まだ悩み中……」
    「決まったら早めに教えてネ♡」
    「う、うん……」
    グレイが頷くと同時に二人の会話は途切れ、再び静かな空気が戻ってくる。しかし、ジェイの心中はほんの数分前と打って変わって混沌としたものに変わっていた。今の会話は、一体。
    「…………グレイ、ビリー」
    「……は、はい」
    「どしたの、ジェイ」
    「踏み込む事を聞くようで悪いんだが……今の会話から察するに、グレイは付き合ってる子がいるのか?」
    これはセクハラになるのだろうか、とは思ったけれど、好奇心に負けてそう問いかける。
    ジェイの問いに、よくぞ聞いてくれましたとばかりに表情を明るくしたのはビリーだった。
    「That's right! 実はグレイには、Super coolな恋人がいるんだヨ!」
    「そうなのか、グレイ?」
    「は、はい……」
    恥ずかしそうに俯くグレイ。グレイに恋人がいるなんて話は今まで一度も聞いたことが無かったから、これには大層驚いた。
    「そうか知らなかった。グレイに恋人が……」
    「んふふ、1か月前位から付き合い始めたんだよネ。ここだけの話、恋人と一緒にいるときのグレイってば、す~~っごい可愛い顔するんだヨ! オイラはじめて見た時ビックリしちゃった」
    「ビ、ビリーくん……!」
    「こら、ビリー。あんまり人のプライベートを話すのは良くないぞ」
    可哀想になるくらいに顔を赤くして狼狽えるグレイの代わりにジェイが顔をしかめて注意すると、ビリーはとくに悪びれた様子もなく「ソーリー♡」と舌を出した。
    「でも、ジェイも気になるんじゃナイ? グレイがどんな子と付き合ってるのか」
    「き、気にならないと言えば嘘になるが……」
    「でしょ? ねえグレイ、ジェイもこう言ってるし、ちょっとだけでいいから恋人のお話してヨ」
    「っ」
    「オイラもグレイがその恋人のコトをどう思ってるのか聞きたいしサ。ね、お願い♡」
    頬の横で両手を組み、分かりやすくおねだりのポーズをするビリーに、グレイは困ったように視線を彷徨わせる。やがて、諦めたように息を吐いた。
    「え、ええと……僕とお、お付き合いしてる子は、明るくて、こ、コミュ力があって、優しくて、とても良い子……です」
    グレイの口から語られた『恋人』は、グレイ本人とは正反対の性格をしているようだった。グレイの性格的に、大人しくて控えめな子と付き合っているようなイメージがあったから、少し意外だ。ビリーと仲が良いこともそうだけれど、もしかするとグレイは案外、ぐいぐいと引っ張ってくれるタイプの子と相性がいいのかもしれない。
    「ねえ、グレイはその恋人のどんなところが好きなの?」
    にまにまと口元を緩めながらビリーが言う。いくらビリーがグレイと仲が良いとは言え、少しからかいすぎではないだろうか。
    これは流石に止めさせた方がいいだろう。そう判断してジェイはビリーを止めようとする。しかし、ジェイがビリーを咎めるよりも早く、グレイが口を開いた。
    「…………ぜ、全部」
    「えっ?」
    「……全部、好き」
    首筋まで真っ赤にして、グレイは言う。聞いたこっちが照れてしまいそうになるくらいに真剣で、愛しさを詰め込んだみたいな声だった。
    それまで楽しそうに身体を揺らしていたビリーが、グレイの言葉にぴたりと動きを止めた。その頬がみるみるうちにグレイと同じように赤く染まっていく。
    グレイの照れがビリーに移ってしまったのだろうか。そんなことを思っていると、唐突にビリーがグレイの腕を掴み、がたんと音を立てて立ち上がった。
    「ごめんジェイ、ボクちんとグレイ、ちょっと用事が出来たから部屋に戻るネ!」
    「? ビ、ビリーくん? よ、用事って……」
    「ほらグレイ、部屋に戻ろ!」
    「え、ええ……?」
    頭にたくさんのハテナマークを浮かべたグレイの手を引いて、ビリーは足早に共用ルームから出ていく。
    「どうしたんだ、一体……」
    取り残されたジェイはぽりぽりと頬をかく。まあよく分からないが、ビリーの様子を見るにあれ以上グレイをからかうようなことはしないだろうとジェイは二人の背中を静かに見送った。

    いや、それにしても。
    「グレイに恋人がいたとは知らなかった──なあアッシュ」
    二人が出ていったあと、会話に一切混ざらずに難しい顔で雑誌を読んでいたアッシュに声をかける。するとアッシュは苦虫を噛み潰したような顔をしてちっと舌打ちをした。
    「うるせえどうでもいい話しかけんな」
    「お前も知らなかっただろ?」
    「テメエと一緒にすんな、あんなん見てたら誰だって気付くだろ。つーか逆になんでテメエは何も気付かねえんだ、あんな馬鹿みたいにイチャつかせやがって」
    「えっ。ア、アッシュお前、グレイに恋人がいることを知ってたのか というか、イチャついてるとはどういう──」
    「あーうるせえ! これ以上俺の前であの二人の話すんな!」
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    shirufe_chi

    DOODLE🧁に恋人がいることを知った🍩のおはなし。ビリグレ。【Cute lover】

    その日は珍しく、共用ルームにイーストセクターのヒーロー4人が全員そろっていた。
    ジェイはアクアリウムの魚に餌をやりながら、ちらりと部屋の様子を窺う。
    グレイはバーカウンターの席のひとつに座って美味しそうにミルクティーを啜り、ビリーはその隣で『ハニー』を真剣な表情で見つめており、アッシュは二人とは少し離れた場所にあるソファーに寝転がってバイク雑誌を読んでいる。特に会話もない、静かな空間だ。しかし部屋にはどこかゆったりとした空気が流れている。
    ほんの少し前だったらこんな風に同じ部屋で全員がくつろぐことなんてありえなかったから、ちょっとだけ感動してしまう。随分和やかなチームになったように思う。
    同じ部屋で思い思いの時間を過ごしている三人を見てジェイが頬を緩ませていると、ふいにビリーが「あ、そうだ」とグレイに声をかけた。
    「ん、なに、ビリーくん?」
    リラックスしきった声でグレイが応える。そんなグレイに向かって、ビリーはにこりと笑った。
    「次のデートどこに行くか、もう考えた?」
    「っ⁉ ごほっ……」
    ビリーの言葉にジェイが目を丸くすると同時に、グレイが思いきり噎せた。 2665

    shirufe_chi

    DOODLE距離感がおかしい二人を目撃した🎧のお話。ビリグレ付き合ってない。
    ・8章後の話
    ・何でも許せる人向け
    【A sense of distance】

    「ねえ、ビリー、いる……」
    ちょっとした用事でビリーに会いにイーストセクターのルーキー部屋に訪れたフェイスは、ノックも無しに部屋のドアを開け、部屋に足を踏み入れて──そうして目にした光景に思わず言葉を失った。
    何、この状況。と思ったのだ。
    「あ、フェ、フェイスくん……」
    呆然と立ち尽くすフェイスに声を掛けたのは、この部屋のもうひとりの住人であるグレイだった。フェイスの姿を見たグレイは困ったように眉を下げる。
    「ご、ごめんね、今ビリーくん寝ちゃってるんだ……。なんだか疲れてるみたいだから、起こさないであげてもらえると嬉しいな……」
    眠っているビリーを起こさないようにという配慮からだろう、普段よりもさらに小さな声でそう言ったグレイは、何も悪くないというのに申し訳無さそうに項垂れた。
    まあ、ビリーが寝ているのは仕方のないことだし別にいい。別段大した用事でも無かったし、また日にちを改めてここに来ればいいだけだ。わざわざグレイにビリーを起こせと言うつもりも、自分でビリーを起こすつもりもない。
    ただ。一つだけ突っ込ませてほしい。
    「あのさ、グレイ」
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    shirufe_chi

    DOODLEもしも、の話をするビリグレのおはなし。
    ・ビリーくんがちょっと不穏(8章予告程度)
    ・ビリグレ付き合ってない
    ・ビリーワイズを信じさせてくれ
    ・何でも許せる人向け
    【Even if you deceive me】


    自室でスマートフォンをいじるグレイの表情は珍しく晴れやかだった。
    グレイが上機嫌の理由は、先ほど休憩室で出会ったディノに、「今日の夜、ウエストのみんなでピザパーティーするからよかったらグレイくんもおいでよ!」と誘われたからだ。
    自分なんかが混ざってもいいのだろうかという不安はあったけれど、グレイは喜んでディノの誘いを受けた。以前ディノの誕生日に行われたピザパーティーがとても盛り上がったのはまだグレイの記憶に新しい。きっと今回も楽しい時間を過ごせるに違いないと思うと胸が期待に高鳴った。
    「グレイ、何だか機嫌よさそうだネ。なにかいい事でもあった?」
    夜に行われるピザパーティーを心待ちにしていると、同室であるビリーに声をかけられた。不思議そうに首を傾げるビリーに、グレイは実は、と口を開く。
    「その、ディノさんが、僕をピザパーティーに誘ってくれて……楽しみだなって……」
    ぼそぼそと告げると、ビリーは嬉しそうに笑った。
    「へえ、そうなんだ、よかったねグレイ!」
    「う、うん……。僕なんかを誘ってくれるなんて、ディノさん、本当にいい人だよね……」 2239

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