「環……」
「……っ」
神妙な面持ちのミリオに、思わずゴクリと唾を飲み込む。
「今夜は……」
「おでんです!!」
ジャーンという交換音でもつきそうな勢いで掲げられたのは立派すぎる大根だ。
「凄い。立派な大根だ」
「ね!俺も貰ったときびっくりしちゃった!」
これならきっとあの一番大きな鍋で煮たら美味しい。そんな事を考える環の目はキラキラと輝いていてミリオも笑みを深くする。
「よぉし!じゃあおでんの具!買いにいこ!」
「!そうだな」
そわそわと嬉しそうに支度をした環の手をとって外に出る。夕暮れの外はもう寒い。
「ミリオ。何入れる?」
「そうだな〜牛すじ入れたいかな!」
「俺はタコ食べたい」
「あとこんにゃく!」
「もち巾着」
「俺あれいつも火傷しちゃうんだよね」
「ミリオはもう少し落ち着いて食べないと」
「アハハ、たしかに!」
そんな事を話しながら。
繋いだ手はきっとおでんを食べたときみたいに温かいんだろうな、なんて思ったりして。