今日はツイてない日だった。
朝、かけたはずの目覚まし時計が鳴らなかった。給食で、どこからでも切れる袋に入ったドレッシングが全然開かなかった。家でおやつのポテチ袋を開けたら引っ張りすぎて中身ぶちまけた。掃除してから炭酸のジュースを開けたら、それも溢れ出て机も床も大変な事になった。二度目の掃除。晩ご飯の手伝いで卵を割ったら殻がいっぱい入ってしまった。給食と晩ご飯が被ってた。オムライス。
別に大事件って程でもないけど、こう何回も起きると嫌になる。
「クソ〜……さいあく〜……もうやだ〜……」
ミスタがソファーに転がってぼやいていれば、ポスンと誰かが座る音。シュウがゲーム機を持っていた。
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「……成る程ね。そんな事があったんだ」
「そーそー!もう最悪、あっ!!」
カーレースのゲーム中、ミスタのキャラクターがコースアウトし落ちる。その間にどんどん抜かされていき、このままでは最下位だ。
「もー!!最悪、って、っえ!?」
キャラクターが復活しようとしている中、他のキャラクター全員に雷攻撃が落ちる。ミスタがその隙にアイテムボックスを拾えば、一番良いアイテムが出てきた。
「やった!ラッキー!」
すぐに使って順位を一気に上げていく。三位まで駆け上がり、続けて手に入れた妨害アイテムで更に順位を上げていく。
「三位……二位……一位!!やったー!!」
まさかの大逆転。今まで最悪だった気分が一瞬で最高の気分になった。
「おめでとう。見事な勝利だね」
「それな!コースから落ちた時、終わったと思ったけど逆にそれが良かったかも!なんか今日の悪い事も全部チャラになった気分!」
「そうか、そうだよ!そう考えればいいんだ」
「は?何々どーいうこと?」
「今日の出来事の事だよ。
目覚まし時計が鳴らなかったけど、急いで用意したから遅刻しなかった。給食のドレッシングも一気に開けて飛び散る人もいたけど、ミスタはハサミで開けたからそうならずに済んだ。おやつの袋と炭酸のジュースもその時は大変だけど拭けばいい話だし。量が減っちゃったから二つ目も開けて違う味を楽しめたよね。晩ご飯の手伝いの殻だって取り出せば問題ないし、味も変わらない。ご飯も被ったけどオムライス嫌いじゃないでしょ?」
「確かに嫌いじゃないけど……」
「物は考えようだよ。悪い面もあれば良い面もある。明るい元気な性格だけが正しい訳ではないでしょ?静かで落ち着いた人のストッパーも必要だし、だからといって止まったままでは進めなくなっちゃう。どちらも大事で何か役目があるんだよ」
「じ、人生何周目......」
「んはは!君と同じだよ」
「うーん……でもまあ確かにそうだよな!悪い事もあれば良い事もある!」
「そうそう。その通り!」
「じゃあ明日は最高の一日!?」
ミスタが笑って言えばシュウも笑って答えた。
「そうだよ!明日は最高の一日さ!」