忘却の彼方へ.
「赤也が行方不明になった」
その知らせが届いたのは合宿を終えて間もなくのことだった。
まさに青天の霹靂。だって、切原クンとはついこの前まで寝食を共にしていて、合宿が終わってからも頻繁に連絡を取り合ってたんやから。
一昨日だって『今度大阪に遊びに行きたいっす!』なんて可愛らしいメッセージが来て、俺が『切原クンならいつでも大歓迎やで!』って返して……そういえば、そのあと彼から返信はなかった。
いつもなら変なキャラクターのスタンプで会話が終わるはずやのに、あの日に限っては既読がついただけやった。
心臓がどくりと嫌な音を立てる。唖然として言葉が出てこない俺に幸村クンは静かに続けた。
「一昨日の夜から家に帰ってないんだ……俺達も赤也のスマホに連絡してみたけど一切繋がらない」
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