よこがお講義が終わり、夕陽が傾いていく時間帯。寮に着くまで、同じ青獅子の学級の学友であるアッシュと一緒に帰っているところに、少し悲しそうな顔をした彼が口篭りながら、沈黙を破った。
「ねぇ、さっきはイグナーツと何を話していたの。」
私は彼がどうしてそんな悲しそうな顔をしているか分からない。なにかイグナーツとの会話で彼を不快にさせてしまったのだろうか。
少し、気が重いけれど私も沈黙を破る。
「彼の描いた絵を見せてもらっていたの。」
それだけを答えると、アッシュは悲しそうな顔から少し苛立ちを覚えたような複雑な表情をしていた。ガルグ=マクでは寮に住むといった形になるっているが、実家ではほとんど屋敷の自分の部屋にこもりきりで、同い年の友人と話すのがとても楽しいことだと知ってしまって、彼はその事があまり気に入っていないようだった。アッシュは私の弱々しい返事に対して思い切ったように言葉を紡いだ。
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