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    sineternalpenko

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    sineternalpenko

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    まだまだ続く夢小説リレー。途中までまとめ。

    作者
    アカリさん、あずきさん、こなものさん、のえはさん、こーぺん。

    ターナの大冒険(仮)今日から私も訓練兵、同じ部屋のハンジ・ゾエさんは、ちょっと変わった雰囲気の子だ。
    「初めまして!キミの名前は、エターナル?エターナルって永遠って意味だよね。永遠ってさ、途方もなく続く時間のことだと本で読んだことがある。だけど私は単なる時の長さだけじゃないと思うんだ。もっと大きな何かが、この言葉には含まれている…とね。これからが楽しみだ。エタちゃん。よろしくね」
    ハンジ、初対面なのにめっちゃ話すからびっくりしたけど、名前褒めてくれて嬉しい!仲良くなれるといいな。
    それから訓練兵としての生活が始まった。教官は厳しいし訓練はキツイ。疲れが溜まったせいか、ある日私は熱を出してしまった。
    「ターナ(愛称)、大丈夫?裏山で薬草を採ってきたよ!これから厨房を借りて煎じてくるね!」
    ハンジ…忙しい訓練の合間を縫って私のために…。弱った私の心身には、彼女の優しさが何よりの薬だった。ハンジが煎じてくれた薬草はにがかったけれど、ハンジの味(想像)がして、ハンジと一つになれた気がした。
    それから私とハンジは、座学や訓練を乗り越え、絆を深めていった。
    「私は調査兵団を選ぶ」
    ハンジはある日、強い光を宿した目で言った。ので、私も導かれるように調査兵団への入団を決めた。


    ついに、私達にとって初めての壁外調査が明日に迫ってきた。前日の夜、私は緊張で眠れず、布団の中で寝返りを打ち続けていた。すると、相部屋のハンジが声をかけてきた。
    「どうしたの?もしかして、緊張で眠れないの?」
    「こっちに来る?」
    その声に導かれるように私はハンジのベッドに入った。
    入り込んだ格好のまま身を固くし、動けない私とは逆に、打ち解けた様子でハンジが言った。
    「ねぇ……どうして調査兵団に入ったの?もしかして私を追いかけてきた?」
    「ハ、ハンジ…私…」
    胸の鼓動が速いのが自分で分かる。
    「なんだい、ターナ、言ってごらん?」
    すぐ隣にいるハンジが耳元で囁く。
    「私は…ハンジのことが…」
    言ってしまって良いのだろうか。ずっと秘めていた想いを。明日は壁外調査。命を落とす可能性だってある。
    「聞かせて」
    ハンジの声で私は今、この場で自分の思いを伝える決意を固めた。
    「私……」
    コンコン。
    突如ドアがノックされ、外から声が聞こえた。
    「ハンジー?明日の陣形で分からないとこがあるんだけど、こっちの部屋来れる?」
    「ごめんね、ターナ。ちょっと待ってて」
    ハンジ、行っちゃった…。いや、これで良いのだ。私達は調兵団。私情に流されてはいけない。私はそのまま寝たふりをした。

    翌日の壁外調査。初めて見る巨人は想像以上の恐ろしさだった。
    「奇行種だ!」
    声が聞こえると同時に巨人が走って来る。
    「ターナ逃げろ!」
    ダメ、身体が動かない…。恐怖で身がすくむ。驚愕で目は見開き、見たくもない光景を鮮明に映し出す。巨人が迫ってくる。
    脳裏に昨夜の出来事が蘇った。昨夜、ハンジは約束通り戻ってきた
    「寝ちゃった?」
    寝たふりを続けると、はんじが傍らに腰掛ける気配がした
    「さっきのは冗談だよ...忘れて」

    パシュッ
    目の前で鮮血が散る。
    それはハンジだった。ハンジが私を助けてくれたのだ。だが、巨人はもう一体いた。二体目の奇行種も私の方へと迫り来る。
    「ターナ、戦え!」
    はんじの声を聞いた瞬間、私はバカみたいな力が湧いてきて、何をどうすればいいか分かった。まだ死ねない。私は、ハンジに伝えなきゃいけないことがある!!


    あの初陣から数年、私とハンジは幾度もの調査を乗り越え、中堅と呼ばれる立場になった。ハンジが巨人を攪乱し、私が仕留める。私たちは自他共に認める相棒だ。でもまだ、告白はできていない…強い気持ちがあるのは確かなのに、いざとなると足がすくんで、一歩踏み出せないのだ。エルヴィンが団長に就任して間もなく、ハンジは分隊長に任命された。ハンジの巨人の研究が評価されたためだ。次第に、ハンジはハンジ班のメンバーと過ごす時間が長くなり、地下街から来たリヴァイという男とも親しくしているようだ。訓練兵時代からずっと私はハンジの隣にいたのに。黒い感情がうずまく。私はあらゆる手段を尽くした。ハンジ班の実験が終わる頃、偶然を装って扉の前で待ち伏せした。一ヵ月連続。リヴァイの椅子にブーブークッションを仕掛けてみた。振り落とされた。失敗して懲罰房に入れられたこともある。上官に「ここはハンジが入れられた房ですか?」と聞くと無視された。

    そんなある日、女性団員の数合わせで私は初めて夜会に行くことになった。ハンジも一緒である。慣れない私をハンジはエスコートしてくれた。
    「踊ってみないか?」
    ハンジに誘われて有頂天になる私。夢みたいに楽しいダンスが終わった後の帰り道、私は久しぶりにハンジと二人きり。酔いに任せて私はハンジに言った。
    「ハンジ、私は…」
    「ターナ。この夜会に君を推薦したのは、私なんだ。最近、君のことが心配で」
    「心配の必要はねぇさ」
    突然、知らない男が話しかけてきた。
    「よぉターナ。大きくなったな」
    「貴方は…?」
    「俺か?テメェのばぁちゃんの古い知り合いだ」
    その男は、自らをケニーと名乗った。
    「ターナ、お前には力がある。それを生かせりゃ上手くいくだろうよ。あと、お前の本当の名前を、いつか伝えるようにばぁさんに頼まれててな」
    ケニーと名乗った男はそう言った。
    「え、私、エターナルじゃない…?!」
    混乱しながら聞くとケニーは言った。
    「ああ、お前の本当の名。それは『こーぺん』だ」
    「こーぺん、そもそもテメェは調査兵団ってタマじゃねぇ。俺の組織に入れ」
    「急にそんな…」
    「懲罰房にも入ったらしいじゃねぇか。テメェみたいな弱タレが一丁前に調査兵団なんて、笑わせやがる」
    「彼女を侮辱するな!」
    ハンジが突然、声を荒げた。その瞳には、怒りの炎が宿っている。
    「ターナは人類のために心臓を捧げた優秀な調査兵団員だ。多くの仲間を失いながらも共に戦ってきた。壁外では何度も彼女に助けられたし、訓練兵時代からの私の大切な友達だ。そんな言い方はやめてもらいたい」
    ハンジの毅然とした態度に圧倒され、気づけば私は胸に拳を当て、捧げよポーズをしていた。男はそんな私たちを見ると、にやりと笑った。
    「なるほどな…こーぺん、お前が選んだのはこのお嬢ちゃんか」
    「えっ?」
    「いや何でもない。…友達は大事にしろよ。じゃあな」
    そう言って男は踵を返した。
    「ちょっと!」
    私は追いかけようとするハンジの腕を掴んだ。
    「もういいよ、ありがとう。私のために怒ってくれて嬉しかった」
    「礼には及ばない。本当のことだからね」
    ハンジは微笑んでくれたが、私は後ろめたい気持ちになる。本当は違うのだ。私はハンジを追いかけて調査兵団に入った。人類に心臓を捧げてなどいない。私が心臓を捧げたいのはハンジだけだ。
    今、私がハンジに気持ちを伝えなければ、大好きなハンジに対して嘘を抱え続けなければならなくなる。
    しかし、今まではんじが信じてくれていたのは調査兵 として人類に心臓を捧げている”私”だ。
    どうすれば良いのか考えあぐねているとハンジが私に声をかけてきた。
    「ターナとこーぺん、どっちの名前で呼べばいいかな?」
    「ターナは調査兵団の務めを果たそうとしてきた。でも、本当の私、こーぺんは違う。人類なんてどうでもいい。ただ…ハンジが好きなだけ。幻滅したでしょ?『大切な友達』になれて嬉しかったよ」
    言うと、私は逃げるようにその場から走り去った。

    慣れないヒールでシーナの知らない街の中をめちゃくちゃに走って、辿り着いた広場で私は崩れ落ちた。乱れた呼吸の合間に涙が零れる。きっと全部失ってしまう…覚悟の上だったのに。自嘲の乾いた笑いが込み上げた。そのとき。
    「ターナ!!」
    夢かと思った。月明かりの中、走ってきたのはハンジだった。
    「君は昔から足が速いよね。追いつけて良かった」
    ハンジは息を切らせながら言った。せっかくの夜会の正装も台無しだ。
    私は涙でぐちゃぐちゃになった顔を見られたくなくて俯く。
    「勝手にいなくならないでくれ。側にいて欲しいんだ、ターナ…いや、こーぺん」
    ハンジは座り込んでいる私に手を伸ばす。
    この手を、取ってもいいのだろうか。動けずにいる私にハンジは言葉を重ねた。
    「君は…私がすきなだけって言ったけど…私の壁外の考察を聞いて笑ってくれた。一緒に海を見ようって約束した…あの気持ちは嘘じゃないだろ?ターナもこーぺんも、両方とも紛れもない君自身だし、私は君が大切だよ!」
    ハンジの言葉に涙が溢れる。私、まだここにいても良いんだ…!ハンジを好きなまま調査兵団にいても!私はハンジの手を取り立ち上がる。懲罰房に入れられた理由の一つが、ハンジの裸体を写生したせいということは言えなかったが、これは墓まで持っていこう。言わないでいてくれてありがとう兵士長。

    私は安心感からか帰りの馬車で眠りに落ちてしまい目が覚めると自室のベッドにいた。
    まだ夜明け前だったので化粧を落としに行こうと自室を出るとハンジに出会ったので彼女にお礼を言おうと話しかけた。
    「ハンジ、昨日は私を自室まで運んでくれてありがとう」
    「え?ターナを運んだのはリヴァイだよ?」
    「兵士長が?!」
    「帰りが遅かったから心配されてたみたいでさ。怖そうに見えて良いヤツなんだよ、リヴァイは」
    ブーブークッションや写生事件のこともあるし、きちんと謝罪とお礼をしに行った方が良いのかもしれない。怖いけど。朝食後、訓練まで少し時間があったので、私は兵士長の部屋をノックした。
    「入れ」
    ドアを開けると、兵士長が壁にもたれて立っていた。
    「あ、あの、昨日はどうも…」
    「お前は、なぜ調査兵団に所属している?」
    射るような鋭い視線。でも、もう自分の気持ちを秘密にするつもりはない。
    「ハンジのことが」
    「クソッ、何であいつなんだ…」
    「…え?あの、何て?」
    「独り言だ、忘れろ。もう部屋に戻れ」 
    そう言った兵士長の表情はどこか苦しげで、初めて見るその様子に気持ちがかき乱された。
    「あの、片想いです。ハンジは大切な友達だと思ってくれてるけど、それじゃ満足できない。我儘だから…。失礼しました」
    部屋を出ようとすると、
    「待て」
    兵士長に腕を引かれた。
    「お前は、何でいつもそうなんだ?叶わない恋だってわかってんだろ?もう一人で苦しむのはよせ」
    兵士長はそう言いながら、よろけた私を抱きすくめた。
    「ちょっと離し…」
    「離さねぇ…」
    思考が追いつかず、身体に力が入らない。その時、
    「…リ、リヴァイ?」
    聞き慣れた愛しい声が、背後から聞こえた。
    兵士長はすぐに私を離したが、抱かれていたのは確実にハンジに見られた。
    「違うの、これは」
    説明しようとするも言葉が上手く出てこない。
    「リヴァイとターナはそういう仲だったのか。ハハッ、知らなかったよ。…邪魔して悪かったね」
    「あ、ハンジ、待って!」
    私の制止も聞かずハンジは部屋を飛び出した。
    「ハンジ…!」
    「ターナ、ここにいたのか」
    廊下に出た私の前に現れたのはエルヴィンだった。
    「先ほど早馬が着いてね…モノズキ卿が昨夜の君の話にいたく感銘を受け、巨人研究に融資してくれるそうだ…君と今後、個人的に親睦を深める事を条件に」
    もう、頭がめちゃくちゃになりそうだった。
    「すみません、今それどころじゃなくて」
    なんとかエルヴィン団長を振り切ってハンジを追いかけなければ!しかし団長は話を続ける。
    「まあ、無理に引き受ける必要はない。君は調査兵団になくてはならない人材だと思っているし、個人的には、モノズキ卿に渡したくはない。後で団長室に来てくれないか」
    「わ、私、行かなきゃ…」
    「行かせないぞ。団長命令だ」
    左腕を引く団長の力が力強くて、私は涙が出てきた。
    「ターナ、待て」
    追いかけてきた兵士長が右腕をつかみ、私は両サイドから引っ張られた。
    「もう‼︎私の取り合いしないで‼︎」
    そう叫びながら、私は布団から飛び起きた。


    なんだ夢か。昨夜やっとハンジに想いを伝えられたというのに、こんな夢を見るとは、どうかしている。部屋の外に出ると、兵士長がいた。
    「夜会帰りに勝手な行動をした挙げ句に、朝の訓練をサボったらしいな。懲罰房で頭を冷やせ」
    「その房はハンジが入った房ですか?」
    聞くと兵士長にため息をつかれた。
    懲罰房の椅子は硬くて冷たかった。二日酔いの頭痛が追い打ちをかけ、私は昨日の言動を後悔しかけていた。私はこのまま、ハンジのそばにいていいのだろうか。私の気持ちは、許されるのだろうか。
    思い悩んでいると、ハンジが朝食を持ってきてくれた。
    「こーぺん。こんなことになって、ごめん…」
    ハンジの優しさに涙ぐむ。
    「ハンジのせいじゃないよ。懲罰房は慣れてるから大丈夫!」
    私は笑顔を作った。妙な夢を見て寝坊して訓練をサボったことに罪悪感があったので、懲罰房も仕方ないと思っていた。
    「後でエルヴィンから君に話があるそうだよ」
    「え、団長が…?!」
    いよいよ私は、懲戒解雇だろうか。
    いや、私は素行は悪いが討伐数は兵士長に並ぶ優秀な兵士だ。団長は私を手放さないだろう。
    「追加のお小言かな?」
    私がおどけて言うと、ハンジは目を伏せた。隠しごとがあるとき目を合わせないのは、ハンジのクセだ。
    「…そうかもね。ごめん、私もう行かなきゃ。時間になったらリヴァイが迎えに来るから」

    硬く冷たい椅子であれこれ思考を巡らせていると、兵士長がやってきて、鍵を開けた。
    「出ろ。エルヴィンからお前に話がある」
    「何の話でしょうか?」
    「さあな」
    聞いてみたが、無表情のまま流された。
    「じゃあ、この房はハンジが入った房ですか?」
    再度聞いたら、兵士長はもう何も答えてくれなくなった。
    団長室にハンジの姿はなく、団長と兵士長がいるだけだった。
    団長は確か
    「夜会の後から君の様子がおかしいと何名かに言われてね。心身を休めるために短期休暇を取るのはどうだろうか」
    みたいなことを言っていた。
    でも私はショックで内容が全く頭に入らない。
    このままだとハンジと離れてしまう…。
    「自分まだ働けます!次の壁外調査も余裕です!」
    全力アピールしたが、受け入れられなかった。
    「ハンジの入った房を探す趣味もたいがいにしろ。ゆっくり休め」
    兵士長にまで言われて私は肩を落とす。
    房探しは趣味ではないです。
    そして次の壁外調査にハンジ達が出掛けた日、巨人によって壁は破られた。

    彼女らは多分壁内へ即刻帰還し巨人の掃討にあたるのだろう。
    まさか再び巨人に壁を破られるなんて…。
    私は今すぐハンジのもとに駆け付けたくて仕方がなかった。休暇中とはいえ私だって一応調査兵なのだ。しかし混乱を極めたこの状況で人の波に逆らうのは容易ではない。
    「どうか…無事でいて…!」
    彼らが異変に気づいたとして、壁内に帰り着くまでに今暫くかかるだろう。それまでに何とか私が食い止めなくては。なんてったって私は素行は悪いが優秀な兵士なのだから。
    私は布の切れ端を首に巻きつけた。以前、ハンジが使ったシーツかもしれないと房から拝借してきたものだ。
    「全く…とんだ休暇ね」

    住民の避難はなかなか進まないし、入り込んだ巨人の数が多く、訓練終了直後の新兵までもが巨人討伐に参加しているようだ。あちこちで巨人に食われる兵士や住民を目にするという悲惨な状況。もう討伐数を数えるのもやめた。しかし、ここで死ぬわけにはいかない。私は首のシーツに触れる。
    「戦え…戦え」
    普段巨人と対峙することのない駐屯兵は怖じ気付き、連携を取るどころではなかった。まともに戦えるのは私ひとりきりだ。絶体絶命である。そんなとき、思い浮かぶのは『一緒に海を見に行こう』と言うハンジの笑顔だった。私は覚悟を決め、大きく息を吸った。
    「私は…強い!とても強い!ので、巨人共を蹴散らすことが出来る。例えば一人…でも!」そして私は無我夢中で巨人と闘った。討伐数が百を越える頃、
    「こーぺん!もういい!終わったんだ!」
    ハンジの声が耳に届いた。
    「巨人になれる新兵の子が岩を持ち上げて扉を塞いだんだよ!」
    ハンジが興奮気味に言う。
    巨人じゃなくて私を見てよ。
    そんな私の気持ちもつゆ知らず、ハンジはどんどん先を歩いていってしまう。とりあえず近くの兵舎まで戻るようだ。
    道中、ハンジが私に聞いてきた。
    「ターナ、そのマントどうしたの?色も違うし刺繍もないし、しかもそれ、普段のマントよりサイズ大きくないかい?」
    「これで、ハンジを思い出して強くなれた。ハンジ、シーツを巻いてくれて…ありがとう」
    「チッ、汚ねぇシーツだな」
    いつの間にか兵士長が現れていた。
    「緊急事態で休暇は終わりだ、ターナ」
    そう言う兵士長に、私は、ハンジに聞こえないようにして聞いた。
    「このシーツはハンジが使ったシーツですか?」


    戦後処理が始まり、復帰した私は古参兵として忙殺されていた。ハンジは捕獲した巨人と新兵の研究に忙しく、すれ違いの日々が続いた。ハンジに会えない寂しさは次第に私の心を苛み、その憎しみは巨人へと向かった。
    「あいつらのせいでハンジが帰ってこないんだ……駆逐してやる…一匹残らずだ…!」
    私は、どうやら周囲から見ておかしかったらしい。シーツは兵士長に取り上げられたが、代わりにハンジが古代魚のようなものをくれた。バスピスと名付けた古代魚に話しかけていると、少しだけ寂しさが和らいだ。もうすぐ新兵たちも参加する壁外調査がある。私は、とにかく巨人をぶっころしたかった。
    その中には勿論巨人になる新兵も含まれている。ハンジが彼に夢中になっているのがとにかく気に食わない。しかしその新兵を殺したらハンジを悲しませてしまうので実行はしないでおこう。その代わりハンジを危険に晒す裏切者を削いでやる!
    私はそんなことを考えながら第五十七回壁外調査の日を迎えた。

    私は左翼前方に配置になった。とにかく巨人をぶっ殺したいため、前線を希望したのだ。団長に許可され、兵士長には「悪くない」と言われたが、彼らの評価はどうでもよかった。ハンジが、私を心配そうな顔で見ていたのが気になったが、負ける気はしない。しばらくは、索敵陣形は上手く機能していた。
    「右翼索敵、壊滅的打撃!」
    「…チッ」
    惨状が伝えられ、私は思わず舌を打った。左翼から来たら私がぶっ殺…はんじのために捕獲してあげたのに。私は平静を装いながら班員を率い、予定通り森の警護に就いた。本当はハンジと一緒に居たかったが、ハンジの作戦を成功させるためには欠かせない役割だ。
    今回の作戦の真意を知るのは、古くから調査兵団にいた者のみ。新兵達を中心に混乱が広がっていた。森の入り口で待機していると、爆発音が聞こえてきた。ハンジの作戦が成功したのだろう。賢く強いハンジ。でも、ハンジは常に世界を見ているから、誰か一人を特別に想ったりはしないのかもしれない…。

    私達は這々の体で壁外から帰還した。
    結局女型には逃げられたこと、例の巨人になれる新兵を連れ戻すために兵士長が怪我をしたこと、だが標的の目処はついたので再度捕獲を試みることなど、事の顛末をハンジが私に伝え、一息つくとこう言った。
    「リヴァイが心配だな…私、ちょっと様子を見てくるね…」
    「ハンジが兵士長を心配するのは何か特別な感情によるものなの?」
    兵士長の怪我は軽症と耳にしていたが、ハンジが妙に心配そうだったので、私は聞いた。
    「は?特別な感情ってなんだよ、別に…私は…」
    ハンジは動揺した様子で言葉をにごし、部屋を出て行ってしまった。それは肯定に等しいんじゃないか。
    足音が完全に遠ざかってから私は徐ろにコップを取り出した。ハンジは兵士長の部屋だろう。壁にコップは何度か試したことがあるので、要領は心得ている。
    兵士長の部屋の前に立ち、周りに誰もいないことを確かめてから壁にコップを押し当てた。話し声が聞こえる。しかし私は気がついた。部屋を間違えた!
    「何度もお伝えした通り、ターナは素行に問題はありますが、実力はりばい同様に1個旅団並みです。引き渡すわけにはいきません」
    「モノズキ卿はどうしても彼女をお望みなのです。次の夜会にターナを出していただけますか?無論、報酬は弾みます」
    「今は夜会どころでは…」
    団長の声、まさかの私の話?
    モノズキ卿は前回の夜会で、私がハンジの偉業を説いたうちの一人だ。珍しく最後まで話を聞いてくれたから、辛うじて記憶にある。確かもモブリットをシュッとした感じの男だ。私が記憶をたぐる間にも会話は続く。
    「ところで、当家が出資した荷馬車、お役に立ちましたでしょうか?」
    「……ええ、とても」
    ガチャッ。
    団長室の会話が終わらないうちに突然部屋のドアが開き人が入ってきた。どうやら私のいる資料室に用があるらしい。
    「ぶっちゃけ私は二人が恋人でも驚かないかも…ただの同僚にしては距離感がおかしいというか…。ねぇねぇ、ニファちゃんからみて兵士長と分隊長ってどう思う…?」
    モノズキ卿の件も気になるが、こちらも聞き捨てならない。
    「ちょっと、そこ詳しく聞かせて!」
    声をかけたら、資料室に来た二人は物凄く驚いた顔をした。
    「ターナさん?!何してるんですか?」
    私はさり気なくコップをポケットにしまう。「調べ物に決まってるわ。で、ハンジは兵士長と寝てるわけ?」
    ニファは横に首を振った。
    「知りませんよ。ターナさんでもご存じないハンジさんの私事を、私が知っているわけ無いじゃないですか」
    「…それもそうね。邪魔したわね」
    一番知りたかった話題を前に、つい冷静さを欠いてしまった。一次情報に勝るものはない。急いで兵士長の部屋(の壁)に行かなければ!
    私は今度こそ兵士長の部屋の壁にコップを当てた。所々しか聞こえないいが、女型、王都召集などと聞こえる。仕事の話のようでほっとしたが、やがてターナと聞こえてきて、ビクッとする。兵し長はハンジに向かって言った。
    「ターナは、ただお前のためなら巨人をひねり殺せるくらいお前が好きなだけだ」
    「君はターナのことよく解ってるよね……私の方がターナとの付き合いは長いのにさ……なんていうかちょっと、妬けるな」
    「誤解するな…………俺も似たようなモンだってだけだ」
    「……巨人を殺せるくらいエルヴィンのことが大好きってこと?」
    「クソが…どうしてそうなる……とにかくターナは大丈夫だ」
    ハンジは私を案じて兵し長に相談してくれていた。それだけで胸がいっぱいになった。そして、兵士長、同志…!?私はなんだか申し訳ない気持ちになった。仲を勘繰って盗聴などしていないで、私もただまっすぐにはんじを想い、兵士としての務めを果たそう。そう胸に誓い、心臓にとんと手を当てた。
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