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    ankounabeuktk

    @ankounabeuktk

    あんこうです。オル相を投げて行く場所

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    はぴば!!

    わるいおとこ【オル相】「ところで誕生日プレゼントって決まった?」
     あなたが贈りたいものを、と言われたので全財産の遺言書を贈ったら激しく怒られた去年の牽制からか、相澤くんから誕生日の一ヶ月ほど前から「欲しいものが決まったら言いますんで何も買わないでください」と釘を刺されてしまった。街はまだ復興半ば、私は全財産のほとんどを失ってしまったので高いものは買えないけれど、それでも恋人の可愛らしいおねだりには良い顔をしたい。いつになってもかっこいいっても思われたいものだからね。
     そんなわけで、大人しくいい子にしておねだりを待っていたのだけれど、一週間が過ぎても二週間が過ぎても、三週間が過ぎても相澤くんは誕生日のたの字も出さずに平常業務を続けている。まさか忘れていないよなあ、と少しばかり心配になって聞いてみたら、相澤くんは机上のカレンダーをちらりと見た。
    「当日は何もいりません。来週末の土曜の夜を空けてもらえますか?」
     まるで業務連絡のように、まあここは職場なので当然なのだけれど、相澤くんがそう言うので私はスケジュールを確認して大丈夫だよ、と答える。
    「そうですか」
     いつもなら特に笑うところでもないのに、何故か相澤くんは返事の瞬間、ほんの少しだけ悪い顔をした。
     何か企んでいる、そんな気配がする。
     それがどんな秘め事なのかは知らないが、彼には彼なりの何かプランがあるわけだ。ならば私がそれまでにしなければならないことは、彼の邪魔をしないことと、土曜の夜を確実に空けること。その二つに尽きる。
    「用意しておくものがあるなら言ってね」
    「オールマイトさんおひとりいれば足ります」
    「私も流石に分身はできないな」
    「ひとりでいいって言ってんだろ」
     呆れた相澤くんの後ろからマイクくんが肩を抱く。
    「ヘーイ職員室でイチャイチャすんなよマイフレンド」
    「業務連絡だ」
    「交際を業務の一環にすんなヨ」
    「業務の一環にしないとボロが出るだろ。じゃあな」
     マイクくんの腕を振り解き相澤くんはすたすたと背を向けて歩いていってしまった。
     マイクくんが私を見る。私もマイクくんを見る。
     今の何気ない相澤くんのセリフに散りばめられた愛に、初めて立った我が子に感激するように二人で手を握って言葉にならない喜びを分かち合った。



     そして当日。どんな無茶振りをされても良いようにある程度の用意はした。ご飯も仕込みは終わってあとは作るだけだし、お酒の類も準備万端。やっぱり何か欲しいって言われたら明日買いに行けばいいし、と落ち着かずそわそわしっぱなしの私のマンションのチャイムが鳴る。合鍵を渡してあるのに入って来ないのは、今日私が出迎えると言うことに意味があるからだ。
     逸る胸の高鳴りもそのままにいらっしゃい、とドアを開けた私の前に立っていたのは、ヒーロースーツではなかったけれど特にめかし込んでいるわけでもなく、黒いフード付きパーカーに黒いジーンズの、全身真っ黒さんのいつもの相澤くんだった。
    「どうも」
    「お腹空いてない?ご飯どうする?」
    「あー。腹は減ってないんで、先にいいですか」
     私がきょとんとすると、相澤くんは気恥ずかしそうに頭を掻きながら誕生日のやつです、と言う。
    「あ、ああ!うん。ところで君、何をしたいの?」
     歩きながら尋ねると、相澤くんは無言で私の腕を掴んで寝室へ迷いもせず歩いて行く。
    「ん?」
     外はまだ夕暮れの気配があり室内は決して暗いとは言えないけれど、相澤くんは壁も見ずにスイッチを押してまだ状況が飲み込めていない私を上手く重心移動させてベッドの上に仰向けにしてしまった。
     ここまでされちゃあこれがお誘いだといくらなんでもわかるけれど、でもいつもの休日と変わりないじゃないか。
     ぎし、とベッドが揺らぐ。私の真上で相澤くんが目を細める。いつの間にか私の両腕はまとめて結えられていて、解けない強さではないそれが何らかの意思表示であり、これからの不穏さを匂わせる。
    「あの……?」
     これはなあに、と優しく尋ねてみた。
    「誕生日プレゼントで貰います」
    「なんでもあげるけどさ、あっ?!そっちの用意はしてないよ?!」
    「今更逆になって俺が満足できると思います?」
     私の的外れな指摘に相澤くんは不正解のブザーを口で表現してみせた。随分とご機嫌だ。
    「じゃあこれは?」
     縛られた手首を主張する。
    「今日は、俺が恋人を思う存分気持ち良くする権利を貰います」
    「……ん?いつもと変わらなくない?」
    「は?ほぼ毎回人のこと気絶するまで潰しといて自分だけ涼しい顔してるのが腹立つんですよ。今日は枯れるまで搾り取ってやるから覚悟してください」
     そう言って相澤くんは、狡くて悪い男の顔で私を愛の渦に叩き落として溺れさせた。
     私は、天国を見た。
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