幕間の楓恒⑲ 資料室に響いているのは機械を操作する音と、時折紙を捲る音。丹恒は機械の操作パネルをじっと見つめアーカイブの整理を行っており、丹楓はそんな丹恒から離れたところでどこかの星で購入された書物を読んでいた。
丹楓が顕現してからというもの日常と言っても過言ではない風景の一つではある。しかし、会話の一つもないまま数日間この様子であるので丹恒は丹楓の様子を時折伺っていた。
丹恒が羅浮へ行く時は丹楓は同行してこないのだが、丹恒が数日前少しの間羅浮に滞在し戻ってきた時から丹楓の様子がおかしい。
まず、夜は共に寝ていた筈だが就寝の準備をしている間に資料室を出て行ってしまい戻ってこない。始めは何か用事があるのだろうと思っていた丹恒だったが、それが一日一日と積み重なり今ではほぼ毎日になっている。
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