Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    もものかんづめ

    @kmjy25

    いろんなCP書いて投げる場所
    メインCP以外もあがってくる
    書きたいところだけ
    アイコンはそひさんからのいただきもの
    へっだーはきりさんからのいただきものです
    𝑩𝑰𝑮 𝑳𝑶𝑽𝑬______

    ☆quiet follow Send AirSkeb request
    POIPOI 35

    もものかんづめ

    ☆quiet follow

    おしゃたな丹恒を丹楓が育てている時空の楓恒
    丹恒はおしょたです

    ##楓恒

    幕間の楓恒㉒ 龍師達にあれやこれやと指示を出している丹楓の後ろで、丹恒は眠気を堪えるように小さな尾をゆるゆると揺らした。
     朝方、丹楓に今日は何をしたいかと聞かれ丹楓と一緒に居たいと務めについていくと言い出したのは誰でもない丹恒であり、丹楓もそれで良いと同行を許可してくれた。
     務めを果たしている丹楓の後ろで丹楓の真似をするように短い足を組み、じっと丹楓と次々とやってくる龍師へと目を向けていたのだが、昼餉を食し数刻が経つと丹恒に眠気が襲い掛かり今は眠らないようにと尾を揺らし続けている。
     そんな丹恒の様子に視線を向けた丹楓は、今対応している龍師に向かって手を挙げると部屋に居た龍師達が一斉に何処かへと姿を消す。
    「丹恒」
    「…ん、…ふーに…?」
    「暫く休息をとることにする。此方へと来い」
    「…ん…」
     丹恒は差し出された丹楓の手を小さなその手で握り返すと、もう片方の手で己の目をこしこしと擦る。
     擦ったところで眠たいことにかわりはなく、それを示すように足取りはいつもよりも重くいつその場で眠りに落ちてしまうのか丹楓は気が気ではなかったが、日差しの差し込む縁側にたどり着くと丹恒を先に座らせ己も隣に腰を下ろした。
    「ふーにぃ…」
     ちゅんちゅんと小鳥の鳴き声が聞こえ、草木のさざめく音も聞こえてくる。より眠くなってしまう状況に丹恒は首を振るて丹楓の名前を呼んだ。
     丹楓は膝の上で読みかけであった書を広げ、文字を目で追いかけていく。その内に日差しの温かさで丹恒が眠りに落ちるであろうと考えていたのだが、丹恒はどういうわけかふらりと立ち上がると丹楓が広げている書を読もうと丹楓の膝の上に上がろうとしている。
    「何をしている」
    「…ん、…おれも、いっしょ…よみたい…」
    「その様な状態で何を言っている…眠たいのだろう?」
    「ねむ、くない……」
     丹楓の膝の上に登ろうと試みては落ちそうになる丹恒は丹楓から見れば危うげで、いつ落ちて怪我をしてしまってもおかしくはない。丹恒が眠りやすいようにと此処迄来たのだから、怪我等させたくはないと丹楓は今にも落ちそうになっている丹恒の体に尾を巻き付けると丹恒を些か無理やり隣に座らせた。
    「や…、ふーに…!」
    「余の隣で静かに座れるようになれば読ませてやる。数刻静かにすること等其方には造作もないだろう?」
    「…! ん!」
     ふくふくとした頬を緩ませながら頷いた丹恒は丹楓の隣に大人しく座ると、自分の体に巻き付いている丹楓の尾に手を伸ばし、自分の尾が視界に入るように動かす。
     丹楓の尾はしなやかで大きく、色も綺麗だが丹恒の尾はまだ小さく、色もどこか淡い色味である。
     だからだろうか、丹恒は丹楓の尾を気に入っている様子で自分に巻き付いている丹楓の尾に自分の尾を巻き付けられないかと、すりすりと己の尾で丹楓の尾を撫でていた。
     ちらりとそんな丹恒に視線を向けた丹楓は、丹恒の体から尾を離すと丹恒の尾に尾をくるりと巻き付けた。
    「…!」
     よほど嬉しかったのか、丹楓に顔を向け名前を呼ぼうとした丹恒だったが先ほど丹楓に静かにするように言われたことを思い出し左右に首を振ると丹楓の尾ごと自分の尾を抱きしめる。
     ぽかぽかと日差しが差し込み、腕の中の尾はどこかひやりとしているがやはり温かさを感じて丹恒は我慢していた瞼をゆるゆると閉じ始めた。
     ぱらり、と丹楓が書を捲り丹恒の方へ再度視線を向けた時には既に丹恒の瞼は閉じられていてすーすーと小さな寝息が聞こえてくる。手からも力が抜けたのか離された尾で丹楓は丹恒の頬をするりと擽る。
    「ん、むー…」
    「ふ…」
     頬を僅かに歪ませ、原因を腕の中に閉じ込めた丹恒は腕の中にある温かさが丹楓の尾であると無意識に感じ取ったのか眠りながら頬を緩める。
     その様子に丹楓も小さく笑みを浮かべて丹恒を見やっていると、近づいてくる足音に顔を上げた。
    「飲月君、そろそろ宜しいでしょうか」
    「残りの雑務は此方で片付ける」
    「ですが…!」
    「……大きな声を上げるな。別段急ぎの用でもないだろう? 去れ」
     声を掛けてきた龍師は丹楓に一睨みされると、怯え切ったような表情で足早にその場を後にしてしまう。
     丹楓は意識的に殺意を強く向けすぎたかもしれないと思いながら、まだ自分の尾を抱きしめながら眠りに落ちている丹恒を起こさないようにそっと尾で包み込んだ。
     眠りに落ちたばかりの丹恒が起きるまで数刻はかかるだろう。だが、それでも丹楓はこの場を動くつもりはなく、丹恒を起こすつもりもない。務めは急ぎのものはなく、目を通さなければいけないものは先ほど丹恒と一緒に此処へ来た時に持ってきている。何も支障はないと、新たな書を膝の上に広げると庭の木から楓の葉がひらりと落ちてくるのが見えた。
     風に吹かれ、舞いながら、丹恒の頬の上に落ちた其を丹恒が起きないようにそっと指先で摘まみあげると丹恒の傍に置く。
     楓の葉を拾うと嬉しそうに報告に来るこの小さな龍が、起きた時に喜ぶように。

    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💘💘💘
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works